さて、前回の相談では就活のやり方について相談していました。ではでは、早速コメントを読んでいきましょう。
【批判】
・「酔ったオヤジの愚痴話」に改題しては?
・「人生相談」じゃなくて「ただの丸投げ」。逃げる事しか考えてないよね。
・コメント書いてる人たちのこと、本当バカにしてるよね。
・もう答え出てるじゃん。「この連載がぼくの履歴書」なんでしょ? 全くその通りだね。「結局ダメでした」が答えだし、「これからもダメでしょう」も答えだよ。奥山さんって、チャンスを活かせない人間だよね。努力とか根性とかはカッコ悪いと思ってるからやらないし。だから何やってもダメだよきっと。自分を卑下する言葉は実感を伴わず免罪符としてしか使わずに生きていくんだろう。
・とにかく連載終了の文字が嬉しかったのでコメント最後に残します。ありがとう。
・卒論出したら。甘ったれの妄想話、飽き飽きしているし、とうに。
・ここまで読んだんだからオチまで見届けないと気持ち悪いってんで読んでしまう。悔しいけど思うつぼにハマってます。
【アドバイス】
・だから将来どうしたいかが分からないとアドバイスも何もありませんよ。書く仕事ならば、給料少なくても仕方がないし、この連載も経験のうちですが、全然関係ないならば、少しでも給料の多いところか待遇のいいところ(独身寮有りなど)にしてこの連載も言わなければいいと思います。バレたらまぁ仕方ありませんが。東京に拘らなくてもいいのであれば、地方でもいいんじゃないですか? 韓国に行きやすい地域とか。
・てか、メッシーに就職したら?
・いろいろ言ってるけど就活自信あるくせに。というか既にみんなが羨むようなところに内定もらってるとか? それか本の出版が決まったとかね。最終回はきっとハッピーエンドなんでしょうね。この一年読者は振り回されたよ。
・プランBの方が面白い展開になりそうだけど、この回を見られたら評価落ちそう
・この連載を知らせる→プランB、自分はその他一般とは違うというところを少しでも見せたい。 この連載を知らせない→プランAで埋没して生きる覚悟をして求職するということですよね
・どんな会社でもいいけど中途半端なことしたらまたどうしようもなくなりそうだし、玉砕覚悟で好き勝手やるといいと思う。一社しか受けないわけじゃないでしょ。
・100円ショップ経営したら? ただの思いつきだけど。
・福岡に来たらいいやん! 韓国近いし、食べ物もおいしかよ!
・どこかの企業に就職するより、奥山さんには一作でも小説を書いて発表してほしいです。文学賞に応募するとか。無職の期間があったからこそ書ける作品がきっとあると思います。
・無職でも楽しいよ
……ということで、今回もたくさんのアドバイスを頂きました。
・てか、メッシーに就職したら?
そうか、メッシーに就職すればいいんだ!
そこで僕は早速、履歴書と職務経歴書をPDFファイルにまとめて担当編集者に送りました。「貴殿のより一層のご活躍をお祈りいたします」というお祈りメールが秒速で返ってきました。さすが敏腕編集者は、仕事が早いですね!
……。
・いろいろ言ってるけど就活自信あるくせに
そ、そうそう、まぁ就活に自信がないわけじゃないんですよ! 今たった一社落ちただけですからね!
・もう答え出てるじゃん。「この連載がぼくの履歴書」なんでしょ? 全くその通りだね。「結局ダメでした」が答えだし、「これからもダメでしょう」も答えだよ。だから何やってもダメだよきっと。自分を卑下する言葉は実感を伴わず免罪符としてしか使わずに生きていくんだろう。
お、おう……。
なんかコメント欄を見てると、憂鬱な気持ちになってきました。
とにかく明るい無職
さてさて、まぁ就活というのはとりあえず履歴書を出してみないことには始まりません。億劫だった職務経歴書を書き上げて、とくに業種を限定せず、大手企業を中心に幾つか履歴書を送ったり、WEB応募してみたりしました。とりあえず僕は、プランA、連載のことも明かさず、普通に就職活動をしてみました。前回の記事を読んで頂けたらわかるかと思うのですが、僕には今、元気というものが全くありません。常に既にライフはゼロです。この連載のことを明かすようなエネルギーみたいなものが全く枯渇していたからです。出来れば無難に済ませたい、と思ってしまいました。
……が、反応がありません。沈黙の10日間が過ぎました。たまにお祈りメールがくるだけ。
どうやら事態は思ったより深刻なようです。全然取り合ってもらえません。
「たぶん肺炎」も全然治らないし、生きるのが益々嫌になってきました。
僕は相変わらずやることが極端なので、100社くらい受けたり、受ける会社のIR全部読んだり創業者の本を読んだりとかしようと思ってたのですが……(新卒のときはマジでやってた)エネルギーが枯渇しているようです。体が動きません。
冬のせいでしょうか。夢を諦めてないせいでしょうか。
日常生活もままならなくなってきたので、少し自分の中で就活のハードルを下げることにしました。
もっとこう……なんていうか……明るく楽しんで就活をしないと身が持たないぞ。
・東京にこだわらなくてもいいのであれば、地方でもいいんじゃないですか?
