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女性狙いを無視して大ウケした『半沢直樹』、ドラマ制作陣の誤解と固定観念

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半沢直樹

『半沢直樹』公式webより

 日曜夜9時、TBS系で放送中のドラマ『半沢直樹』が高視聴率に湧いている。「銀行」という地味な題材ながら、放送開始前から視聴者の興味は高かったようで、初回放送で19.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)という数字をマーク。その後、話数を追うごとに平均視聴率が上昇し、8月11日放送の5話(第一部完結編)では平均29%を獲得、瞬間視聴率は30%超えだ。

 これにはドラマ制作チームも驚いているそうで、「東洋経済オンライン」が監督(演出)を務める福澤克雄氏に行ったインタビューで、監督は「まったくの想定外でびっくり」と明かしている。

 福澤諭吉の玄孫だという福澤監督は中途でTBS入社後、ヒットドラマを多く手掛けてきた。SMAP中居正広主演の『白い影』『砂の器』、木村拓哉主演の『GOOD LUCK!!』『華麗なる一族』『MR.BRAIN』『南極大陸』はいずれも福澤氏が演出にかかわった作品だ。昨年10~12月放送の、香取慎吾と山下智久ダブル主演作『MONSTERS』も、メイン演出を務めている。ジャニーズ俳優を主演に据え、時には軽快に、時には重厚に、ドラマ制作をしてきたという印象だ。

 その福澤監督は、『半沢直樹』を「これまでのドラマ界の常識で考えると、登場人物に女性が少なく、わかりやすく視聴率を取れるキャラクターもおらず、恋愛もないというないないづくし」だと評している。さらに、舞台は銀行という男の世界で、ドラマのメインターゲットである女性は見ないだろう、と踏んでいたという。女性の好みそうな要素を一切入れず、面白いと思うものをこだわって作った結果、「想定外の高視聴率」を獲得したわけである。

 これを受けて、同氏は「テレビの常識がいかに適当だったか、マーケティングというものがいかにアテにならないか」を理解したそうだが、では、テレビ側が「女性にウケそう」と考えているものとは一体なんだろうか?

 女性が好むものとして、まず一番に挙げられるものが「恋愛モノ」。そこにイケメンを絡めるのがお約束だ。

・イケメン(若手ジャニーズから演技派系、高橋克典ら肉体派まで幅広くカウント)
・イケメンの裸
・イケメンのラブシーン
・イケメンとイケメンとイケメンに囲まれた生活……

 さらに、世相を映しているつもりか、ただの若い男女の恋愛物語よりも、晩婚化に焦点を当てた「結婚しない、できない、モテない」というストーリーも増えてきた。そんな女性が描かれたモノを、「そんな女性」としてターゲット視されている人々が、好んで見るものだろうか? 狙いすぎの企画は鼻白む。「あー、これ、ウチらのことじゃない?」と、10代から変わらぬノリでドラマ内容に共感して積極的に見てくれる30~40代女性がどれだけいると想定しているのだろうか。

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ヒポポ照子

東京で働くお母さんのひとり。大きなカバを見るのが好きです。

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