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いま改めて問う「性風俗はセーフティネットか?」ー福祉と風俗店経営それぞれの見地から

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セックスワーカーの貧困は見えにくい。Photo by mrhayata from Flickr

 本来、貧困に陥った人は救済の対象であるはず。なのに福祉や行政に十分につながらず、支援が届かない……。一昨年から「女性の貧困、子どもの貧困」がにわかに問題視され、メディアでも生活苦にあえぐ母子家庭や、奨学金という借金を背負う若者の現状を伝える記事を日々目にするようになりました。

 が、そうした人たちは突然、登場したわけではありません。これまでも困窮状態にありながら、社会から「見えなくなっていた」だけです。貧困などを理由にセックスワークに就いた女性はますます見えなくなります。

 その実情を把握し、問題解決への一手を探るべく、「セックスワークサミット2015秋 女性の貧困と性風俗~性風俗は『最後のセーフティネット』なのか?~」が開催されました。若者を中心に生活困窮者への支援活動を行う「一般社団法人インクルージョンネットかながわ代表理事」鈴木晶子さんと、地雷風俗店を謳う「鶯谷デッドボール」代表・篠原政見さんをゲストに迎え、それぞれの見地から意見が交わされました。

第一部 女性の貧困はなぜ見えにくいのか(鈴木晶子さん)

 今年4月から始まった〈生活困窮者自立支援制度〉。現在、鈴木さんの活動の一環には、この相談も含まれます。支援の現場から見える、女性の貧困の現状を、鈴木さんは次のように話します。

鈴木晶子さん(以下、鈴)「『お金がないなら働け』という声も聞かれますが、そもそも働けない状態に置かれている人が多いことをまず知ってください。心身に疾患があったり、シングルマザーだったり、介護の担い手だったり。『子どもを預けている時間だけ働く、子どもに何かあったら休む』といって採用してくれるところは、低賃金の職場が大半です。最低賃金程度で働いていると月収は10~11万円にしかならないので、収入増が見込める転職先はないかと相談にみえます。地域の就労先開拓は私たちの重要な課題なのですが、力不足を日々痛感しています」

「また、精神疾患がある方のなかには、朝起きて決まった時間に通勤し、就業時間のあいだずっと仕事に従事するといった一連のことがどうしてもできないというケースが少なくありません。だから仕事に就けても、続けられない……。年齢の壁も大きく、40代女性だと40社も50社も履歴書を送るのですがすべて不採用。その費用も生活を圧迫します。高齢者をのぞくと、短期間で仕事が決まるのは相談者のうち1割程度です。職探しの前に仕事ができる・続けられる環境を整える必要があり、それをクリアした人が就職できるのです。具体的には、子どもの預け先や介護の担い手を確保したり、朝起きるにはどうすればいいか、起きられないならどんな働き方があるかを考えたり……。そうしないと継続的に働けないのです」

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三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(WAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

twitter:@MiuraYue

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