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清々しいほどの虚無が気持ちいい! グラドル・杉原杏璃の自伝的小説『……and LOVE』

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杉原杏璃『……and LOVE』(双葉社)

杉原杏璃『……and LOVE』(双葉社)

「男はみんな、大きなおっぱいが好きだ」という物言いは、もはや揺るぎない真実のように語られており、かく言う私も「大きなおっぱいが好きです」と宣言するのはやぶさかではない。しかしながら、大きければ大きいほど良い、というわけではない。「苦手なおっぱい」が私にはある。なかでも身長は160cmに満たない日本人女性平均並みなのに、胸にはバレーボールか、マスクメロンか、みたいな二つの大きすぎる乳房がくっついています、というタイプ。具体例を申し上げなら、真木よう子のおっぱいは見ていて怖くなる。

「まんじゅう怖い」的な話ではなく「バランスが大事じゃないですか」という話である。真木よう子の場合、猛禽類のような顔も怖いと思う要因のひとつかもしれない。真木よう子が怖いならば当然、杉原杏璃も怖い(両者の外見的な類似については、ある辛辣な編集者が『あの二人は整形の執刀医が同じなのではないか』と言っていた。真偽はまったく定かではないが、なるほど、と思う意見だ)。写真週刊誌などの表紙やグラビアに起用され続ける人気グラビアアイドルだから、目にする機会は多々あるが、目に入るたびに「杉原杏璃のおっぱいは怖いなあ……」と感じ、その雑誌が置かれたコーナーから離れたくなってしまう。

怖いのに目が離せない……

悔しいのは、近年の杉原杏璃のグラドル活動以外の仕事ぶりからは目が離せないことだ。彼女は現在33歳。AV女優だったらとっくに熟女の年齢であり、若さが好まれる傾向のあるグラドルとして、年齢的な“ギリギリさ”に伴う痛々しさをバラエティでのネタにしていたり(ブログにアップする自撮り写真を一人暮らしのマンションで延々と撮り直している姿に込められた悲しさ)、株式投資で1000万円以上稼いだと言って「株ドル」化してみたり(株式投資で1000万円儲けた、って、金額的には大したことがない気がするが)、そうかと思えば、「芸能人デリヘル」や「枕営業」の存在を仄めかし暴露芸人みたいになってもいる。

芸能人デリヘルや枕営業の件に関しては「自分はやっていません」としっかり前置きしているのがダーティだが、彼女の活動の軸がブレブレなのは、存在の嘘っぽさをより強く印象付けてもいるし、「これは誰が喜ぶんだろう……?」と思いつつ、私はつい興味を持ってしまう。その活動にイチイチ前例が思い浮かぶ、というのもまた良い。熟年グラドルでは、ほしのあきが。株ドルでは、名波はるかが。暴露アイドルでは……これはたくさんいるので全然珍しくもなんともない。そういうわけだから、先日彼女が処女小説『……and LOVE』(双葉社)を刊行したのも、ものすごく気持ち悪い半笑いを浮かべながら受け入れてしまった。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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