昨年4月、朝の情報番組『とくダネ!』(フジテレビ系)で、「女子力男子」なる特集が組まれ、下半身(VIO)脱毛をする男性への密着取材が放送された。美容外科で医療レーザー脱毛を受けるこの男性は、その理由を「自分の彼女のため、女性に対するエチケットのため」と話した。この放送に衝撃を受けた視聴者は多かったようで、「女子力高すぎ~」と驚く声や、「こんな男、気持ち悪い!!!!」と拒絶反応を示す声がネット上に多数でた。
だが、単純に驚いたり、拒絶したりする前に、冷静に考えてみてほしい。股間周辺は排泄物が付着し、衛生状態を清潔に保つことが困難な身体箇所である。そこにもじゃもじゃとたくさんの毛がまとわりついていれば、排泄物の洗浄や拭き取りが中途半端になり、悪臭などの温床となる。考えなくてもこれはわかることだ。問題なのは、「男ってそういうもの」「男なんだから、それでいいじゃん」という意識が、男性自身のみならず女性にまで浸透しきっていることだ。不潔こそナチュラル、とでも言おうか。
おまけに、「体毛」という男らしさの象徴のようなモノを整えたり処理することは、女々しいだの男らしくないだのと受け止められてしまう。女性には、容姿を見栄えよく整えたり体毛を処理することが推奨されるのに、男性はその逆で、もちろんおしゃれや清潔に気を配っているほうが好まれるのだが、そんな努力は水面下で足をばたつかせる白鳥のように「隠して」おかなければ、ナルシスト扱いされてしまう。社会的に培われてきた男女の「らしさ」が圧倒的に違うのだ。
だが、そんな「らしさ」に媚びる必要はまったくない。脱毛したいなら、堂々とすればよいのだ。女性だって別に「彼にもっと愛されたいから」なんて理由でVIO脱毛をする人ばかりではなく、「排泄後に拭くのがラクだから」「清潔に保ちやすいから」「陰毛が多いと邪魔だから」「下着からハミ出るのがダサいから」「水着の季節だけ自己処理するが傷が残ってイヤだから」などなど、いくつもの理由が存在する。男性でも、「特に肛門まわりの清潔を保ちたいから」「邪魔だから」という理由で、毛量を調節すべく脱毛に通う人はいるだろう(※一度の施術で毛が抜け落ちて二度と生えてこなくなることはない)。
さて前置きはこのくらいにして。「男らしさ」が大いに評価される体育会系文化のメインストリーム・お笑い芸人界にいながら、昨秋から下半身の医療レーザー脱毛を受け始めた男がいる。お笑いトリオ・ジャングルポケットの“おたけ”である。