でも、日本では「性について相談することすら恥ずかしい」という風潮が強く、それは私たちが子ども時代から「性とは恥ずかしいもの、隠すべきもの」と教えこまれてきたことと決して無関係ではありません。
Boさん「デンマークでは学校教育のなかで性教育がしっかり行われるので、13歳になればセックスについてひと通りのことを知っています。そうでなくとも、家庭で5歳になるころから、親が本を見せながらペニスやヴァギナについて教えます」
ご、5歳ですか!?
Boさん「ええ、ほんとうですよ(笑)。デンマークは世界一、性に対してリベラルな国ですから! 学校教育も大事ですが家庭でもセックストークをオープンにしていくことで、デンマークの子どもたちは自分の身体について、そしてセックスについてのポジティブなイメージを養います。学べば学ぶほど身体のことがよくわかるし、セックスを肯定できるし、安心して気持ちよくなれます。自分のセクシャリティについて表現するというのは、自分自身を表現すること。16歳ぐらいになると少年少女たちはセックスしはじめますが、そのころには『自分を大切にする』という当たり前のことが身についているんです」
これは憶測ですが、性をポジティブにとらえつつ、その裏にあるリスクについての正しい知識が行き渡っている国では、望まない妊娠による中絶率や性感染症の感染率が低そう。いままた梅毒が大流行している日本ってやっぱり恥ずかしい……。性犯罪の発生率も気になるところです。
日本の性はファンタジーが強い
また、性の主導権が長らく男性の手にあった国では、バイブは男性の興奮を増幅させるためのツールでした。「iroha」のような国産ブランドが登場したとはいえ、女性の心身を傷つけかねないバイブレーターはいまだ市場にあふれています。一方で、性に対してオープンでそこに男女差がほとんどなく、家庭でも学校でもセックストークができる国で生まれるバイブはこんなにもピースフルで、女性にやさしいのです。
では、Boさんの目に映った日本のセックス観は?
Boさん「日本の性はドアの内側に隠されていて、外からは見えない。でも、中を見るとスゴイ世界が展開している! という印象があります。ゆえに、市場としては大きなポテンシャルがあると私は見ています。でも一方で、アニメをはじめとするファンタジーが強くて、リアルの世界より優勢のように見えます」
AVやエロ系のアニメ、コミック、ゲームなどなど、リアルとかけ離れたセックスコンテンツはまさに日本の十八番です。
Boさん「それよりも、セックスを日常的なこととしてとらえてほしいですね。日曜の午後、リラックスしてコーヒーを飲むような感覚で、セックスする。ファンタジーのなかにいると、リアルなセックスはストレスになります。そんなセックスは気持ちよくないですよね。日常的で心地いいセックスにシフトするきっかけとして、AVEを提案したいです」
日常的なセックスを大事にするという感覚は、日本ではたしかに薄いように思います。女性誌のセックス特集では「セックスってめくるめくもの!」「最高のセックスじゃなければ、セックスじゃない!」と声高にアピールされますが、これにはもうお腹いっぱい。気合入りまくりで採点基準の厳しいセックス、とても強迫観念的です。「もっとリラックスして!」とBoさんはくり返しいいました。肩の力をもっと抜けば、「オーガニズムが見せてくれる7番目の天国」を私も見ることができるのでしょうか。
(桃子)
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