妻も辛いがトピ主も相当辛い気持ちを抱いている様子である。
確かに、お互いに思いやりを持てない状態が続き、夫婦としての思い出も作っていけないのでは、何のために夫婦になったのか分からない。かといって、トピ主夫婦の年齢を考えると妻が諦めきれないのもわかる。7年前、夫31歳・妻29歳で結婚。普通に子供が出来るはずと考えていただろう。そして今、妻は36歳。辺見えみりや宮沢りえは36歳で、PUFFY吉村由美や黒木瞳、松たか子は37歳で授かっている。さらに梨花は38歳、永作博美は39歳で第一子。最近では菅野美穂が37歳で妊娠・出産した。そのほか、吉瀬美智子や財前直見も高齢出産だし、数え上げればきりがないほど「36歳過ぎてからの妊娠・出産事例」が出て来てしまう。
トピ主は追加コメで、治療の終わり時期を決めていなかったことや、不妊の原因について加筆。不妊原因は、夫側(トピ主)の精子の運動能力に中等度の低下が見られること、そして、妻側が重度の子宮内膜症および卵巣機能不全であることだそうである。苦悩するトピ主に対し、コメントでは、女性の不妊治療経験者たちの、おそらく正直な気持ちが続々と寄せられている。
「私も仕事を辞めて治療に専念しましたが、これがよくないんです。仕事を失って、さらに子供も出来ないと、自分には何も残らないと思うんです。上記2つがないと、夫にも見放されるかもしれないし。崖っぷち状態で、精神的に参ってしまうんです」
「通っていると、修行の場とか自動車学校みたいな感覚になってくるんです。妊娠すれば合格卒業。いつしか卒業することが目的になってしまって、とにかくそこから出たくて必死になって、最初の目的の『二人の子供が欲しい』という気持ちがおざなりになってしまったりするんです。奥様は今その状態かと思われます」
「トピ主妻は『子供が出来ない限り、母親になれない限り、この結婚にも人生にも意味が無い』と思い込んでる。善悪の域を超えてる」
「私は小さい子を見ても平気だけど、『姪甥を可愛がる夫』を見るのは辛いです。夫が、姪甥を可愛がることで、我が子を持つことへの気持ちが薄れていくのを感じるから。不妊治療の薬は、体力的にかなりキツイです。回を重ねるごとに薬の量も増えて、朝起き上がるのすら辛い時もある。排卵日の後は今回こそは…と期待をして、生理がくると奈落の底に落とされる。エンドレスで、その繰り返し」
様々なコメントにあるように、やはり「妊娠する」というゴールの他に、「いつまでに妊娠しなかったら終わりにする」と期限または回数を決めておかないと、精神的にどんどん追い詰められてしまうようだ。実際、不妊治療を続ける女性の中には精神疾患を患うケースもあると聞く。
今回もトピ主夫妻に離婚をすすめるコメントが多いが、今回ばかりは“小町ならでは”というのではなく、現実味を感じる。夫婦で「目的」がずれてしまっているから、どちらかが大きな働きかけをして話し合いをし、双方納得しない限り、たとえ子供が産まれたとしても、夫婦の価値観はすれ違ったままになってしまうかもしれない。
トピ主は限界まで不満を溜め込んでいたのだろう。最初のトピ文で「『妻の』不妊治療」、と書いているところにも、「できれば自分はもう関わりたくない」という引いた気持ちが表れている。セックスによって自然妊娠を……という段階ではないであろうから、夜の営みがなくても治療次第で妊娠に至る可能性はまだあるかもしれないが、もし仮に赤ちゃんが宿ったとして、トピ主はそれを喜べるのかどうかも、もはや疑問である。
最新レスには、「話し合いをする」とある。
「妻の状況がかなりつらいのだと改めて知りました。それでもどこかで、区切りをつける覚悟の必要も理解しました。自分の気持ちを説得するだけでは妻と同じですね。まずは妻の今の気持ちを週末に時間をとって聞いてみます。ただ僕なりにも、覚悟というか区切りというか、気持ちが定まりつつあるのを感じます」
不妊に関しては、「●●が効きますよ!」「子宮をあっためて!」など非科学的で役に立たない情報がネット上に散らばっており、そうした祈りやまじないに似たネタを極力排除した「経験者の声」を見つけにくい。終わりが見えない不妊治療経験者のリアルな声や、不妊治療を続ける上で心がけたほうが良いアドバイスが多く書き込まれている本トピは、これから不妊治療を考えている夫婦にとって貴重な情報源のひとつとして残っていくかもしれない。
(ブログウォッチャー京子)
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