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同情されるかわりにお金をもらっている? 「真っ当にかわいそう」じゃないと叩かれるシングルマザー 

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シングルマザーが様々な困難を抱えていることがメディアで報道されるようになって久しい昨今ですが、一方でシングルマザーをバッシングする声も少なくありません。messyで自身の経験をもとにシングルマザーを取り巻く環境について書いている「シングルマザー女子大生・上原由佳子の事件簿」の上原由佳子さんも、コメント欄(現在は受け付けていません)には賛否両論が多数寄せられていました。

上原さんはコメント欄を読み返して「原稿では明るく振る舞うようにしていること」「不真面目で好き勝手しているように見えること」で批判されてしまうのかもしれない。でも「健気で真面目」「かわいそう」じゃないといけないわけじゃないのでは? と感じたそう。そこで今回は、シングルマザーへの支援を長年行っている「NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の理事長・赤石千衣子さんに「シングルマザーはかわいそうじゃないといけないの?」という素朴な疑問をぶつけてもらいました。

上原 messyで連載を始めて約7カ月、改めてシングルマザーへの批判が少なくないことを痛感しました。上原の記事につくコメントでは、上原自身への批判もありますが、「シングルマザー」への批判もあるんですね。

よく覚えているのは、「恋愛すると児童扶養手当が受給できなくなる可能性があるから恋愛ができない。これっておかしいのでは?」って書いたコラムについてコメントです。「ワガママだ」「感謝が足りない」「子どものことを考えていない」といったコメントがたくさん付きました。同じくらい賛成してくれるコメントも付いていたので嬉しかったんですが……。「好き勝手に恋愛させろ!」なんて記事の中では書いていなくて、「児童扶養手当によって恋愛が制限されるのはおかしい」「再婚時のリスクが大きくなるんじゃない?」と言いたかった。なんで誤解されるんだろうと考えたところ、上原が明るく振る舞っているのがひとつの原因なのかもしれないと思うようになりました。「健気で真面目でかわいそうなシングルマザー」じゃないと、自分勝手に遊んでいるように見えて、批判の対象になっちゃう。でもそれじゃあ、外から見て「かわいそうなシングルマザー」しか助けられないことになっちゃう。それって違うと思うんです。

赤石 えーっと、最初に整理しましょう。シングルマザーにもいろいろいます。例えばシングルマザーは「経済的な貧困」「時間的な貧困」「健康」「孤立」と、4つのリスクを抱えています。経済的な貧困はよく知られるようになってきましたが、家事・育児と就労を同時にしなくてはいけないために「時間的な貧困」に陥ってしまいますし、「健康」を害してしまうこともある。社会との繋がりが薄らいで「孤立」するリスクも高いです。

これらに効果のある支援として「親族支援」があげられます。シングルマザーの親族による支援は、経済的な貧困や時間的な貧困に大きく効きます。あるいは孤立の場合だと、シングルマザー同士の集まりなど交流の場が、数は少ないですがあるにはあります。公的な支援だと、いま上原さんがお話になった児童扶養手当、そしてその背後には生活保護がありますね。それからホームヘルパーなどの支援などもあります。

「シングルマザー」と言っても様々ですし、どのような支援を受けられているかによって、状況に違いがあります。上原さんの場合は、「親族支援」もあるから大学に通ったり、messyや新聞で連載を持つ余裕がある程度作れている、という状況ですよね。

上原 「親族支援」もいろいろ思うところはあるんですけど、「親族支援」は受けています。あとは所得が少ないので児童扶養手当ももらってます。シングルマザーの集まりには参加してないし、ホームヘルパーは利用していないですね。

経済的には本当は厳しくて、大学に通うときもバス代を節約するために、2~3個は停留所を歩いているんですけど(笑)。娘が友達を連れてきたとき、アイスを買ってあげられなかったら、学校で「こいつの家、ビンボー!」とか言われちゃったり……。でも、「親族支援」もあるし、余裕がないわけでもありません。その上で、明るく書いているから「ワガママ」に見えちゃうのかもしれない。でも制度って、申し訳なさそうにしたり、感謝の意を常にまわりに示していなくちゃ利用できないものじゃないですよね。

赤石 「『同情される』という負荷を負うかわりにお金をもらっている」みたいな気分になる?

上原 そうそう。

赤石 制度自体はそのようには出来ていないはずですね。恩恵的な福祉じゃなくて、権利としての社会手当になっています。

不思議なのは、制度によって社会から期待される態度が違うことなんですよね。例えば病気になったときに健康保険を使っても「ワガママだ! 感謝しろ!」とは言われないですよね。年金だってそうです。ある程度は自身で拠出していますが、半分は税金でまかなわれています。義務教育だって無償で教科書が配られていますが、「かわいそうな人」だけに配っているんじゃなくて、みんなに配っていますよね。そのときに「申し訳ございません。教科書を頂戴いたします」なんて言わない(笑)。でも制度によっては、感謝や恭順の態度みたいなものが求められているものがある。

上原 特に生活保護関連の制度にはそういう雰囲気がありますよね。「児童扶養手当を貰っている限り、国に『ありがとう』って言い続けないといけないのかな」って気持ちになるんですが……。

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上原由佳子

1988年生まれ。沖縄県在住。シングルマザー女子大生。女子力の欠片もなさを小学1年生の娘ちゃんから指摘される、どうしようもない系アラサー女子。

@yu756ka

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