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「触るなセクハラだ!」女叩きの材料を提供した女性議員と、躊躇なき批判へのモヤモヤ

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Photo by Francesco from Flickr

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 昨日、鴻池議員のセクハラ発言についての記事を書きました。

「蓮舫はいい女や~」女=セクハラ対象な日本中の政治家たちにゲッソリ

 その数時間後、再び国会で「セクハラ」騒動がありました。しかし今回は、男性議員が女性に対してセクハラを働いたというものではありません。一部の女性議員が「女=セクハラ対象」という構図を安易に武器として使ってしまったがゆえに起きた問題です。

 産経新聞の記事を参考に経緯をまとめましょう。16日夜、安全保障関連法案の総括質疑を行う参院平和安全法制特別委員会に入室しようとする与党議員に対し、野党側の議員たちが理事会室の前に並び入室させないようにしました。その中にいた、ピンクのハチマキをした社民党の福島瑞穂議員、民主党の小宮山泰子議員、辻元清美議員などを含む議員(男性議員もいたようです)が、与党の男性議員が排除しようとするたびに、「セクハラだ!」と声をあげた、というものです。(【緊迫・安保法案】「触るな! セクハラだ!」の警告に鴻池委員長、入室できない状態つづく 元近鉄の石井議員も“冤罪”被害か

 昨日も書いた通り、議会にセクハラがはびこっているのは事実です。しかしそこで「女=セクハラ対象」という関係を武器にしてしまってはいけない。「女性=弱いもの」という視点や、「ちょっと身体を触ったくらいでセクハラと騒ぐな」などと軽く扱われがちな現状を強化しかねない愚かな言動です。「セクハラで困っています」と被害を訴えようとしていた人が、今回の騒動のせいで「都合よくセクハラだと騒ぎやがって」と言われるのではないかと不安になってしまう懸念があります。

 さらに問題なのは、山崎正昭参院議長が、セクハラと叫ぶ女性議員を排除するために女性の衛視を出動させたところ、小宮山議員が「女を利用するな! こんな時だけ女性を前に出して。女をこうやって使うんだな。今の政権は!」と絶叫していたらしい、ということです(【緊迫・安保法案】野党の「セクハラ」作戦に反撃 参院議長が女性衛視投入 民主・小宮山泰子氏「女を利用するな!」)。あるときは「女性」を都合よく使い「セクハラだ!」と叫び、あるときは「女性を利用するな!」と叫ぶ、このダブルバインドは「女性」が「都合のいいもの」として他者に使われてしまうことに繋がりかねません。

 「安保法案を阻止できればなんでも使う」という考えであるならば、これら議員にとってセクハラなど、性に関する問題は、その程度の関心だということでしょう。法案が成立しようがしまいが、このことはきちんと覚えておく必要があると思います。

 しかしその一方で、昨晩からこの問題にかんするツイートを追いながらモヤモヤしていました。なんというか、普段はセクハラ問題に無頓着な人たちが、嬉しそうに「女叩き」をしているように見えてくるのです。今回の議員の振る舞いは、女叩きの材料を撒いただけだったのではないでしょうか。

 今回の騒動は、昨日書いた鴻池議員のセクハラ発言以上にガッカリするもので、性別問わずきちんと批判するべき問題なのは明白です。でもなんだかいまの雰囲気が気持ち悪い。これは女性による男性へのセクハラです。そして「男尊女卑があるからこそ『女性=セクハラ対象』という武器が利用できた」という話でもあります。議員たちは批判すべき対象ではあると思いますが、だからといって「女叩き」で終始できる問題でもないように思うのです。

 今回の騒動とそれに対する反応をみて、「性にまつわる問題」への姿勢を問われているように私は感じました。そして日頃の行いは、不公平に、特定の性別が利するような言動となっているのではないかという不安にも駆られました。それが、誰かの生きづらさを増させているのではないか、とも。この記事もまた、そうした姿勢を露わにしているのかもしれません。昨晩からずっとモヤモヤしています。皆さんはこの騒動をどのように見ているのでしょうか。
(水谷ヨウ)

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