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2020年・東京五輪と性風俗業界、「予想」ではなく「議論」を セックスワーク・サミット2015

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Photo by doronko from Flickr

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新国立競技場の建設問題で揺らぐ、2020年の東京五輪。性風俗には五輪や万博などの国際的なイベントの影響を少なからず受けてきた歴史がある。風俗業界内外には、5年後の東京五輪でどんな変化が起きるのか注目している人も多い。

2015年7月18日に行われたセックスワーク・サミット2015では、「東京五輪と歌舞伎町、そして性風俗の未来 ~新世代が解く!ニッポンの風俗のジレンマ~」と題し、来る東京五輪と性風俗について意見が交わされた。

前半は、国内外に歌舞伎町の魅力を紹介するガイドブック「LIKE! KABUKICHO」の発行などの活動をしている、歌舞伎町コンシェルジュ委員会運営事務局・寺谷公一氏と、夜の世界に関わる女性のセカンドキャリア支援をしている一般社団法人GrowAsPeople代表理事・角間惇一郎氏を中心に、性風俗業界で働く人々が、実際のところ五輪についてどう考えているのかを語った。

後半は『漂白される社会』(ダイヤモンド社)の著者で社会学を専門とする開沼博氏を交え、前半で見えて来た課題を分解し、性風俗業界がいま求めているものを洗い出した。(以下敬称略)

性風俗業界では、五輪は話題になっていない

角間「正直、夜の世界で働いている女の子の多くは、五輪について特に意識していないという印象です。中には「オリンピック(とパラリンピック)、あるんだっけ?」みたいな子も多い。

関心が無い一番の理由は、面倒だから。五輪によって外国人観光客が大勢日本を訪れることは明らかですが、現時点でわざわざ、彼らを性風俗店の客として受け入れるメリットが、女の子には無いんです。キャスト(サービス提供をする者)は外国語が話せず、外国人観光客の多くは日本語が話せない。「言葉が通じない外国人とのコミュニケーションを図れず、接客が辛い」と嫌がる子もいます。

海外からのお客さんを無視したい訳ではありませんが、性風俗店にとって外国人観光客の受け入れは、ハードルが高過ぎるんです」

外国人観光客を嫌がる性風俗店のキャスト(サービス提供をする者)が多いのは、外国語で日本独自の性風俗のシステムを説明するのが困難だからだ。

日本の性風俗は海外と比べて独特なシステムが多い。例えば「素股」は、キャストの太ももに男性器を挟み、挿入に近い状態で刺激するが、挿入はしない。「ファッションヘルス」と呼ばれる性風俗形態の店は「本番行為」(挿入)が行われず、「素股」やオーラルセックスを中心にサービスが提供される。この仕組みを、日本語が話せない外国人観光客に一から理解して貰うのは、相当な時間と労力が求められる。この部分が、先の角間氏の「面倒だ」という要因の一つとなっている。

現在外国人観光客を受け入れている店は、サービス提供前に「同意書」にサインをして貰うなどの対処しているが、クレームや料金トラブルが起きることもある。

外国人旅行者の性風俗店への受け入れはハードルが高く、キャスト側との綿密な協力体制が必要になるが、いずれ受け入れざるを得なくなってくるだろう。

昨年2014年の日本に訪れた外国人観光客は過去最多の1341万4千人(日本政府観光局)に上り、東京五輪が近付くに連れ、ますますこの数は増加すると予想されるのだ。

寺谷「日本を旅行する観光客における外国人の割合は着実に増加しています。歌舞伎町でも、性風俗店が外国人観光客を想定したサービスの提供を前提として、さまざまなことを考えています。

現状は、客引き(路上で飲食店や性風俗店を紹介する者)が外国人観光客に対して、通常の何倍もの料金を支払わせる「ぼったくり」店に誘導する事件も起きています。

このような事件を減らす目的で外国人観光客の「受け皿」をつくるということも考え方の一つです。ですから、外国人受け入れに積極的な店や「受け皿」になることに前向きな店と協力して、適正化を図っている訳です。ウェルカムですよとは言えませんが、「受け入れたほうがいいよね」という話の進め方をしています」

角間「GrowAsPeopleでは積極的に外国人と接点を持つということはしていませんが、キャスト・経営側の話を聞いていると、現状は五輪に向けて何か取り組んでいるということは無いようです。とりあえず現状でどうにかなっている。「変に動くと警察が怖い」という話も聞きます」

東京五輪は外国人観光客のみならず、性風俗店で働く外国人キャストの増加も招くと予想される。両氏はそれぞれの活動から、「五輪への対応を特別している訳ではないが、必要に応じて対処していく」との見解が伺えた。

外国人観光客・キャストの増加と併せて話題になる点は「締め付けが厳しくなるのか」だ。1990年に大阪府で開かれた「国際花と緑の博覧会」によって、大阪府内のソープランドが全て廃業に追い込まれた様に、東京五輪によって東京周辺の性風俗店の摘発が相次ぐと予想する声もある。

摘発や制度による性風俗への締め付けが厳しくなるとすれば、そのきっかけは何になるのだろうか。

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