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男のモテテク「ネグ」は女性特有の「自己肯定感の低さ」を醸成する。イジりと笑いは会話ではないことに気づけ!

【この記事のキーワード】

桃山商事のクソ男撲滅委員会 毎日流れてくる膨大なニュースの数々。その中には、“男のクソさ”が原因になっていると思えるものも少なくありません。そんなニュースを勝手に取り上げながら、桃山商事のメンバーが元気に言いがかりをつけていきます!

【今回のPick upトピック】

ネグ(Neg)

心底ムカつく(イラスト/別珍嘆)

心底ムカつく(イラスト/別珍嘆)

男たちが多用する「ネグ」というコミュニケーション術

清田代表(以下、清田) 私、カフェや飲み屋にいる男女グループの会話を盗み聞きするのが趣味なんですが……男ってホントに女の人の話を聞いてないよね。

佐藤広報(以下、佐藤) のっけから何ですか。

清田 長年の観察結果によると、合コンや飲み会と思しきグループにおける男って、「俺プレゼン」「男子同士のじゃれ合い」「女子イジリ」の3つしかコミュニケーションのコマンドがないような気がしていて。

佐藤 あ〜、それは何となくわかる。ていうか会社でも同じだよ。仕事上のやり取りは別としても、私語を交わすシーンや飲みの場なんかではほぼそんな感じ。

清田 中でも厄介だなと思うのが「女子イジリ」で。大抵が相手をdisってその反応を楽しむというもの。これはナンパ師の世界で「ネグ(Neg)」と呼ばれるコミュニケーション術に通じるもので、これが日常生活でめっちゃ横行しているような気がする。

佐藤 確かにありますね。会社でも、男たちが女子社員をネグってるシーン、よく見かけます。本人たちは女子と楽しくおしゃべりしてるつもりなんだろうけど。

清田 それで今回は、一見地味だけどかなり根深いと思われるこの「ネグ」や「女子イジリ」の弊害について、フリーライターの青柳美帆子さんと一緒に考えてみたいと思います。

青柳美帆子(以下、青柳) よろしくお願いします。

佐藤 青柳さんはナンパ師や恋愛工学をウォッチしている人で、以前ここで「恋愛工学」を取り上げたときにはブログを引用させてもらいました。

青柳 ネグの語源は定かじゃないんですが(NegativeやNeglectなど諸説あり)、ナンパ師の間ではわりとスタンダードなテクニックとして流通しています。具体的にはdisったり、小馬鹿にしたり、意図的に無視したりといったことで、彼らのブログにもいろいろ用例が載っています。

佐藤 例えばどんな?

青柳 「爪キレイだね。つけ爪?」とか、「めっちゃかわいいね。好みじゃないけど(笑)」とか。そんな感じで使われるみたいですね。ちなみにこれ、恋愛工学では「ディスリスペクト」と呼ばれています。

佐藤 腹立つわ〜。

青柳 教祖・藤沢数希さんの著書『ぼくは愛を証明しようと思う。』(幻冬舎)にもこのテクニックは登場していて、「ギリギリ笑える範囲で相手を馬鹿にしたり、からかったり、失礼なことを言って、恋愛対象として相手に興味がないように振る舞うこと」と説明されています。バッチリメイクの女子には、「それフォトショ修正?」とネグって笑いを取るのが恋愛工学のやり方らしいです(笑)。

清田 なぜこれが“テクニック”なのかと言うと、女性にあえてネガティブな言葉を投げかけることで、プライドをへし折って上下関係を植えつけたり、自尊心を低下させて相対的に優位に立ったりできるからという理屈なんだよね。

「コミュニケーションが成り立たない」という弊害

佐藤 つまりネグは、会話を発生させ、主導権を握るためのコミュニケーション術だってわけか……。ちなみに青柳さんはネグって受けたことある?

青柳 大学1年生のとき、サークルの新歓で初対面の男子に「君って印象に残らない顔してるね」と言われたことはよく覚えています。でもこれってネグっていうよりただの悪口かな……? そのまま受け取ってしまうタイプなので、そういうことを言われても「この人ホントに失礼だな」と思ってネットに文句書いて終わりです。

佐藤 実際、ネグって効果的なものなの? 技っぽい名前がついてるけど、青柳さんの言うように中身は単なる悪口なわけで……。

青柳 確かにネグで落ちやすい女の子もいるとは思います。ネグられると「この人、私のことをわかってくれる」「この人の言うことを聞いていれば大丈夫」みたいに感じてしまい、勝手に作られた上下関係に自らハマり込んでしまうというか。恋愛関係が少なく、なおかつ自己肯定感が低いようなタイプに多いかもしれません。

佐藤 なるほど。

青柳 ただ、基本的には自分がアリだと思った人からネグられたらアリ、ナシならナシというだけの話で、ネグは単なる“オープナー(会話のきっかけをつくるもの)”に過ぎないというのが私の考えですね。

清田 それが女子のリアルな感覚だと思うけど……男の側はというと、ナンパ師に限らず大多数のメンズがこれを多用している。カフェや飲み屋で見かける男子たちもそうだし、キャバクラの客なんかもネグが酷い。

佐藤 あと、お笑い芸人を始め、バラエティ番組でもネグが横行してるよね。男たち的には“気の利いたイジリ”をしてるつもりなんだよ。

清田 そうそう。で、これの何が弊害かって、確かに会話は発生するかもしれないけど、コミュニケーションがまったく成り立たない、という点で。表面的には「話をしている」ように見えるんだけど、これって要するにただ“戯れてる”だけであって、「相手を知り、自分を知ってもらう」というやりとりでは全然ないでしょ。

青柳 確かに戯れですね。男性がネグって、女の子が「え〜、ムカつく〜」と反応して、それを見て男性が喜ぶってところまでがワンセットみたいになってる感じもありますし。

佐藤 でも、男はそれを「会話が盛り上がってるぞ!」と認識するんだよなあ。単に人として向き合うような会話ができないだけだと思うけど。

青柳 例えばキャバ嬢なら仕事としてそれをやるし、キラキラ系の女子も「接待役」を演じるスキルが備わっている。ネグを受ける女の側からしたら、一種の“様式美”につき合ってるみたいな感覚もあるんですが……。

佐藤 アイドルやタレントも同じだよね。なのに男はそれを「盛り上がった」と捉えている。さらに、テレビを見た視聴者がネグ的コミュニケーションを“いいもの”として認識し、日常のシーンでそれが再生産されていくとしたら……マジで地獄のスパイラルだよね。

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桃山商事

二軍男子で構成された恋バナ収集ユニット「桃山商事」。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆など、何でも手がける恋愛の総合商社。男女のすれ違いを考える恋バナポッドキャスト『二軍ラジオ』も更新中。コンセプトは“オトコ版 SEX AND THE CITY”。著書『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)が発売中。

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