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凄母でも輝きでもない普通の女性らしい働き方って? 大瀧純子 『女、今日も仕事する』

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『女、今日も仕事する』ミシマ社

『女、今日も仕事する』ミシマ社

 大企業で勤める11人のワーキングマザーに取材した『凄母(すごはは) あのワーキングマザーが「折れない」理由』(東洋経済新報社)という本については、以前にも【messy】で取り上げました(賞賛される「凄い母親」と「普通に働く」ワーママの窮屈)。この本に登場するワーキングマザーの方々は「100あるマンパワーを様々な工夫によって2倍にして、仕事に100、育児に100のパワーを注いでいる」ような凄い人ばかり。それだけ仕事にも家庭にも情熱と労力をかけられる人にはただただ尊敬の眼差しを投げかけるしかありません。

 しかしながら、この本を読んだ時にわたしはこうも思いました。「こういう人たちの話ってはたして参考になるの……?」と。凄いワーキングマザーの方を非難するつもりは毛頭ございませんが、だれもが自分のマンパワーを2倍にできるわけではありませんし(逆に、もともとその人に普通の人の2倍のマンパワーがあった、と捉えるのが普通でしょう)、こうした方々が変にモデルケース化されてしまうことで参考になるどころか「普通のワーキングマザー」のプレッシャーになっちゃったりしないんだろうか、という疑問が湧きます。

普通のワーキングマザーの本はないのか?

 「普通の人の話が話題になりにくいのはわかりますが、もっと普通のワーキングマザーの働き方について書かれてるものってないのかね?」と考えていたときに出会ったのが、大瀧純子さんによる『女、今日も仕事する』(ミシマ社)。

 本書には「凄母」では描かれない、普通のワーキングマザー向けのヒントが多分に含まれていて大変興味深く読みました。というか、ワーキングマザーだけじゃなくて、現代の日本で働く女性たちのためになりそう。

 もっとも著者の人生が「普通」というわけではなくて。現在は、オーガニックハーブ製品の開発・販売をおこなう会社のCEOですし、結婚をしたのも学生時代。また、旦那さんの給与だけでも十分家計は成り立つ、経済的に余裕もある家庭。状況だけ見ると恵まれている、といえるのかもしれません。

 しかしながら、著者が直面してきた悩みや困難は、すごく普通なんですね。新卒で入社したシステムの会社では、同期の男性と同じぐらい頑張っても「女性だから」という理由で評価されないだとか、妊娠を上司に伝えたら露骨に嫌な顔をされるだとか。子供が生まれてからは母親としてのプレッシャーと育児の難しさで「産後うつ」になり、出産後には再就職先が見つからない……これらは「あるある」的なエピソードとさえ言えるでしょう。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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