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夫婦別姓を選択できる社会は、多様な個人&結婚を認める社会【選択的夫婦別姓訴訟、判決直前!ミニ講座②】

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弁護士・打越さく良さんと大学生のミニ講座

 選択的夫婦別姓ーー結婚するときに夫か妻、どちらかの姓になるのではなく、お互いにこれまでの姓を名乗る、という権利を認めてもらうため、五人の男女が国を訴えている。現在、民法で「夫又は妻の氏を称する」と定められているのは、「個人の尊重」をはじめとする憲法の条文に反しているというのが、上告側の主張だが、これは自分の姓に強くこだわる一部の女性たちだけの話ではない。

 〈夫婦同姓〉というのは、すべての人の自由や尊厳を傷つけかねないこと。他人事としてではなく自分事として、12月16日にくだされる最高裁の判決を見守ってほしい、と同訴訟の弁護団事務局長・打越さく良(うちこし・さくら)さんが、3人の大学生を対象に開いた「選択的夫婦別姓が認められない社会は、何がおかしいのか」についてのミニ講座。後編のスタートです。

>前篇:夫婦が別々の姓を名乗っても、家族の一体感は損なわれない【選択的夫婦別姓訴訟、判決直前!ミニ講座①】

中友さん(以下、中)「子どもがかわいそう、として夫婦同姓を主張する人たちの話をうかがいましたが、選択的夫婦別姓が認められると、子どもの姓はどうなるんですか?」

打越さく良さん(以下、打)「1996年に法制審議会が答申した民法改正案要綱では、婚姻の際に子の姓をどちらの姓にするかふたりで決定しておいて、婚姻届を出すときにそれも一緒に届け出る、という案でした。諸外国の例を見ると、子どもが生まれるたびに協議しているところもあります。だから、きょうだいで姓が違うというのも、ありえます。日本でもそれでいいとは思いますが……70代の男女が結婚するときにも子どもの姓を届け出る、って必要でしょうかね」

西村さん(以下、西)「先日、お笑い芸人の小籔千豊さんがテレビで、日本は何億年ものあいだ夫婦同姓だったと発言して大バッシングが起きていましたが、ほんとうのところはどうなんですか?」

「明治になるまで平民は苗字がなかったので、そもそも問題にならなかったですね。武家の社会では、別姓が基本でしたよ。源頼朝の妻は北条政子だし、足利義満の妻は日野富子、っていうのは歴史の授業で習いましたよね」

同姓でなければいけないのは日本だけ

赤石さん(以下、赤)「海外ではどうなっているのでしょうか?」

「夫婦は同姓でなければならない、と法律で定められているのは、もう日本だけなんですよ。かつてタイやトルコでは〈夫の氏を名乗る〉と定められていましたが、いまは夫婦別姓を選べます。衆議院調査局法務調査室の2010年の調べでは、インドのヒンドゥー教徒とジャマイカが慣習法で夫婦同姓が残っているとしているのみで、その他の国では、同姓を強制していないとのことでした。インドのヒンドゥー教徒とジャマイカにしても、成文法では強制していません」

西「日本も選択的夫婦別姓になったとして、私が『別姓でいたい』というのに対して、『ダメだよ、うちの姓を名乗ってくれないと。ちゃんと○○家の墓に入ってくれないと』って答える彼氏だったら、交際自体を考えちゃうなぁ。でも、そうじゃないと結婚できない、っていわれたら悩む女子が多そうです」

「いまの制度だと、自分の氏をどちらか一方が捨てるか、法律婚はあきらめて事実婚でいるか、どちらかを選ばなければいけないんですよ」

「大学の教授で、別姓でいるために離婚した方がいると聞いたことがあります」

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三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(WAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

twitter:@MiuraYue

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