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キレるのは「温厚なパパ」ではない! 大きくなりがちな主語の話

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Photo by greg westfall from Flickr

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 海上自衛官である父親が自宅に火をつけ、4人の子供を死なせた事件が、大きく報道されています。父親が犯人だったこと、そして親子で野菜を作ったり駅伝大会に出場するような、仲睦まじい家族だと思われていたことから非常にセンセーショナルな事件として扱われています。

 事件当日に「大きな声で言い争っていた」という証言や、容疑者が「(単身赴任先に戻る際に)妻が見送りに出てこなかった」「妻に構って欲しかった」と供述していることがその後判明し、子育てで忙しい妻への不満を持っていた容疑者が、カッとなり、突発的に家に灯油をまき火をつけたと見られています。

 なお、出火後には「お前が悪いんだ」と容疑者に詰めよる次男と、亡くなった子供の名前を叫びながら「俺が悪かった」「俺が帰ってきたから悪かった」と話す容疑者の姿も目撃されています。

 容疑者を擁護することはできません。理不尽で腹立たしい事件だと思います。亡くなった子供たちはもちろん、生き延びた子供たちにもトラウマが植え付けられるかもしれない。こうした事件が起こらないよう、単純な感情論で容疑者を裁こうとせず、冷静に事件を解明して欲しいと思います。

「パパ」で誤魔化してない?

 事件の全容が分かりつつある中で、ある記事が話題になっています。

温厚なパパが突然キレるのはなぜ? ママには想像できない理不尽な理由と対処法

 これは自身の育児経験を活かして、赤ちゃんの寝かしつけノウハウなどを提供する石原由縁氏が、「パパ」の立場で書いた記事です。偏食する子供のために工夫して食事を作った「パパ」は、子供が「食べられない」「おえっ」と吐き出したことに対して「なんで食わねぇんだよ! ちゃんと食えよ!」「食わねぇんなら一週間テレビ見せねぇぞ!」と怒鳴ったことがあるそうです。なぜ(筆者によると)「普段は温厚なパパ」が、怒ってしまったのかがこの記事には書かれています。

 この記事は非常にズルい。記事の冒頭で筆者は「イライラが爆発して子供に怒鳴ってしまう理由は、パパとママでは少し違っていることがあります。普段は優しいパパが、突然豹変して子供に怒鳴ったら、それはこんな理由かもしれません」と書いています。そしてその例として、自身が子供を怒鳴ったエピソードを紹介しているわけです。

 いやいや、ちょっと待て、と。このエピソードはあくまで筆者自身の体験談であって「パパとママのイライラの理由の違い」も「温厚なパパ」も、「パパ」もまったく関係がありません。これは「私」という主語で語るべきエピソードであって、「パパ」という主語で語られるものではないはずです。

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