ライフ

「未婚で子どももいない市長とは議論できない」 育児問題に言及していいのは、経験者だけなのか

【この記事のキーワード】
Photo by Niklas Hellerstedt from Flickr

Photo by Niklas Hellerstedt from Flickr

今回は、いま話題になっている秋田県大館市議会の件について考えてみたいと思います。2月29日、保育士不足について一般質問した相馬ヱミ子議員(67歳)が、福原淳嗣市長(48歳)に対し「(市長は)まだ結婚もしていない。子どももいない。これでは同じ土俵で議論できない」「市長にはぜひ、この任期4年間の間に結婚してもらいたい」と発言したことが問題視され、戒告処分を受けました。

今回の件と同様の「不適切発言」は、2014年6月に塩村文夏議員が妊娠・出産に関する東京都の支援体制について質問した際に「早く結婚したほうがいい」などのやじを鈴木章浩議員から受けた東京都議会やじ事件など、これまでにも何度もありました。

従来の「不適切発言」と本件の違いは、女性(67歳)が男性(48歳)に対して行った発言である点でしょう。政治家のセクハラ不適切発言として問題視されるのは多くの場合、中高年男性が若年女性に対して行うものでした。今回の件は女性であれ男性であれ「従来のジェンダー役割分担」の固定観念に囚われている限り、次世代に対して有意義な発言ができないということを物語る事例と思えてなりません。

今回の発言がセクハラであり、未婚者、子どもを持たない人を見下す不適切な内容であったことは言うまでもありませんが、今回の発言がなぜ出てきたのかを考えると、もっと深い「当事者・当事者性の問題」が見えてきます。

1 2 3

古谷有希子

ジョージメイソン大学社会学研究科 博士課程。東京大学社会科学研究所 客員研究員。大学院修了後、ビジネスコーチとして日本でマネジメントコンサルティングに従事したのち、渡米。公共政策大学院、シンクタンクでのインターンなどを経て、現在は日本・アメリカで高校生・若者の就職問題の研究に従事する傍ら、NPOへのアドバイザリーも行う。社会政策、教育政策、教育のグローバリゼーションを専門とする。

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

「当事者」の時代 (光文社新書)