オーガニック、遺伝子組換え不使用、無農薬、添加物不使用etc. そういった〈自然派〉な食材は、結局のところ体にいいかどうかと言ったら?
左巻「そういったこだわりの食生活には、選ぶ食品が多様性から少数のものに偏るという問題があります。実は、それが一番怖いんですよ。今食べているものがどれだけ自分にとって悪いものかは実際わからないので、そのリスクを分散させるためには、いろいろなものを食べたほうがいいんです。ところがオーガニックや自然派食品であることにこだわっていると、特定の食べ物ばかり食べることになりがちです。それが行き過ぎると健康のためには死んでもいいってやつになるわけですね」
オーガニックや自然派食品の〈(製造に)手がかかっている〉という点に、価値を感じる人もいますが、それと健康の関係は?
オーガニックとの付き合い方
左巻「天然無農薬は、それだけ手がかかるのは事実でしょう。でも、植物が勝手に天然農薬をいっぱい作っているかもしれませんが(笑)。しかし根拠のないものはすべてダメかといえばそうとも言い切れず、プラセボがあります。プラセボ効果って結構強いので〈今、自分は体にいいことをしているんだ〉と思っていると、結構いい状態になる。それは否定しません。特に気を付けるべき点は、先ほども申し上げた特定のものだけ食べないことです。オーガニック食を実践するなら、いろいろな産地のものさまざまなメーカーのものを何種類も食べたほうがいいでしょう」
「野菜はどこそこの有機無農薬、パンはあそこの無添加のじゃなきゃダメよ!」と主張する、うちの母にもぜひ聞かせてあげたいお話でありました。健康効果の根拠がないにも関わらず、リスク回避のため産地とメーカーが極力バラけるようにしなくてはならないとは、すごい労力であり、そこから生じるストレスのほうが健康に悪影響なのでは……という印象。もちろん、健康効果は重要ではなく〈健康にいいというイメージ〉が何より大事だったり、〈オシャレだから〉〈美味しい気がするから〉という理由でオーガニックを選んでいる場合はノープロブレム。どうぞ楽しいオーガニックライフをお送りください。
(謎物件ウォッチャー・山田ノジル)