その理由は、やはり男性と女性の欲望システムの違いにあるのでしょうか。男性は視覚的な刺激で性的興奮に火がつくといわれています。ロボットにおいて、外見は理想を追求できます。肌の色から顔、髪、プロポーションに至るまで、自分の欲望をそのまま具現化すればいいのです(その日の気分に合わせてカスタマイズできるようになると、なおイイですね!)。男性の動きに合わせて表情も変わるといいますから、それもさらなる昂りを呼び起こすでしょう。記事中には「不気味の谷現象*」についても考慮されていますが、それで「アニメやゲームのキャラクターっぽく作り上げ」るにしても、男性にとって視覚情報は非常に重要ということです。*ロボットを人間に近づけていくと、ある時点で人間が嫌悪感を抱いてしまう現象
女性だってもちろん視覚的情報は重要です。しかし、それは個人差が男性以上に大きく、もっとスキンシップ的なものに重きを置く人が多いとされてます。触れたときの体温や肌の質感、表情、吐息、五感でキャッチできるもの。加えて、コミュニケーションや目配せ、などなど相手との関係性のなかで生まれるもの。そちらのほうが重要なのです。男性こうで女性はこう、と決めつけたいわけではありませんが、現在、市場に出回っているグッズが、男性用は女性器(または女性の外見)を模したものが多く、女性用は男性の肉体を想起させないものが主流、という状況を考えても、やはり嗜好の違いは明白です。
ロボットで性を満たすと、差別される?
バイブレーターにしてもローターにしても電マにしても、そこに女性がセックスにおいて求める情緒性というものは一切ありません。情緒的なものは自家発電的に想像し、グッズは快感をもたらすためだけの即物的な存在。という割り切りがありますが、知能を持ったロボットとなると「人間的な情緒」を求めてしまいそう。それにAIがどこまで応えられるのか、たいへん興味深いですね。
さらに、「人間=使う側、ロボット=使われる側」といういわば主従関係が固定しているなかで、たとえば私のような「どちらかというと被虐性が強くて、受け身」という性癖の持ち主だと、その矛盾をどう感じるのでしょうか。ぜひ私が性的に活発な年齢のうちに、一般庶民まで普及してほしいものです。
ただ、そのロボットが出来がよく、精巧であるほど、使う人が「さみしい人」認定されてしまう懸念があります。「バイブを使うのはさみしい女」「セックスする相手がいないから、グッズで埋め合わせている」とう偏見をウンザリするほど浴びてきましたが、不思議とそういった視線はローターより電マ、電マよりバイブのほうが強いと感じます。より刺激が強いもの、挿入を伴うもののほうが、「さみしさの埋め合わせ的存在」と思われやすいのですね。となると、ロボットなんてその最たるものです。その手前、ラブグッズの段階で「それはそれ、これはこれ」という考えが定着すればいいんですけど。
(桃子)
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