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リベンジポルノで泣き寝入りしないための「別れ方」 誰もが被害者・加害者になり得る 角間惇一郎×清水陽平

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清水陽平さん(左)と角間惇一郎さん(右)

清水陽平さん(左)と角間惇一郎さん(右)

「別れた元カレ・カノが、付き合っていた頃に撮った性的な写真をネットにバラ撒いてしまった。他の誰かに見せるつもりで撮ったわけじゃないのに……」

このような被害を一般的に「リベンジポルノ」と言います。近年、リベンジポルノにまつわる事件がニュース番組やインターネットの記事などで大きく報道されるようになり、2014年11月には「リベンジポルノ防止法(私事性的画像提供等による被害の防止に関する法律)」が成立しました。

しかもリベンジポルノに該当する写真を公開した本人でなくとも、安易に拡散してしまった場合も、罪に問われる可能性があることはあまり知られていないかもしれません。また先日、「フライデー」(講談社)にアナウンサーとされる女性の性的な写真が掲載されました。こうした写真を流出させた人物や掲載した媒体を「リベンジポルノ防止法」で罰することはできるのでしょうか? それを知るためには「リベンジポルノ防止法」の性質を理解する必要があります。

そこで今回は、インターネット上で行われる誹謗中傷の削除や投稿者の特定などを行っている弁護士の清水陽平さんと、風俗嬢を対象にした相談事業やセカンドキャリア支援を行っている一般社団法人GrowAsPeopleの角間惇一郎さんに「リベンジポルノ」をテーマに対談していただきました。

一度インターネットに放流されたデータを完全に消すことが難しい中で、リベンジポルノの被害者にならないために出来ることとは? 交際相手と別れるとき、思い出を捨てずに残すことが、あなたのためになるかもしれません。

拡散行為も罰せられる可能性がある

―― 今日は弁護士の清水陽平さんと風俗嬢の支援を行う一般社団法人GrowAsPeopleの角間惇一郎さんに「リベンジポルノ」をテーマに対談をいただきたいと思います。一般的に使われている「リベンジポルノ」と、いわゆる「リベンジポルノ防止法」では、定義が異なることをご存じない読者もいると思うので、その点を清水さんに解説いただけますか?

清水 一般的に「リベンジポルノ」とは、元交際相手に恨みを持って、裸などの性的な写真をインターネット上に公開する行為のことだと言われています。一方、私事性的画像提供等による被害の防止に関する法律、通称「リベンジポルノ防止法」は、性欲を掻き立てるような裸の写真や動画を、公開する前提ではなく撮影して、それをインターネット上に公開したり提供したりした場合に罰せられるという法律です。

角間 性欲を掻き立てられるような写真や動画?

清水 法律上は3つの定義があります。

・性交または性交類似行為に係る人の姿態
・人が人の性器等(性器、肛門または乳首)を触る行為または人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させまたは刺激するもの
・衣服の全部または一部を着けない人の姿態であって、ことさらに人の性的な部位(性器などもしくはその周辺部、臀部または胸部)が露出されまたは強調されているものであり、かつ性欲を興奮させまたは刺激するもの

角間 「性欲を興奮させ又は刺激するもの」って主観的なところがありますよね。それこそキスしている写真ですら、性的なものだと受け取れるかもしれませんし。

清水 多分キスだけだと「リベンジポルノ防止法」の要件には当たらないと思います。公開されたくはないでしょうが。

角間 下着姿や水着姿は?

清水 アウトの可能性がありますね。その点については、議論されているところで。

角間 線引きが難しいですが、ともあれ、そうした写真や動画が、非公開を前提として撮られていたにもかかわらず公開されてしまった場合、公開した人は法的に処罰されるというのが「リベンジポルノ防止法」なわけですね。

清水 そうです。公開した者には3年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられます。自分が撮影したものでなくても、自分に回ってきた裸の写真や動画を公開したり拡散した場合も、1年以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられるんですよね。

角間 Twitterでリツイートしても、ということですか?

清水 そうですね。拡散する行為も、自らそれらの写真や動画を公然と陳列したものだとして罰せられる可能性があります。

法整備が進んだきっかけ

角間 週刊誌で芸能人のみだらな写真がスクープされたりするじゃないですか。あれってある種のリベンジポルノですよね。リベンジポルノ防止法で罰せられないんですか?

清水 週刊誌も、リベンジポルノ防止法に当たります。3条2項には「私事性的画像記録物を不特定者若しくは多数の者に提供し、または公然と陳列した者」と書かれてあるので。電気通信回線、つまりインターネット以外の方法でも、撮影された人を特定できる形で公開していれば罰せられる。あるいは名誉毀損罪でも摘発出来ますね。法定刑も同じで、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。ただ、芸能人の方が訴訟を起こすことがあまりないのは、訴えたら自分の写真だと認めてしまうようなものなので難しいのかもしれません。

角間 なるほど、でも名誉毀損とリベンジポルノ防止法の法定刑が同じなら、リベンジポルノ防止法って必要ないんじゃないですか? リベンジポルノって基本的に全て名誉毀損ですよね?

清水 おっしゃるとおりで、リベンジポルノ防止法が出来る前は、名誉棄損罪やわいせつ物頒布罪などで対応出来ていたんです。自民党の谷垣禎一さんは弁護士資格も持っていらっしゃるんですが、リベンジポルノ防止法が議論されていたとき、「現行法で対応出来ているから新しく法律を作る必要はないんじゃないか」と言っていました。実務家も大体同じようなことを言っていましたし、私もそう思っていました

角間 でも2013年10月の三鷹の女子高生殺人事件をきっかけに一気に法律ができた、と。

清水 ええ、元交際相手の女子高生を殺害した犯人が、逮捕される直前まで、交際中に撮影した被害者の性的な画像をインターネット上に拡散させていたという事件がセンセーショナルに取り上げられました。あの事件が契機となって、法整備が必要だ、という話になった。

角間 事件が起こる前は議論されていなかったのでしょうか?

清水 私が知る限りはありませんでしたね。先ほどもお話しましたが、現行法で対応出来ていたので必要がなかったんですよ。当時は、今ほどリベンジポルノという概念が広まっていませんでしたし、知られていてもそれほど問題視されていなかったのかと。

角間 今まで週刊誌や限られた媒体の中だけの問題だったのが、携帯電話やスマートフォンの普及によって誰もが簡単に写真や動画を撮ってインターネット上に公開出来るようになり、全国民が記者みたいな状態になっている。結果的に、「リベンジポルノ」という社会問題が発生したのかもしれませんね。

清水 そうですね。被害が急速に拡大していく中で、三鷹女子高生殺人事件が起き、社会問題だとしっかり認識されるようになったのだと思います。以前は、リベンジポルノ防止法は必要ないと思っていたのですが、法律が出来て認知が進み、実際に逮捕者が出ていることが報道されることで、さらに周知され、その上抑止効果もあるという点で有意義だったのだと考えを変えました。

角間 ただ、先ほどお話になっていましたが「リベンジポルノ」に該当する写真をリツイートすることでも罪に問われる可能性があることはまだまだ知れわたっていないと思うんですよね。気軽に情報や写真を拡散している現状を考えると。

清水 一般的には、写真や情報を拡散することが名誉毀損にあたるというイメージがないみたいなんですよ。「バカ」みたいな侮辱的な言葉だけが名誉毀損だと思われがちなんです。この点はもっと知ってもらいたいですね。

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