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都合のいいバカ女だけを描いた『モテキ』が死ぬほどむかつく話

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モテキ

みんな自意識過剰。『映画モテキDVD通常版』東宝

『モテキ』大根仁監督 2011年

 2008年当時、かなりの人気だったらしい久保ミツロウ著の原作漫画も読んだことがなく、作者が女性だということもつい最近初めて知ったうえ、10年に映像化され大変話題になったというテレビドラマ版も見たことがないため、「モテキ」という作品自体に難癖をつける気というか資格はまったくないのだが、11年に公開された映画版『モテキ』(大根仁監督作品)に感じた違和感というかムカつきというかを今さらつぶやきたい、と思ったのは、先日久しぶりに月9ドラマを見てみたら、映画のヒロイン演じる長澤まさみがこれまた自分を想う男の心を(意識してか無意識にか)翻弄するような役を演じていて、なんか不憫になったから。劇中のセリフにも出てくるけど、可愛くて巨乳な女なんて所詮は性格悪いんでしょー、というひがみを、まさみは背負わされ過ぎじゃなかろうか。

 それはともかく。

 森山未來演じる冴えないサブカル草食系男子の主人公が、ツイッターで知り合った女の子(長澤まさみ)に人生で初めて本気の恋に落ち、出会ったその日にキスまではできたものの、彼女には超イケてる彼氏(でも既婚者なので不倫)がいる、超悔しい、そんなときに彼女の友だち(麻生久美子)から告白された勢いで一回やっちゃって、でもやっぱり本命のまさみのことが忘れられなくて、うじうじうじうじしまくった末、本気で彼女を奪いにいく……というストーリー自体に新鮮味があるわけじゃないけれど、ポップな音楽と斬新(に、見える)な演出で、映画や音楽好きの自意識過剰気味な若者のハートを掴むのはわからなくもない作品ではある。しかし、ここに出てくる女たちは、自分の体と欲望に素直な「ビッチ」なんかじゃなく、ただの、男にヤリ逃げされた、でもそのことに気付いていないアタマの弱いダメ女なのだ。それは男性監督にとっては夢のような存在かも知れないけど、それじゃ、ダメなのだ。

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gojo

1979年生まれ大阪出身、立教大学社会学部社会学科卒。2005年より自身のサイト「gojo」にて映画日記を執筆、2010年には蓮實重彦、黒沢清『東京から 現代アメリカ映画談議』(青土社)の出版記念トークイベントにてインタビュアーをつとめた。「森﨑東党宣言!」(インスクリプト)に寄稿。gojogojo.comで映画日記を更新中。

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モテ記 ~映画『モテキ』監督日記~