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「生い立ちの授業」は、ひとり親家庭や里親家庭への配慮が足りないのか?

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『私たちの道徳 小学校5・6年』廣済堂あかつき

『私たちの道徳 小学校5・6年』廣済堂あかつき

 授業中の柔道事故などの調査で注目を浴びた名古屋大学准教授・内田良が、Twitterである道徳の授業の教材を批判している(元Tweet)。

 批判されているのは『わたしたちの道徳 小学校3・4年生』(教育出版株式会社)の138 – 139ページ。この2ページは見開きになっていて右側の138ページには、「あずさ」という少女を中心とした祖父母・両親・姉の6人家族の構成と役割が挙げられていて、左側の139ページには空欄がある。右側の例を参考にして「自分の家族のことをまとめてみましょう」ということなのだろう。

 内田の批判は、この教材は「母子家庭や父子家庭への配慮が足りない」、「これが評価の対象になるのはおかしい(母子家庭・父子家庭が『正常ではない』と連想させる)」というものだ。

 この教科書の該当ページは、文部科学省のサイトでも確認できる。批判されているページの前後を見ると、たしかに、養子縁組家庭や里親家庭といった家族の形態は考慮されていないようにも思える(わたしが生まれたとき、家族はどんなことを思ったかを聞き取って書くページがある)。

「生い立ち授業」も批判されている

 教育現場に登場する家族のあり方をめぐっては、小学1・2年生の生活科の授業でおこなわれている「生い立ちの授業」や、任意行事「2分の1成人式」も批判されている。この問題について取り上げたのは、静岡新聞だ

 当該の記事では、女児を養育する里親が、児童が自らの生い立ちを振り返る授業で「名前をつけた理由」「1歳の時に初めてできたこと」などの質問が書かれたプリントを宿題として配られたことで、つらい思いをした、と告白。里親には名前をつけた理由や、乳幼児期の様子などはわからない。里子も「直接的な拒絶の言葉こそ口にしなかったが、しばらくは表情が暗く、怒りやすい状態が続いた」という。同紙では、「一律の取り組みが、大きな負担になっている子供もいる」と指摘している。

 家族のあり方が多様化するなかで、両親が揃っていて、祖父母のサポートも受けられるような家族を「正常なもの」として取り上げたり、そうした形を前提として物事を語ったりすることは、時代錯誤的とも言える。そうした意味では、内田や静岡新聞がこうした授業を問題視するのは理解出来る。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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