インタビュー

故・今井雅之の二人のガールフレンドによるポリアモリー(複数恋愛)の論説

【この記事のキーワード】
赤坂沙世

撮影=江森康之

 今年5月、大腸がんの闘病を公表していた俳優の今井雅之さんが亡くなった。7月16日には、東京プリンスホテルで「お別れ会」が執り行われ、生前に親しくしていた多くの人々が故人を偲んだという。

 6月2日にmessyでは、今井さんのガールフレンドであったモデル・赤坂沙世(27)さんのInstagram投稿を引用し、【「今井雅之と献身的な黒子妻の夫婦愛」…訃報からの美談という予定調和に違和感】という記事を公開した。

 彼女はインスタ上で今井さんへの追悼の意を表し、一見、複雑に見える関係性を明らかにした。赤坂さんは既婚者だが、女性の恋人・菜生さんがいる。赤坂さんと菜生さんと今井さんの三人は、愛を交わしていた。

「彼等は私の望むポリアモラスな関係を現実にしてくれた。彼には彼女になれとか言われたが、そんなことより、三人のこの関係が楽しかった」

「三人でセックスを終えた後になお(編註:赤坂の恋人)が死んでもいいくらい幸せだと言って、その時に私はセックス以上の幸せを感じた。彼と私で二人で添い寝するのも大好きだった。私と彼の仕事柄か、緊張感や孤独、圧迫感など、似た感情を感じるようで、私達二人で抱きしめあって寝る事がそれらを解消した。彼にきついくらい抱かれて朝まで離れず寝るのは私の何かを確実にほぐしていった。そして彼は私達のポリアモラスなスタイルや活動をよく理解して応援していた」

 ポリアモラスな関係、ポリアモリーとは何か。簡単に言ってしまえば「複数恋愛」。同時に複数の人間と親密な関係――恋人関係――を築くことだ。一対一の恋愛や、その恋愛からつながる結婚を当たり前のことであり是だとする価値観を持つ人(モノガミー)には、理解し難いものだし、モノガミー社会である日本では異端だと思う。けれど、「恋愛は一対一の関係でしなければいけません」という決まりは実はない。今井さんと彼女たちがどのような関係を築きどのような時間を過ごしたのか、そして、なぜ「複数恋愛」か。二人のガールフレンド・赤坂沙世さんと、赤坂“ユニコ”菜生さんに聞いた。

「不倫って言われてもピンとこない」

沙世 今井さんが亡くなった2時間後くらいに、菜生のケータイに週刊誌の人から連絡があったんですよ。取材させてくれって。もう取材チームも組んでるって。ひどいよね。死ぬのを待ち構えてたのかなって思った。

菜生 ちょっとここで詳しくは言えないけど、取材のオファーの仕方だけじゃなくって、そのオファーの内容も結構ひどかったから。事実と異なることを書かれてしまうんじゃないかな、って思って、それは絶対に避けたかった。

沙世 そう。それで、あのインスタの記事を書いたの。

――お二人は今井さんにとって、どういう存在だったんでしょう?

沙世 同志。そしてlover。

菜生 「今井さんと私」「今井さんと沙世」「沙世と私」っていう、一対一の関係もそれぞれあって、各々が二人きりで会ったりもしてたけど、それよりも「今井さんと沙世と私」という三人でいるときが一番楽しいっていうのは、三人とも共通して感じていたと思う。今井さんを含めた三人が、三人でひとつみたいに思える瞬間があった。

沙世 すっごく楽しかった。今井さんは周りの関係者にも、私たちとのことを二人でセットみたいに紹介していたこともあったよね。

――インスタで、今井さんは「ポリアモラスな関係を現実にしてくれた。彼は私達のポリアモラスなスタイルや活動をよく理解して応援していた」とありましたよね。今井さんご自身は、ポリアモリー?

菜生  まず、ポリアモリーっていうのは、人間関係のスタイルのひとつを指す言葉であって、個人の性質を指す言葉ではないのね。これは、日本で誤解されているところ。もちろんポリシーとして「私はポリアモリーだ」ということはできるけれど、そういう人が、実際にポリアモリー関係を築くことができるかどうかは別の話。ポリアモリーっていうのは、合意があるものを指すから。今井さんや私たちそれぞれの個人的な立場は、ポリアモリーという言い方もできるけど、「ノンモノガミー」と言ったほうがより正確かもしれない。

――今井さんや赤坂さんたちのしていることが、モノガミーの人には「遊びまくってる」とか「やりまくってる」とか、あるいは「フリーセックス」と受け取られるんじゃないかと思いますが、そういうのとは違う?

菜生 それはみんなでセックスばっかりしてるとか乱交してるとか?(笑)

沙世 なんか不思議。みんな想像力がすごいと思う。そういう遊び? みたいな価値観が、全然わからないんですよね。

――というと?

沙世 遊びとか、不倫とか、本気とかそういうふうにみんな言うじゃない? 好きだから好きって言って、お互い好きだから一緒にいるだけのことなのに。今回、今井さんとの関係について「不倫」って言葉に当てはまると聞いて、不倫ってなんだ? って、菜生に聞いた。菜生は賢いし、勉強家だから。そしたら、辞書に載ってるって教えてくれて、辞書をひきました。言葉としては「悪いもの」を表しているってことはわかったけど、やっぱりリアリティはない。倫理的におかしいことだって全く思ってなかったし、その言葉がピンとこない。

――恋愛や結婚という関係性において、複数が絡んではいけない。誰かと誰かが、一対一でしか関係を持ってはいけない。それが倫理なんじゃないかと。

菜生 そういう倫理って普遍的なものではないですよね。私と沙世と今井さんが三人で親密にしていたことについて、私たちは誰も不倫だと思っていなかった。それを私たちのパートナーが「ホントはそういうことしてほしくない」というならまだわかるけれど、私たちと恋愛関係にない人たちから「不倫だ」って糾弾されるのはおかしいと思う。

1 2 3 4 5

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

One More Time