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リケ女が少ない本当の理由は? 「女子=理系に向かない」の思い込みから解放されよう!

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Photo by Man Ng from Flickr

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   8月27日、鹿児島県の県庁で開催された県総合教育会議の場で、伊藤祐一郎同県知事が「サイン、コサイン、タンジェントを女の子に教えて何になる?」「サイン、コサイン、タンジェントを社会で使ったことがあるか女性に問うと、10分の9は使ったことがないと答える」「社会の事象とか、植物の花とか草の名前を教えたほうが良い」といった発言をされ、問題になりました(翌日、「口が滑った」と撤回)。

 サインコサインタンジェント(三角関数)は、比喩的に出されただけで、 「高度な数学は女子学生に必要ないのでは?」という趣旨のご発言かと思いますが、これは「口が滑った」では済まない、とても危険な発言です。

 現在、日本で理系分野に進む女子は男子よりも圧倒的に低くなっていますが、その理由は、生まれついての脳の構造の性差や、能力の性差でしょうか? 実は、OECDなどの調査によって、生物学的な性差ではなく、環境要因が理由であることが分っています。

 そして、この環境要因とは、伊藤知事の発言が表しているような「女子=文系、家政」「理系の学問は男子向き」――という社会にはびこる思い込み。この強力な思い込みによって、子供が進路選択をする際に、親や教師など周囲の大人も女子に理系の選択を進めず、また女子自身も能力があっても苦手意識を感じて理系科目を忌避してしまう。この悪循環から、「女子=文系、理系に向かない」というステレオタイプがどんどん強化されてしまうのです。

 鹿児島県知事の発言を聞いて、アメリカ人のソフトウェアエンジニアで、三角関数等を駆使してプログラムを書いている友人は、とても怒っていました。「今、世界でソフトウェア中心にエンジニアの重要性が増していて、待遇もどんどん上がっている。アメリカでは、男女とも理系を増やそうと必死になっている中で、女の子に高度数学を教えないなんて、女の子にとっての大きな可能性や選択肢をつぶすことになる」。

リケ女達のファイトバックキャンペーン #ILookLikeAnEngineer

 ただ、残念ながら、現状、理系の職業に男性が多いのは、ほぼ万国共通。エンジニアの女性は、世界でたったの14%にとどまっています。

 こんな状況の中、リケ女達は黙っていません。「理系・エンジニア=男」というステレオタイプを打ち破るための試みは多くあり、中でもこの夏盛り上がったキャンペーンが、#ILookLikeAnEngineer (女性エンジニアってこんな感じだよ!)。スタートしたのは、アメリカ在住の女性エンジニア、アイシス・ウェンガー。女性エンジニアのイメージに対する偏見を変えたいと、セルフィーととともにこのハッシュタグをつけてツイッターに投稿したところ、 女性エンジニアが、続々とセルフィーツイートで彼女をサポートしました。

アイシス・ウェンガー。(Via medium.com)

キャンペーンを始めたアイシス・ウェンガー。(Via medium.com)

どんなおしゃれをしたって関係ない、私はプログラミングができる。(※ブロンドの女性=頭が悪い、という偏見のように、おしゃれでフェミニンなファッションをする女性はプログラマーとして優秀なはずがないという偏見があります)

 

 「エンジニア=まじめそうな眼鏡をかけた男性」、「女性は理系に向かない」という偏見を打ち破る、沢山の生き生きとしたリアルなエンジニアの女性達の写真。ヒラリー・クリントンの娘、チェルシー・クリントンがリツイートするなど、キャンペーンは大きな注目を集め、最終的には、50を超える国から7万5千ものツイートを集めるに至りました!

No more バービー!リケ女を増やす早期アプローチ 「ゴールディ・ブロックス」

 さらに、女性のエンジニアを増やすために、ユニークなアプローチもとられています。アメリカを中心に人気を集める女の子向けのエンジニアリングのおもちゃ「ゴールディ・ブロックスです。早い子では、8歳から理系の職業への興味を失うというデータに基づき、なるべく早い段階で女の子のエンジニアリングへの興味を引き出すことを目的に、スタンフォード大学卒業の、自身もエンジニアの女性が開発したこのおもちゃは、女の子の興味を惹くよう、とてもよく考えられています。

 まず、色合いや形が可愛くてカラフル。そして、「読書を好む」という女の子の特長に着目し、素敵なエンジニアの女の子が主人公の絵本が付属されており、主人公が本の中で作るものを自分でも作ってみる、という手順で遊ぶよう設計されています。女の子が共感しやすい主人公やストーリーになっており、尻込みすることなく楽しんで組み立て作業をできるよう、工夫されているのです。

 この商品はもともと2013年にクラウドファンディングから生まれたのですが、すぐに大注目を集め、中小企業として初めて、アメリカ一の視聴率を誇るアメリカンフットボールの試合スーパーボールにCMを出したり、オバマ大統領にホワイトハウスに招待されたりと快進撃を続けています。

 この会社が作るCMもとても素敵で、「女の子も、望めば何にだってなれる!自由に生きられる!こうあるべきという姿に縛られることはない」という強いメッセージにあふれています。そう私たちは、何にだってなれる。ステレオタイプに負けずに、自分が望む道をしっかり歩いてきましょう!
(コーエン藍)

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コーエン藍

日本やアメリカ、ヨーロッパの大学でジェンダーを学ぶ。 現在は外資系企業でマネージャーとして勤務する30代日本人女性。

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