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豪雨ハイでフリーダムな樹木希林と、無感動な獅童のコントラスト。ヤバすぎた隅田川花火大会

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花火

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 街で浴衣姿の女子を見かけると「あぁ、今年も花火大会の季節が来たんだな~」と思う。7月27日にテレビ東京で放送された夏の風物詩、『第36回 隅田川花火大会』でも、たくさんの浴衣女子が画面いっぱいに映し出されていた。18時30分の番組放送開始時には、まさかあんな豪雨が来るなんて、彼女たちはもちろん、MCの高橋英樹も思ってもいなかっただろう。そう、この日の花火大会は、突然の雷雨によりあっけなく中止となってしまったのだ。

 第一会場、第二会場合わせて2万2,765発という史上最多の花火が打ち上がる予定だったのに。今年は新しい撮影機材を導入して花火を撮影するんだと意気込んでいた番組スタッフもいたであろうに。

 花火の打ち上がる前の18時台は、事前に収録された高橋英樹&真麻の親子コンビで花火中継場所探しと下町激ウマ老舗グルメを堪能するレポートを放送。フジテレビを退職し、今回初めてテレビ東京の花火大会の中継レポーターに抜擢された真麻は「今年はスカイツリーも見えて花火も見えるというポジションを見つけたい」と意気込んでいた。

 スカイツリー見学を終えた二人はソラマチ内にあるうなぎ料理専門店へ。テレ東の人気番組『モヤさま』ばりに街の人々と陽気に会話しつつ下町散策したり、グルメ番組ばりに浅草寺の参道内の商店できび団子を食べたり、ソフトクリームを食べたり、まるで中継場所を探していない。そんな感じで放送開始18分を過ぎたころ、画面上部に“気象情報”テロップが入り「埼玉 大雨・洪水警報」と報じた。おや? もしや雨雲、こっち来ちゃう感じ?

 あれだけ、いろいろつまみ食いしていたのに、老舗洋食店でオムライスとビーフシチューを仲良くシェアしながら食べる英樹パパとマーサ。別のお店に移動すると、昼間から一杯飲み始めちゃう。ただの親子団らんになってるよ! さっき食べたばっかりなのに、“牛煮込み”と“くじらの竜田揚げ”をつまみにして飲むわ食うわのオンパレード。なぜか、そのお店の大将が教えてくれた隅田川を一望できるという“ザ・ゲートホテル雷門”の屋上テラスに真麻の中継場所が決まった。

テンション低い獅童、スパイダーマンは登場しない

 VTRが終わり真麻との中継を繋ぐ英樹パパの「マ~サ~!」の呼びかけに、「は~い! パパ~、そしてみなさんこんばんは、高橋真麻です」と親子電話みたいな感じから始まる中継。昨年の8月に開業したという“ザ・ゲートホテル雷門”からの花火中継は初めてになるそうだ。そしてこの時、真麻は「今日は今まで見たことのない景色をお届けします!」と意気込んで言っていた。この30分後には、花火中継らしからぬ、ほんとに花火大会では見たことのない悲惨な景色を視聴者に見せることになるなんて……。

 屋外特設スタジオのゲストには樹木希林、中村獅童、田丸麻紀、潮田玲子の4名が艶やかな浴衣姿で登場。第二会場の中継ポイントには屋形船に乗りながら舞の海と2013年アサヒビールイメージガールの堀口ひかるが待機。その屋形船には新兵器となるラジコン飛行機のような撮影機材が控えていた。残念ながら、悪天候によりこの新兵器を使った映像は見ることが出来なかったが。

 高橋英樹に「いよいよですね~、楽しみですね~!」と話を振られた樹木希林は「ほんとに楽しみです!花火師が火の粉を浴びながら(火を)くべていくその様が、またこれが色気があるんですよね~」と興奮気味にウットリ語っていた。同じくゲストの中村獅童は「ドキドキしますねー」と真顔でちっともドキドキ感が伝わって来ない。え!? この仕事乗り気じゃなかったの? スパイダーマン出て来ないとテンション上がらない? 希林さんのテンション見習ってよ~。

豪雨ハイになったマーサと希林

 そして19時を少し過ぎた頃、華々しく最初の祝砲の花火が上がった。「や~! 今年も日本の夏が来たという気がしますね~!」と早速テンションMAXになる英樹パパ。この時はまだ雨はまるで降ってはいなかったのだ、スカイツリーの真横に打ち上がる花火の綺麗なこと鮮やかなこと。

 今年初の中継場所である“ザ・ゲートホテル雷門”からの花火の眺めを聞こうと「マ~サ~!」と元気良く呼びかける英樹パパ。その屋上テラスで中継を受け持つ真麻はアナウンサー時代に培ったインタビュー力で、その場で花火を見ていた観客にそつなくインタビューをして、しっかりと自分の任務を果たしていた。

 夏の隅田川の夜空に映える様々な綺麗な花火がしばらく打ち上がり、歓声と拍手で湧き上がる下町の花火会場。すっかり花火に心を奪われ、おもむろに歌人の俳句を詠みだす樹木希林に対して、「やー、感動的ですねー。仕事だということをすっかり忘れて夢中になって見ちゃいました」と感動加減がちっとも伝わらない無表情で語るポーカーフェイス獅童。なんだろ? この二人の温度差コントラストって……。潮田玲子は五輪をイメージした花火が上がるということでキャスティングされたのか、花火にからめて“オリンピック招致”についてのコメントをしていた。

 しかし、無常にも打ち上げ開始から20分が経とうとしていた辺りからポツポツと雨が降り始めた。画面上部には“気象情報”テロップが入り「東京23区 大雨・洪水警報」と報じた。ヤバい! これはヤバい! 大雨来るぞ~!! 次第に強くなる雨脚は徐々に打ち上げ花火にも影響が出始めて、打ち上がる高さがだんだんと低くなってきた。

 屋外スタジオなので、傘を差し出す出演者たち。大丈夫だろうか? 第二会場の屋形船で中継担当している舞の海が映ると、強めの雨が降っていて差している傘がだいぶ煽られていた。上空では花火と雨と雷のせめぎ合いが起こっている。

 そして、次の中継先からは花火大会とは思えぬ衝撃映像が飛び込んできた!豪雨と強風でずぶ濡れの真麻が必死にリポートをしていたのだ。高層ホテルの屋上のためか余計強風にやられていて、もはや台風中継としか思えない! 浴衣で台風中継って斬新過ぎる~!! 「雨が凄すぎて逆にテンションが上がりますね~!」と豪雨ハイとなってしまったマーサ。こんな嵐の中で、インタビューを強行させちゃうテレ東の演出力! マイクを向けられた観覧客も「台風中継みたいで大変だと思いますけど、花火師の皆さんが一生懸命花火を上げて下さるので最後まで一生懸命見ます!」と張り切る花火師ハイの若者。なんというミラクル映像でしょう! 「アナウンサー的なお仕事が久々なので緊張しています」と、ややテンパり気味だったのが嘘のような、ド根性中継だ。

 滝のように雨がしたたっている屋外スタジオに画面が切り変わると、透明のビニール傘を差す災難な樹木希林らゲストたちの映像。シュール! 残念シュール! そして英樹パパの口から「はい! こちら雨がもの凄いことになっております!本日の花火大会は中止となりました!」という残念なお知らせが発せられたのであった。

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テレ川ビノ子

テレビが大好き過ぎて、頼まれてもいないのに勝手にテレビを全般的に応援しています。おもしろテレビ万歳!

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