こうなると、下心オンリーのほうがまだマトモに見えます。自分にチンコがあるだけで女性に快感を与えられると思っている彼らに私が訊きたいことは、ひとつです。あなたたちが私の身体の何を知っているんですか? と。
バイブを使うとき、基本的には自分の気持ちいいところに当てます。私の場合はバイブレビューのためにいろいろ探るので、それによって偶然よりキモチイイところが見つけることはたびたびありますが、自分のどこをどうすれば気持ちいいかは把握しています。イクだけならセックスよりも、自分で自分を刺激するほうがよほど簡単です(バイブを使う/使わないは別として)。
私たちは別に男性に教えてもらわなくたって、自分の快感に出会えます。初体験の前にマスターベーションを覚えたという女性は多いですし、そこですでにオーガズムを体験している人も少なからずいます。私も中イキは知りませんでしたが、クリイキは処女のうちに体験済みでした。これは自分の手でつかんだオーガズムです。
他者の身体への謙虚さ
もちろん、セックスパートナーによって初めてもたらされる快感もあるでしょう。その人に開発願望がなくても、偶然とった体位がたまたまイイとか、その人の触れ方がこれまでになくイイとか。そうやって新たに出会う快感は、〈開発〉とはまったく異なるものです。お互いの間で起きた化学反応なようなもので、どちらかからどちらかに一方的に与えられるものではありません。
自分の身体は自分が1番知っています。チンコがあるっていうだけで、女性の身体を熟知できるわけはなく、まして必ず快感を与えられるという保証もない。いままで何人の女性とセックスしてきたとしても、いま目の前にいる女性の身体をその女性本人以上に知っているということはあり得ないのです。
と考えると、〈開発〉などという傲慢なことを考える男性には、他人の身体に対する謙虚さが決定的に欠けているとわかります。そして女性のメンタルにも無頓着で無神経で、まったく配慮できないことは考えるまでもありません。開発願望がある→セクハラ、スクールセクハラ、性犯罪の加害者になるとは一概にいえないにしても、そうなってしまう芽があるように思えてなりません。
といいつつ、パートナーと長いつき合いをしているとその謙虚さを忘れそうになります。「こうしておけばキモチイイんでしょ」という、おざなりかつ上からの愛撫に陥らないよう、私もここらでひとつ気を引き締めることにします。
(桃子)
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