インタビュー

男女不平等の日本社会が「子どもと女性の貧困」を生んでいる 『女性と子どもの貧困』著者・樋田敦子氏インタビュー

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『女性と子どもの貧困』(大和書房)著者・樋田敦子さん

『女性と子どもの貧困』(大和書房)著者・樋田敦子さん

日本社会の影で確実に進む、貧困問題。2014年の厚生労働省の調査では、児童のいる世帯の67.4%が「生活が苦しい」と感じている、と報告されました。こうした状況に警鐘を鳴らすべく刊行されたのが『女性と子どもの貧困』(大和書房)です。DV、離婚、借金、病気、情報不足、そして人のつながりの薄さ……。「普通」の生活を送っていたはずの人が貧困に陥ってしまうメカニズムと、それに対抗する解決策とは。当事者の生の声を聴き続けてきた樋田さんに伺いました。

―― 樋田さんが貧困問題に興味を持たれ、本を執筆しようと思われたきっかけを教えてください。

樋田 2002年に、多重債務を抱えたある家族を取材したことがきっかけです。両親と子ども2人の世帯で、父親は身体が弱く稼ぎのない方だったようで、お母さん1人で自転車操業をしてお金を返されていました。でも14年も前の話ですから、そのときは「こういう風に生活している人もいるんだな」という感覚しか持ちませんでした。それが2008年の年越し派遣村のあたりから貧困が見えてきたというか、明るみには出ていないけど本当は深刻なんだ、と感じるようになったのです。取材を続けて、困窮している人たちにもたくさん会いましたが、周囲の反応は「え、貧困の人なんかいる?」というものが多くて。

―― 2002年、2008年頃に比べて、貧困はより見えやすくなったと思いますか?

樋田 ここ数年、マスコミの報道によって多少は見えやすくなったと思います。とはいえ今でもやっぱり貧困って見えにくい。昭和の貧困っていうと、お弁当を持ってこられなかったり、襟ぐりが汚れていたら「お風呂入っていないのかな」って、分かりやすかったんです。でも、今の貧困世帯の子は、ごく普通の身なりで、困窮状態にあることが分かりづらい。本書で取り上げた銚子長女殺害事件でも、深刻な貧困状態にあったのにもかかわらず、お母さんは綺麗な服を娘さんに着させて、ごく普通の生活をしているように外からは見えました。

(※銚子長女殺害事件……2014年9月に起きた、実母が中学2年生の娘を絞殺した事件。この家庭は母娘2人の母子家庭で、極度の貧困から家賃を滞納し強制撤去を迫られたことから、母親が心中を図ったと見られている。『女性と子どもの貧困』でも第1章で詳細を取り上げている)

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