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クリーン化が孕む性産業従事者への差別問題とジェンダーは矛盾しないのか

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適度に性的、の基準とは

 志摩市行政としては、「売春」はアウトだけど、適度に「性的」であり、「萌え」も兼ね備えているキャラクターはオッケーという見解なのでしょうか。その場合、今度は「適度な性」とはどのようなものを指すのかが気になります。

 私が興味があるのは、「観光から性を漂白し、性的な要素を含む観光があった時代を忘却し、健全な観光地を目指そう」という“クリーン化”志向から「観光地に性的なキャラクターは不適切」とすることではなく、

●どこまで、どのように性的な観光地なら許容されるのか。

●観光地は健全でなくてはいけないという発想はどこからくるのか。

●観光地において性的なキャラクターを不適切とすることはジェンダースタディーズ的観点から適切であるといえるのか。

という問題です。

 もちろん、「精進落とし」として遊郭で豪遊する江戸の観光や、「秘宝館」をはじめとした昭和の性的な観光は素晴らしい、平成の「観光地のクリーン化」は全面的に間違っているという話ではありません。

 来年2016年にはサミットも行われる土地として、志摩市が“萌え”をウリにするのは相応しいのであろうか、という意見があることも当然であると思います。

 2000年代後半から盛り上がった「ゆるキャラブーム」が収束しつつある中で、全体的に脱性的・非人間的な「ゆるキャラ」とは対照的な、エロゲのキャラクターのようなデザインの碧志摩メグのような「萌えキャラ」が観光地の公式キャラクターとして台頭してきたことは、もしかしたら、東京オリンピックに向けての都市再開発におけるジェントリフィケーションや“歌舞伎町浄化計画”などとは真逆の、「観光地における性の復興(ルネサンス)」なのかもしれません。

 であるとすれば、観光地における「性のルネサンス」を規制や浄化・漂白することよりも、今後どのように展開していくのか、どのような形が最適であるのかこそが考えられるべきであると思います。

backno.

 

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柴田英里

現代美術作家、文筆家。彫刻史において蔑ろにされてきた装飾性と、彫刻身体の攪乱と拡張をメインテーマに活動しています。Book Newsサイトにて『ケンタッキー・フランケンシュタイン博士の戦闘美少女研究室』を不定期で連載中。好きな肉は牛と馬、好きなエナジードリンクはオロナミンCとレッドブルです。現在、様々なマイノリティーの為のアートイベント「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」の映像・記録誌をつくるためにCAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中。

@erishibata

「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」

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