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【厚木ネグレクト死事件】責任逃れの虚偽発言を繰り返した父親に下された判決

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育てられなかった親たち

Photo by Tom Reynolds from Flickr

 神奈川県厚木市のアパート一室で昨年5月、死後7年以上が経過したとみられる斎藤理玖(りく)くん(5=当時)の遺体が発見された事件で、殺人罪と詐欺罪に問われている父親の齋藤幸裕被告(37)の裁判員裁判が9月15日から横浜地裁(伊名波宏仁裁判長)で行われた。

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 もともとモゴモゴした語り口の齋藤被告、検察側の質問になるとさらにその傾向が顕著に。質問に答えるまでに、長い沈黙が挟まることが多くなった。しかし、繰り返し強調していたのは“食事は1日2回与えていて、1回のときはないと思う”こと、“死亡直前も様子がさほど変わっていなかった”ということだ。だが、結局理玖くんは死亡したのであるから、その前に何か異変があった可能性は高いだろう。これを齋藤被告は認識していなかったという主張である。真実はどうだったのか。

 また、理玖くんが自力で外出しないように出入り口にガムテープを貼っていたこともすでに語られているが、その詳細を問われ、齋藤被告はこう答えた。

齋藤被告「和室の引き戸をガムテープで、10センチくらいの幅で、上に貼って、縦に目張りをしました。他には和室の中の吐き出し窓中央部分に20センチくらいの幅で立てに目張りしたという記憶です。玄関も同じようにグルグル巻きにガムテープを巻きました」

 亡くなるまでずっと、外出時にこれを欠かしたことはなかったという。しかしその一方で「理玖は活発というほど活発ではない」とも答えている。部屋の中でいつも座っている子供だったとも。活発ではなかったが、家を出て近所を彷徨い、通報された経験があるため、被告は「閉じ込めておく」のが最善策と思ったのだろうか。

 そして、理玖くんの体に触れる機会となる『着替え』『体拭き』『オムツ替え』についても一貫しない供述をした。体に触れていたなら、体調の異変を察知できたはずだと思われるが……。

齋藤被告「体を拭くのは、自分的にはけっこうマメにやっていたと思うんですけど、毎日ではない。1週間に2~3回程度だと思います」

検察官「いつ頃までやっていましたか?」

齋藤被告「けっこう、ずっとやってた記憶がある……」

検察官「理玖くんが亡くなっているのをあなたが見つける直前まで?」

齋藤被告「続けてたと思います」

検察官「着替え、オムツの取り替え、ほぼ毎日?」

齋藤被告「はい」

検察官「理玖くんの遺体発見直前まで続けてた?」

齋藤被告「……………続けてる……どこまでか覚えてないスけど、それに近い形だったと思いますけど」

検察官「理玖くんが亡くなっているのを見つけるまでにオムツ替えと着替え、やめたんですか?」

齋藤被告「……………………(非常に長い沈黙)……やめた記憶ないですけど、ええ、ごめんなさい、ええ」

検察官「理由があってオムツ替えをやめたのでなければ、マメに替えていたのではないですか?」

齋藤被告「……………亡くなる直前までは、オムツ替えてました」

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