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ライフラインが全滅したあの日 昭和家電が誘う貧困への道

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 可愛くなりたいけど自分磨きとかダルいし、そんなお金あるなら本買いたいし……。

 女子力と知力との狭間をフラフラし続けた結果、どちらも下がる一方の残念な生き物になりました♪ シングルマザー女子大生・上原由佳子です。今回は「昭和家電と貧困」について書きたいと思います。

ライフラインが全滅したあの日……

 わけあって東京に1週間ほど滞在していた今年6月のとある日、私が隣に立つことすら許されないくらい可愛い、清楚系セクシーアイドルとして活躍中のカリンと、池袋のルノアールで女子トークを繰り広げていました。ああ、ストローを咥える姿も愛らしいなんて……と思いながら、カリンに女子の永遠のテーマについて質問してみました。

「可愛くなるためには、どうしたらいいの?」

カリンの返事は私にとってとても残酷なものでした。

「常に可愛くなりたいって思うことかな★」

……流石、セクシーアイドル。スッピン! サンダル! メガネ! の上原は、残酷な現実から眼を背け、そっと話題を変えることにしました。

「そういえば、由佳子の部屋のクーラー昭和40年代の物なんだよね」

「えっ! 私も冷蔵庫が昭和40年代の物だったよ、昭和家電は電気代高くつくから大変だよね!!」

あれ……? 話が通じる……?

読者の皆様はご存じないかもしれませんが、昭和家電は電気料金が非常に高くつきます。そしてそのことを知っている人はあまりいない……と思っていたら、清楚系セクシーアイドルのカリンが、フレンチトーストを頬張りながら私の話に同意してくれたんです。

驚きのあまり、ぽかんと口を開けていたスッピンサンダルメガネの上原は、19歳のあの夏を思い出していました。そう、ライフラインが全滅したあの日のことを……。

昭和家電に優しさなんてなかった

 もう忘却の彼方へ消え去ってしまったかもしれませんが、記録的な猛暑となった2007年の夏に、わたくし上原は妊婦特有の悪阻と電気代に悩まされていました。

 妊娠中もキャバクラに勤め、なんとか生活を維持していたものの毎月ギリギリ。あれもこれも、憎き昭和家電さんのせい。夏になると、毎月の電気代は約3万円にまで跳ね上がります。ただでさえギリギリの生活なのに、毎月3万円も支払うなんて……。思い切って食費を削り新しい冷房を購入するか、月3万円の支払いに耐え続けるか。日々頭を悩ませていました。

 しかし私は食べないと吐いてしまうタイプの悪阻だったため、食費を削るわけにもいきませんでした。というわけで、昭和家電さんへのお給料(月3万円)の支払いに耐えることにしました。

 とはいえ、妊娠中ですからお腹が大きくなったら働けません。つまりいつかはキャバクラで働いていられなくなる。収入がゼロになってしまうわけです。このままじゃ、どうにもならなくなってしまう。そうなる前に手を打たなくてはいけません。

 キャバクラを辞めるタイムリミットが刻一刻と近づいていくにつれて「電気代、どうしようかな?」という不安は大きくなります。それでも食費は削れない。冷房を止めるわけにもいかない。それに加えてどんどんと酷くなっていく悪阻。結局、日々の生活費を支払うので手一杯で、ほとんど貯金もできないままキャバクラを辞めます。そしてその時、日々の不安と不満は最高潮に達します。

「たまったもんじゃない!!! もう無理!!!」

 そんなある日、キャバクラ勤めの幼馴染みに「お腹空いて悪阻がキツいんだけど、マジで金ないんだよね!!」と話をすると、心配してくれたのか、仕事が終わってから弁当を持ってきてくれるようになりました。これで飢えをしのぐことができるし、悪祖もなんとかなる……幼馴染みのおかげで悪阻問題は解決です。幼馴染みよ、本当にありがとう!!!

 しかし! 全ての問題が解決したわけではありません。我が家の天井付近に堂々と存在している茶色いアイツ。昭和40年代の冷房は、妊娠中の私への優しさなど持ち合わせていなかったのです。

 「ねえ、電気代払えなかったら電気止まるんだけど」

 (後に離婚することになる)夫に相談してみたものの、私の期待はあっさり裏切られます。

 「こういう生活になることは分かっていて結婚したんだろ!!」

 と、凄まじい逆ギレをかまされました(爆笑)。結局、私たち夫婦は昭和家電に敗北します。そう、電気代を払えず、我が家の電気は止まってしまいました。

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上原由佳子

1988年生まれ。沖縄県在住。シングルマザー女子大生。女子力の欠片もなさを小学1年生の娘ちゃんから指摘される、どうしようもない系アラサー女子。

@yu756ka

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