「考えすぎでは」と思う人も一部にいるのかもしれません。しかし製作側は明らかに意識をしています。番組のホームページに載せられている、ナレーターを務める高田純次さんへのインタビューに、
Q.初め『むちむち!』という番組と聞いてどのようなことを思い浮かべましたか?
A.あ~、ずいぶんまたボンキュボンの子が出てくるんだろうな、これはオレがナレーションしなくちゃいけないなって思いましたよ(笑)。
と書かれているのです。製作側も「むちむち」という言葉がなにを想起させるのかわかっているということですよね。そもそも先ほど紹介したツイートでも「イヤらしい番組ではありません」と書いていますし。「思いつきもしなかった」という言い逃れを準備する必要があるとも思わなかったようです。さらに、
A.視聴者の方への見どころを。
Q.ぼくの感じとしての見どころは、まあ、視聴者の皆さんには最初から最後までっていうね。うん。どこも、立っちゃいけないよっていう。トイレにいっちゃいけないよっていう。
「トイレにいっちゃいけないよ」と書いていますが、「どこも、立っちゃいけないよ」には性的なニュアンスがあるように感じられます。親父ギャグを連発する高田さんにそれを言わせている時点で確信犯でしょう。製作側が「イヤらしい」視点は一切ないと開き直るのには無理があります。
東京大学准教授の清水晶子さんがNHKに、問題点の指摘とNHKとしての見解を出すように問い合わせをされています。清水さんに対するNHKの回答は以下の通りです。
「この番組は、スマホ片手に情報の海を巧みに泳ぎながらも、自分の関心事以外は、あまりモノを知らないイマドキの女子高校生を未知の現場の旅に連れ出し、彼女たちの豊かな感性を通して、大人達も知らない事実を発見していくというものです。 — SHIMIZU Akiko(清水晶子) (@akishmz) 2015, 8月 20
旅先は、実際、渋谷や原宿の女子高校生にこのコトバの意味を聞いたところ不正解の割合が高かった「普天間」と「お遍路」の現場で、女子高校生の純粋な目線の旅で、いろいろな事に気づかされます。 — SHIMIZU Akiko(清水晶子) (@akishmz) 2015, 8月 20
女子高生の無知を面白おかしく取り上げた番組ではなく、「普天間」や「お遍路」の現場での実体験を通じて、彼女たちがこれまで気付かなかった“何か”を感じとっていく姿を真剣に追ったドキュメンタリー番組です。 — SHIMIZU Akiko(清水晶子) (@akishmz) 2015, 8月 20
今後とも、NHKをご支援いただきますようお願いいたします。 お便りありがとうございました。」 — SHIMIZU Akiko(清水晶子) (@akishmz) 2015, 8月 20
Eテレの件、NHKからご回答頂いたのですが、指摘した点を全てすっ飛ばしてサイト上の番宣文言をそのまま繰り返すだけのご回答で、番組タイトルや設定ら番宣ツイートの問題については一切言及がありませんでした。大変残念です。 — SHIMIZU Akiko(清水晶子) (@akishmz) 2015, 8月 20
公共放送であるNHKは、女性蔑視的な、セクシズムともいえるコンセプトを掲げた番組を問題ないと考えているようです。女性蔑視の問題を知らずにやっているなら無知、知った上でやっているのであれば無恥だとしか思えません。清水さんの指摘に対して答えていないということは、練馬区同様に、聞く耳を持っていない。いまのところ番組HPでもツイッターでも公式見解は発表されていません。これもまた「出したもの」だから打ち切れないという、事なかれ主義で押し通されてしまうのでしょうか。
数多くの教育番組を製作している公共放送も、東京都23区の中で2番目に人口の多い練馬区も、そ知らぬ顔でセクシズムを垂れ流している現状に、とにかくゲンナリしてしまいました。
(水谷ヨウ)
1 2