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今はまだ女性への加害に注目を! 弁護士が見てきたDV防止法以降の家庭内暴力

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「私が我慢すれば」はナシ。Photo by Lau_Lau Chan from Flickr

 DV防止法(正式名称=配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)が施行されてから14年が経つ現在、この法律自体を知る人は8割を超えている(内閣府調査)。『レンアイ、基本のキー好きになったらなんでもOK?ー』(岩波書店)を著し、少年少女の段階からDV加害・被害の芽を摘むことを呼びかける弁護士・打越さく良さんのもとにも日々、DVを理由に離婚を希望する女性からの相談が持ちかけられている。

――前篇では、暴力の渦中にいる人ほど自分の被害が見えにくいとうかがいましたが、打越さんのもとを訪れる女性はそこから抜けだすべく大きな一歩を踏み出しています。そのうえでなお直面する問題はありますか?

打越さく良さん(以下、打)「DV防止法の前文で『犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害』と高らかに謳われたことで、これまで単なる〈夫婦喧嘩〉と片づけられ、警察も関与しようとしなかったDVに対して、女性たちが被害者としての自覚を持ち、そこから逃れるためにアクションを起こすようになったのは実に大きな進歩です。が、代理人がいても『直接話しあう』と譲らない加害者もいます。対等な関係でないからこそDVが起きているのだから、話し合いは成立しません。それなのに『弁護士ではなく、本人の口から聞きたい』だなんて、被害者の恐怖心を理解していないか、そこにつけ入っているとしか思えません。三船美佳さんと〈モラハラ離婚?〉と報じられた高橋ジョージさんも、『会いたい』といっていたとか。報道を通じてのお話ですからたしかなことはいえませんが、三船さんがモラハラに苦しんでいたなら、到底会ってお話しなんてできませんよね」

俺だって、と主張する男たち

――モラハラや精神的DVであれば本人に嫌がらせや暴力を与えている自覚がないとも考えられますが、さすがに身体的暴力をふるう男性自分の加害を認識しているのでは?

「自覚することと、反省することはまったく別ですよね。DVをしたことは証拠もあるし認めざるをえなくても、『俺だって引っかかれた』と主張する男性もいます。きちんと診断書をもらっていたり、ひっかき傷の写真を撮ったりもしています。でも実際は、男性の苛烈な暴力に抵抗した女性が何とか微かに引っかき返した、ということだったりします。『お互いさま』とするには、あまりに差があります。また、『DV加害者といわれたが、心外だ』と法律相談にくる男性もいます」

――〈DVえん罪〉という語を最近よく耳にするようになりました。

「『自分は絶対DVをしていない』と主張する夫に対し、妻側から続々と診断書やケガの写真が出てくるケースもありますが、それを見せられても夫は、『まぁこれくらいのことはありましたけどね、妻がいい加減なことをするから注意したはずみで』と、妻に原因がある、だから大したことない、といい続けました

――何重にもふてぶてしいですね……。

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三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(WAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

twitter:@MiuraYue

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