確かに。ミョンちゃんのいない東京にこだわる必要ももはやないし……大体、人間こだわると精神を病みます。別にやりたいことを仕事に出来なくてもいいし、働ければそれでいいし、なんでもいいんじゃないのか? どうでもいいんじゃないのか?
もっと脳天気に生きていいだろ!?
もう限界なんです。
・玉砕覚悟で好き勝手やるといいと思う
……やっぱり、無難にやろうとしてたのが間違いでした。ここはアドバイスにも多かったプランBで、連載のことも全部オープンにして、自分をさらけ出して就活してみることにします。
面接の練習をしてみた
……さて。とはいえ、受けている会社から何のレスポンスもなく、面接に呼ばれることも一切なかったので、書くネタに困ってしまいました。これはいかんともしがたい。どうしましょうか。福岡で100円ショップを経営しようにも、資本金がありません。誰か貸して下さい!!
ともかく、現状で出来ることをやった方がいいような気がしてきました。履歴書を出す以外に、今、自分に出来ること……それは面接の練習だと考えました。
僕は人見知りが激しく、人と喋るのが苦手です。というか、長らく引きこもり生活を送っていたため、うまく喋れるか自信がない。そこで、本番前に入念に練習を行うことで、面接がうまくいくのではないかと考えました。
練習は、鏡の前で行うことにします。深夜、母親の三面鏡を利用して練習を行うことにしました。自分の顔を見るって、なんだか凄く気持ち悪いですね。僕だけでしょうか? この変な笑い方……殴りてぇ、とつい思ってしまいます。
「初めまして、奥山村人と申します。本日はお忙しい中、お時間を頂きましてありがとうございます。よろしくお願い致します」
面接って、こんな感じでしたっけ? 新卒時代の就活も、もう随分前のことなので、記憶がかなり曖昧です。もしかしたら、堅すぎるのかな。もう少しフランクな方がいいかもしれません。オッス、おら奥山村人? 違うな……。
「何故私が無職で引きこもりだったかと申しますと、毎日憂鬱で外に出る気が起きず日がな寝転んでゲームをしていたかったからです」
ダメだダメだダメだ! 正直過ぎるよ! こんなんじゃ即落ちです。もっとオブラートに包めないのか。
「この三年間は主に経済の統計分析にいそしんでおりました。アベノミクスの失敗は最初から予見しておりました」
なんかすげーやべー奴じゃん! こんなんじゃダメだ!
それからも、御社だっけ? 貴社だっけ? と何かすごく初歩的なことを悩みながら、鏡の前での僕の面接トレーニングは続きました。
そこにふと、母親の化粧道具が目につきました。
そうだ。
面接に化粧していくってのはどうだ? ウケるんじゃないのか? やっぱり、インパクトが重要だろう。ヴィジュアル系会社員として期待されるんじゃないだろうか。
魔が差した、としか言いようがありません。憂鬱のあまり、頭がおかしくなっていたんでしょうか? 気がついたら僕は、母親のファンデーションを顔に塗りたくり、口紅を塗っていました。口紅を塗るなんて、高校の文化祭の演劇で女装して以来のことです。そのときは女子にメイクをしてもらったので、自分では今回が初めてでした。口紅って、塗るの、難しいです。下手くそな塗り絵みたいにはみ出して、よくわからないピエロみたいな顔が出来上がりました。人とか何人か殺してそうな狂気をはらんだ顔でした。そのまま、面接の練習を続行します。
「お、お、オンシャ! ゲホッゴホッ! オンシャ! 私が御社に入社させて頂きました暁には! 寝ずに働き! オンシャ! 過労死するまで身を粉にして!」
ハイテンションで叫んでいると、ガチャリ、とドアが開きました。と同時に、「ぎゃあああ!」という悲鳴が聞こえました。振り返ると、御年60歳の僕の母親が僕を見て鬼の形相をしていました。こっちに来なさい、と腕をつかまれて、僕は居間に連れて行かれました。
「病院行け!」
深夜、居間で母親と二人、向き合いました。僕は母親からメイク落としを渡されて、メイクを落とします。
母親「前から思ってたんだけど……あなた、一度病院に行ってみたらどう」
そんな話を、母親から真剣な調子で言われてしまいました。肺炎の話ではなく、精神の話らしいのです。
まぁ、無理もありません。あんなところを見たら、誰だってそう言うでしょう。でも僕は、昔から疑問に思ってることがあるのです。
病院に行ったら、治るんだろうか?
治るとして……僕はこれを治したら、幸せになるんだろうか?
治ったら治ったで、よりいっそう、虚しくなるだけなんじゃないのか?
就活する前に、肺炎も精神もちゃんと治すべきなんじゃないのか。母親の説得は早朝まで続きました。僕は危うく、泣きそうになりました。
なんとかこらえて、自分の部屋に退散、布団を頭まで被って、目を閉じます。
病院、行くのかな。
今までずっと、心のどこかで、一度病院に行くと、何かの歯止めがきかなくなってしまいそうで、こらえてきたというのがありました。でもコメント欄にも病院行けって連載当初からあったし、いい加減アドバイスに従って病院に行くのがいいのかもしれません。
・何やってもダメだよきっと。
近頃僕は、頭がおかしくなりだしているのかもしれません。
皆さんは、どう思われますか?