インタビュー

男に「言葉を届ける」のはなぜこんなにも難しいのか? 男性問題を問い直せない社会構造と、男型の“演繹”発想

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いくら男の心配をしても、男性に言葉を届けるのは思った以上に困難です。それはなぜなのか? 男性学の専門家である武蔵大学・田中俊之先生に、桃山商事の清田代表がお話をうかがいました。

【前編はこちら!】

男性のジェンダー問題を問い直すと社会が停滞する

清田代表(以下、清田) 前編では、実は男自身もよくわかっていない「男らしさ」というものについてお聞きしました。昔と今ではその内容が変化し、男性が期待されるものは増えている。さらに、社会は大きく変わっているのに、男性のライフコースがまったく多様化していない。こういった要素が、男性特有の「生きづらさ」につながっているというお話でした。

田中俊之(以下、田中) そうですね。しかも、当の男性はその「生きづらさ」を抱えながらも、理由や原因にほとんど気づいていないという……。

清田 そんな状況に問題提起を投げかけたのが、先生の著書『男がつらいよ─絶望の時代の希望の男性学』(KADOKAWA)と『<40男>はなぜ嫌われるか』(イースト新書)だと思います。現代の男性が置かれている状況を分析し、「生きづらさ」の正体を丁寧に解説したこれらの本は、男性を“男らしさの呪縛”から解き放ってくれる優しい手引きのように感じましたが……その一方で思ったのは、「とはいえ、この言葉は男性に届くのだろうか?」という疑問で。

田中 前回も述べたように、そこはなかなか悩ましいところで。正直、男性に当事者意識を持って読んでもらえているかというと、ちょっと微妙です。例えばジェーン・スーさんの本なんかは、女性たちは「これは私のことだ!」と膝を打って読んでると思うんですよ。同じような感覚で男性が私の本を読んでくれたらうれしいのですが……。

桃山商事清田代表「男性に言葉が届かない…」

清田代表「男性に言葉が届かない…」

清田 男性に言葉を届けることの難しさは、桃山商事の活動でも常々感じています。これの原因って何なんでしょうか?

田中 まずひとつは「考えたところでしょうがない」という諦めがあると思います。例えば男性がこれを読んで感化されて、「じゃあ仕事を辞めるか!」ってなったとしても、それは無理だと思うんですよ。「雇われて働く」以外の選択肢がほぼないので。これは社会構造の問題です。

清田 平成26年の総務省労働力調査によると、就業している男性のおよそ8割が会社勤めをしているみたいですね。

田中 そうなんです。そのうえ、正規の会社員というのは長時間労働が当たり前になっていて、高度経済成長の時代から、男性の長時間労働や家庭内の性別役割分業を前提に会社や家庭が成り立っている。だから、「男性のジェンダー問題」なんて無いことにしないと、社会が立ち行かないという側面があるんですよ。

清田 根本から問い直すことになっちゃいますもんね……。考えたところで状況は変わらないんだから、考えるだけムダである、と。

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桃山商事

二軍男子で構成された恋バナ収集ユニット「桃山商事」。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆など、何でも手がける恋愛の総合商社。男女のすれ違いを考える恋バナポッドキャスト『二軍ラジオ』も更新中。コンセプトは“オトコ版 SEX AND THE CITY”。著書『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)が発売中。

@momoyama_radio

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