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魔性の女と化した蒼井優に、「恋より楽しいこと」を代弁されても…新創刊『ROLa』

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蒼井優

この夏もかき氷食べてるのかしら『ROLa』新潮社

 いくつかの週刊誌では「性格が良い/悪い女優ランキング」が定期的に特集されています。こうした、写真やテレビやスクリーン上で笑顔を振りまくあの女優たちが、実はとてつもなく性格が悪い、高飛車である、ワガママだ、男好きである……などと暴露する記事は、芸能ゴシップの華とも言えましょう。

 しかし、考えてみれば不思議なことです。ゴシップ記事の槍玉にあげられている女優たちが、舞台裏でどんな振る舞いをしているかは、舞台表しか見ることのできない一般人の目には映らず、はっきり言って舞台裏の話はどうでも良いこと、とも言えるのですから。例えば、清純派で売っている若手女優の男性遍歴が明らかになったとしても、彼女が舞台表で「清純派」としての役をこなしているのであれば、それは彼女が自分の仕事を全うしている、とも評価できるはずです。

 とは言いましても、視聴者がそうした割り切りをキレイにできないこともまた事実です。ゴシップを知っている視聴者はゴシップの対象による舞台表を見る際、「こんなマジメそうな役をやっていても、コイツは実はめちゃくちゃ性格が悪いんだよ」という風に見てしまう。仮に禁煙治療のCMにでている女優さんが一日80本の煙草を吸うヘヴィー・スモーカーだったらどうでしょう? あるいは、国民年金保険料の納付を訴える広告のキャラクターが実は保険料を払っていなかったとしたら……? 彼女たちの舞台表の仕事は説得力を失ってしまうでしょう(後者の例はかつて実際にあったことですが)。

 さる高名な映画評論家・文学者は「スクリーンの外の情報に触れず、スクリーンに映る映像の動きだけを注視して批評をおこなうべきだ」といった内容の発言をおこなっていたと思いますが、一般視聴者は、それとはまるで逆で「テレビだけを見ている」つもりでも「テレビ画面の外側にある情報」と一緒に、テレビを見てしまうのです。

 広告を打っているスポンサーやドラマを制作しているテレビ局がタレントや女優のゴシップに敏感なのも、視聴者のこうした視聴態度にあると言えましょう。もちろん、高度な芸能愛好家の皆様におかれましては、ゴシップ情報によって、テレビや映画などを別な角度から愉しむこともできます。過去に当コラムでは石原さとみのセックス依存症説について言及していますが、これなどはテレビ画面に映る映像が、ゴシップによって一種のファンタジーに変化する分かりやすい一例です。

蒼井優のイメージを決定的に変えたもの

 こうしたタレントや女優とのゴシップによって、見方が変わってしまう例として、先頃創刊されたばかりの雑誌『ROLa  9月号』(新潮社)を挙げておきましょう。表紙には「恋より楽しいことがある」と雑誌のコンセプトとなるメッセージが大きく掲げられているのですが、それに併せて表紙を飾っているのがハワイでサーフィンに興じる蒼井優さんの満面の笑顔なのです。今年6月に俳優・鈴木浩介との破局を発表し、メールで「ほかに好きな人ができたから」と婚約を破棄したと噂される彼女(参照)に「恋より楽しいことがある」とはまるで説得力のない組み合わせでした。

 続く誌面に掲載された「恋より楽しい、ハワイでサーフィン」という記事は、彼女へのインタヴューとハワイで撮影された写真を使った14ページに渡る特集です。バーベキューを楽しみ、サーフボードに乗る彼女の姿は、ボーイッシュを通り越して、トランスセクシャル的にさえ感じますが(股間にあてがったスパークリング・ワインのボトルから吹き出した白い泡が否が応でも射精を想起させる)、それとは別に、健康的で自然体に見える写真のなかの彼女にはどこか嘘くささが漂い、これも単に演技に過ぎないのでは……(さすが女優であるなあ……)という感想を抱いてしまう。鈴木浩介との破局のみならず、度重なる「魔性の女」報道は、彼女のイメージを決定的に変えてしまったのです。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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