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向井理と五郎丸歩に靖国参拝をせがむ「おめざ女子」とは

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武田砂鉄

武田砂鉄/論男時評(月刊更新)

 本サイトを読まれる方が日頃手にすることがないであろうオヤジ雑誌群が、いかに「男のプライド」を増長し続けているかを、その時々の記事から引っ張り出して定点観測していく本連載。

 大きな反響を呼んでいる匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」について、安倍首相は2月29日の衆議院予算委員会で、「(投稿が)本当かどうか確かめようがない」と答弁した。この発言に怒った当事者たちを中心に国会前でデモが行なわれたが、確かめようともせずスルーしかけた首相に向けて、ここにいますよ、怒っていますよ、と伝える行為は、すこぶる丁寧である。

 安倍首相は自らの発言から10日ほど経ってから、「早急に対策に取り組みたい」との意向を示したが、世論の反発を招き、保育にまつわる諸問題が夏の選挙の争点となったり、支持率低下に繋がったりするのを避けたいことが一義にあるのだろう。

 自民党の平沢勝栄議員は10日、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)に出演し、匿名ブログについて「これ、本当に女性が書いた文章なんですかね」と発言した。コメンテーターの高木美保が「それは関係ないでしょう、女性、男性関係ない」と返したが、的確に本質を突いている。

 平沢議員が「本当に女性が書いた文章なんですかね」と漏らせるのは、この手の問題に男性はさほどかかわらなくてもいい、という本音を持ち続けているからこそ。結局、彼らの頭で固まっている「まぁ確かに保育園に入るのは簡単じゃないけども、選ばなければ入れないってこともないんでしょう?」くらいの雑な見解が更新される。こういう保守オヤジに、どうすれば切実さが伝わるのだろうか。

 保守オヤジの巣窟である雑誌『正論』(産経新聞社)で、連載「せいろん女子会」が始まった。女性たちがざっくばらんに保守や愛国を語る企画だという。外からいくら物申しても鼻で笑うだけの保守オヤジへ、それなりに厳しい内部告発を期待したいところだが、中身はどうだろう。

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武田砂鉄

ライター。1982年生まれ。東京都出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、2014年秋よりフリー。著書に『紋切型社会──言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社、2015年、第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)、『芸能人寛容論──テレビの中のわだかまり』がある。2016年、第9回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞を受賞。「文學界」「Quick Japan」「SPA!」「VERY」「SPUR」「暮しの手帖」などで連載を持ち、インタヴュー・書籍構成なども手がける。

@takedasatetsu

http://www.t-satetsu.com/

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