カルチャー

夏の宿題。ピンク映画を見て、自分の性について考えること

【この記事のキーワード】
hamanosachi

ピンク映画界の巨匠は、なんと女性監督!?

 スクリーンにいっぱいに映る裸体! からみ合う男女はその肌の質感まであらわになり、喘ぎ声は劇場中に響き渡るーーこれがピンク映画の世界。セックスシーンがふんだんに盛り込まれ、基本的にR18の成人映画館だけで公開されるピンク映画は、オトナだけに許されたお楽しみです。

「AVと何が違うの?」という質問もごもっともです。ピンク映画はフィルムで撮影されているので、モザイクはなし。セックスシーンでも局部や接合部などは映りませんが、演技や撮影テクニックで激しい絡みから、まったり濃厚な絡みまでを見せてくれるので、実にエロティック。そして、あくまで“映画”なので、作品の奥が深いのです。

 全盛期の1980年代には全国270館超あったピンク映画館も、現在は50館ほどに減少しました。それでも根強い人気のあるピンク映画界で、ひとり怪気炎を吐きつづけている監督がいます。その名は、浜野佐知(さち)。なんと、女性監督です。1971年からこれまでに、350本以上の作品を世に送り出してきたハンサム・ウーマン!  「ザ・男社会」を生き抜いてきた監督の作品に、いま女性ファンがじわじわと増えています。そこに至るまでの長い道のりを、監督本人に訊きました。

浜野佐知監督(以下、浜)「ピンク映画そのものが、あまりに間違った男のセックスファンタジーで成り立ってきたからね。私はそんな世界で『女の性を、女の手に取り戻す!』と叫びながら作品を作ってきたわけだけど、ずっと女性に届けることができなかった」

『十七才好き好き族』で監督デビューした20代はもちろん、映画制作会社を起ちあげた30代も、「女にエロが撮れるか」と冷たい視線に晒され、孤軍奮闘を続けてきた浜野監督。現場でも“女の性”に対する違和感を、日々感じてきました。

「芝居がド素人並みの女優でも、ベッドシーンでの演技はうまい! ふだんからベッドの上で演技してることが丸わかりだよね。そういう女優にかぎってエクスタシーを知らない。彼氏に嫌われたくないから感じているフリをしたり、相手を早くイカせるためにまず自分がイッてみせたりしてるんだね」

ずっと叫んできた「打倒! チンコ至上主義」

 女性が自分にとってほんとうに気持ちのいいセックスを追求してほしいと願う浜野監督。そのためには、女性が変わらなければいけない部分も多いといいます

「女の身体ってほんとうにきれいだと思う。おっぱいもいいけど、何より性器がすごく美しいね! かつて、暇さえあれば自分のアソコを鏡で見ている女優さんがいてね、ふだんから美容液などを使って丁寧にケアしてるんだって。いまでも、こんな女性は珍しいよね。女自身が、自分のモノすらよく理解していない。得体の知れないものだと思っているから、愛せない。男の間違った性幻想もぶっ壊さなきゃいけないけど、女が自分の身体や性に対して無知だったり、ヘンに恥ずかしいと思ったりするのも改めていかなきゃ」

 日本の至るところにはびこっているチンコ至上主義への怒りを、創作の原動力のひとつとしてきた浜野監督。その作品に出てくる男性は、どこか幼稚で情けないイメージです。

1 2

三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(WAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

twitter:@MiuraYue

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

女が映画を作るとき (平凡社新書)