カルチャー

ポッチャリメンズ向け雑誌新装刊。俺たちは意外にモテる!と連呼するけれど…

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 「太っている男性が好み」というと、「知り合いでいるよ、紹介しようか?」「じゃあ、◯◯さんはどう?」と返される……。そのたびに、「なぜ〈太っている〉というだけでひと括りにするのだろう?」と思いながら苦笑で応じます。ふくよかな男性は好きだけど、太っていればそれでいいってもんじゃない。仮に私が巨乳で(残念ながら違いますが)、ただそれだけの理由でオッパイ星人の男性に紹介されたとしたら不快です。個性や人格を無視して身体的特徴だけで評価されることへの抵抗感に男女差はないでしょう。

 それにしても太っている人は〈デブキャラ〉として、ざっくりまとめられがちです。プラスのイメージとしては、大らかで面白くて頼もしい。マイナスのイメージとしては、常にダボッとした服装で、汗や体臭など清潔感に欠けるなど多数……。

 だったら、そのマイナスイメージを払拭して、プラスのイメージを前面に押し出せば〈イケポチャメンズ〉になれるはず! と創刊されたのが、「Mr. Babe」(ミリオン出版)。30代からの“ポッチャリメンズ”のためのファッション&ライフスタイルマガジンです。

 日本人男性はいまや約3人に1人が肥満。どの世代においてもまんべんなく肥満率が上昇している(厚生労働省調べ)という現代社会にあって、太っているのはもはやコンプレックスではない。個性のひとつ……いや、むしろ一足飛びに〈モテ要素〉として捉え直そうぜ、というのがコンセプトです。

 ぽっちゃり好きとしては発売前から、いろんな意味で心待ちにしておりました。好みのタイプの男性が誌面に登場するかも、というのが下心がまずひとつ。そしてもうひとつが、創刊を報じるニュースにあった一文、「『結婚するならポッチャリメンズがいい!』という大人女子が50%を超えている」が気になっていたからです。え~、思いのほかライバルは多いってこと!? でも、これまで好みをカミングアウトして同意を得られた回数は、片手で足ります。マイノリティを自覚しているだけに、にわかにこの数字は信じられない……。

目指せ、おしゃれポチャメン!

 気もそぞろにページをめくり始めた創刊号、〈イケポチャメンズ〉〈知的ポッチャリスト〉〈ポッチャリセレブリティ〉〈マッシュルボディ〉などの造語を散りばめながら、太った男性にこそ似合うファッションアイテムをくり出し、上述したプラスのイメージをアゲるための指南が次々となされます。マッシュルボディ=マシュマロマッスル、皮下脂肪の下にほどよく筋肉のついたボディを意味する造語です。

 帽子、眼鏡、靴といった小物にやたらページが割かれているのは、「お腹が出たポチャリストの体型ならば、その先端部である頭と足に大きめのサイズのものを持ってきてバランスを取るべき」というメソッドに基づいてのことで、なるほど実践的です。これまで「サイズがないからファッションはあきらめていた」「何着ても一緒」とみずからマイナスイメージを背負って人たちにとってはすぐに役立つ情報が満載です。しかも、価格帯は総じて低め。太った男性はエンゲル係数が高いなど、生きているだけでハイコストというイメージがありますが、そうした事情も考慮済みのようです。

 基本、外国人モデルが起用されていて、ドメスティックなポチャメン好きな筆者としては物足りなくもありますが、スナップ特集にはいますいます、かなり個性派なポチャメンが。プロフィール欄には体重も明記。ただ、「この人もポチャなの?」という体型の人も含まれていました。

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三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(WAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

twitter:@MiuraYue

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