高校時代に自分がゲイであることを友人にカミングアウトしはじめ、早6年。まだ一人しか男を知らなかった純情ゲイ少年が、昼ドラをすりつぶ したような恋愛を越え、今ではすっかりオンボロなオカマになりました。顔面劇場まるだしちゃんです。男か女かなんて二元論では語れない、ブスロジーを提唱する私はぴっちぴちの大学生(肌年齢は限界)。どうぞよろしくお願いいたします。
さてさて、リア充たちが納涼とかこつけて夏の思い出を空爆のごとく地獄のSNSに投下する日々が続きますね。私は地を這う歩兵隊。「(イケメンを)ホシガリマセンカツマデハ」の言葉も何が勝ちなのかわからず空を切るばかり。それでも生きる私たちは美しいわ!(自分に言い聞かせるように)
今日は、まるで郵便局のように、いや、それは戦後の郵便検閲官のように彼氏の携帯を管理、支配する女について書こうと思います。
二丁目のバーで出会った女の子の話。
彼女はクラブが大好きなプチビッチ美人。フリーの時はいろんな男に手を出すものの、彼氏ができたときには一途になる20代後半の女性でした。
「あんた男いるの?」と聞くと
「いるよ!」とひと言。
男いんのかよ! ふざけんな! と悪態をつきつつもお決まりの写メコール。
「はよ出さんかい!」
「待って! 探してるから! あんまりないんだよ~」
だいたい写真があんまりないっていう女に限って、彼氏がイケメンにうつってる奇跡の一枚を見せびらかして、うらやましがられたいものよ。
そう思いながら見せられた彼の写真。
「えっタイプ~!!! 紹介して!!!」
彼氏だっつってんのにそんなのオカマいなしなオカマたち。でも、彼氏の話を聞いてるうちに、だんだん雲行きが怪しい方向に及んで……。
「最近けんかしちゃったの」と打ち明けるプチビッチに、ざまあみろ!と悪態が飛び交う中、それでそれで? と話を聞いていると、
「最近彼の行動が怪しくて、彼がシャワー浴びてる間に携帯見てたら、やっぱり女の子とLINEしてて、問いつめたらただの友達だって言うんだけど、携帯を勝手に見たことにすごく怒っちゃったの」
「そしたらそのまま帰っちゃって、何度もLINEしたんだけど、既読になってるのに返事が無くて……」
「この前やっと短文で返ってきたけど結局それから会ってないの。またメッセージ送った方がいいかな?」
きゃーーーーーーーーーーー!!!!!!
こんなビッチの中にも妖怪が巣を作っていたわ!
このタイプの妖怪は最近の子に多いの。「カツマデナンドデモホシガリマス」精神の女。引くということを知らないのよ。それもそのはず、自分が不特定多数の人間とセックスをする楽しさを知ってしまったからこそ、彼氏ももしかしたら遊んでるかも……なんて無意味な心配に身を割いてしまうの。
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「妖怪ポストオフィスババア」……
【彼の携帯を管理することで自分の存在を肯定しようとする妖怪。浮気の証拠があろうがなかろうが、そこで得られる情報は本人を不安にさせるだけであるため、不安が不安を産み、自分を保てなくなってしまう。かつての郵便検閲官の霊がブス女たちの瘴気を吸い込み、妖怪と成ってしまった。「妖怪大図鑑」参照】
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わたし、この妖怪が生まれた原因って、「mixiの足跡機能+何分前にログインしました機能」と「LINEの既読機能」にあると思うのよね~。SNSの発達とともに他人を監視できるようになってしまったからね。それはあくまで監視であって支配ではないから。結局、
「思い通りにならない」
という気持ちだけが先走ってしまうの。
まるでそれは本谷有紀子の舞台を原作にした映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の和合清深を彷彿させるわ。ネタバレになっちゃうけど、郵便局でバイトをする彼女は、女優になりたい姉が送っている手紙をすべてくすねて、姉の前にばらまくの。私の大好きな映画のシーンよ。そこには情念と憎悪が溢れ、また滑稽と哀れみと…俺とお前と大五郎(言いたいだけ)。
他人のプライベートを管理することは負の連鎖しか生まないし、支配なんてもってのほか。お互いが自由に、お互いを好きになれるのがやっぱり理想だと思うわ。
■顔面劇場まるだしちゃん /(@toyamarudasi)爆発寸前のオカマ。北海道の僻地から湧いてでたセックスシンボル。イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活動する傍ら、全てのセクシュアリティの人のためのブライダルLetibeeの代表として活動している。お尻が突き出ているという一身上の都合によって、高校時代のあだ名は「ケンタウロス」
【ブス妖怪大図鑑バックナンバー】
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