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最高のセックス以外はセックスじゃない?『an・an』夏恒例特集に食傷気味

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 『an・an』夏のセックス特集についてmessyで書くのも、これが3度目となります。

2013年:夏の風物詩『an・an』セックス特集、読みました! 独り寝ニスト的感想文
2014年:夏恒例『an・an』セックス特集、今年はトンデモ・テクと重大な異変が…

 今年も8月に入ってからは「そういえばそろそろかな、今年は誰が表紙なのかな」とちらりと考えてもいました。しかしどうしたことでしょう、まったくワクワクしないんです。

 目次を見ても、「心も体も満たされた、最高のSEX」「わたしたちが感じる、あの瞬間」「気になる“ひとりHの世界をのぞき見”」……えっと、昨年も一昨年も同じことやっていませんでしたっけ。タイトルだけでなく中身も、「昨年のコピペですか?」と既視感ありまくり。セックスに関する読者アンケートの数値や、読者による「私の最高体験」のこまかいシチュエーションこそ違えども、ここまで代わり映えしない内容で押し切るって逆に見事だなと感心するほどです。

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 今年は「愛と絆が深まる、最高のSEX」と副題に謳っていますが、「最高のSEX」「私史上最高のSEX」という言い回しはどの年においても頻出します。漫画家・湊よりこさんもインタビュー記事で、「つまらないSEXなら、しない方がマシ。するなら最高のものでないと」と発言されていました。同インタビューでは「エクスタシーを得るのにもっとも大切なのは、お互い正直に、自分を解放すること」とあり、お説しごくごもっともなのですが、「満たされていると、仕事にも私生活にもいい影響をおよぼす」「正直、レスになったら髭生えちゃいますよ」とまでなると、セックスを過大評価し、かつセックスに期待するものが大きすぎるという印象を受けます。セックスはめくるめくもの。我を忘れるもの。なんなら人生まで変わっちゃうもの……それってかえって、しんどくないですか?

 最高のセックスを目指すこと自体は、たいへんステキです。私も、どうせするなら満足度の高いセックスがいいです。でも、当連載でもたびたび書いているように、セックスやオナニーってそんな特別で最高でめくるめくものである以前に、「生活」に根ざしたものだとも思うのです。

最高じゃなければセックスじゃない?

 たとえば、「今夜はイマイチ気乗りしない……でも彼が求めてくるし、たしかにちょっとご無沙汰だから、応じておくか」というテンションでするセックスはたいへん現実的で、キラキラしていません。でも、それはそれでふたりのセックスを維持するために必要な行為です。「あまりに疲れていたから挿入中に寝てしまった。しかもすっぴんで髪もぐしゃぐしゃで寝顔超ブス」っていう夜もあるでしょう。美しくも何ともありませんが、長くつき合ったカップル、夫婦のセックスってそんなものではありませんか?

 「100点はすばらしい」と「100点じゃなきゃダメ」とは明らかに違います。毎年「最高のSEX」を強迫観念的に連呼する同誌の特集においては、どうしても後者のニュアンスを強く感じてしまうのです。

 そんな100点セックスを目指すための特集が満載なわけですが、2015年いちばんのツッコミどころは「究極の男性愛撫法 恥じらう淑女の愛撫の心得」でした。「愛する人と芯から萌えるようなセックスがしたいなら、まずはカレの性感を高め、あなたと“早く繋がりたい”と思われるような振る舞いから身につけるべき」とは、実に『an・an』的。すなわち、自分が愉しむより彼に奉仕しろ! ってことですね。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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anan (アンアン) 2015/08/19号 雑誌