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『おそ松さん』は未来の私たちを描いている 「いち抜け」させない/できない6つ子たち

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「おそ松さん 第一松」(エイベックス・ピクチャーズ)

「おそ松さん 第一松」(エイベックス・ピクチャーズ)

 こんにちは、さにはにです。今月も女性の生き方について考えるヒントを漫画やアニメなどのサブカルチャーから探していきたいと思います。よろしくお願いします。

 今回ご紹介するのは2015年10月よりテレビ東京系列等で放送が開始され、現在第2期が放送中の『おそ松さん』です。

 本作は、赤塚不二夫先生の大ヒット作品『おそ松くん』(小学館)をベースにしたアニメーション作品です。1962年「週刊少年サンデー」での連載開始された漫画『おそ松くん』は1960年代、1980年代にもアニメ化されているのですが、赤塚不二夫先生生誕80周年を記念して今回27年ぶりのリメイクが決定したとのこと。1期エンディング曲の「SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!!!!~」が発売初週で6万7千枚を売り上げてオリコン週間シングルランキングにてトップ3に入ったばかりでなく、ポスターなどの付録を付けたアニメ雑誌『PASH!』1月号(主婦と生活社)が発売後5日間で6万部を完売するなど、テレビドラマやCMなどで最近よく目にする名作リメイクとは一味違ったブームを巻き起こしている様子です。

 『おそ松さん』がヒットした背景として広く指摘されているのが、監督をはじめとした豪華な製作陣や人気声優の起用です。本作はアニメファンから高く支持されていて、twitterはもちろん、ニコニコ動画やpixivでの交流は放送開始直後から大変な盛り上がりをみせています。しかし、コアなアニメファン、声優ファンだけでなく一般の視聴者も取り込んでしまう魅力が『おそ松さん』には備えられているように私には思えます。

 たとえば、差し替え騒動にまで発展した、他のアニメ作品や映画のパロディ、ギリギリの下ネタ、鋭いギャグといった際どさはインターネットをはじめさまざまなところで話題となっている通りです。また、かわいらしいデザインで日常生活を描く緩さ、ときどきホロリとさせるストーリー構成の巧みさも本作の重要な魅力としてあげておくべきでしょう。さらに、オーディオコメンタリーを組み込んだ本放送、キャラクターの「イケメン化」や「性別転換」、BD・DVDパッケージの特典や二次創作など、今まで一歩踏み込んだファンの間で共有されてきたアニメの楽しみ方をギャグとして作中に取り入れて提示するという、メタフィクション的な視点も楽しさの一つです。

 さまざまな角度から語ることができる『おそ松さん』ですが、面白くて楽しいだけでなく、ちょっと考えさせられる視点を提示しているようにもみえます。今回は主人公である6つ子の設定に着目し、現代社会における自立と依存についてみていきたいと思います。

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永田夏来

さにはに先生。ニックネームの由来は"SUNNYFUNNY"(パラッパラッパーというゲームのキャラクター)→"さにふぁに"→"さにはに"です。1973年長崎県生まれ。2004年に早稲田大学にて博士(人間科学)を取得後、現職は兵庫教育大学大学院学校教育研究科助教。専門は家族社会学ですが、インターネットや音楽、漫画などのサブカルチャーにも関心を持っています。

twitter:@sunnyfunny99

永田夏来研究室

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