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アカデミー賞受賞!トランスジェンダーの現実を描く『リリーのすべて』の、「男/女言葉」への違和感

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(C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.

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『英国王のスピーチ』で2010年にアカデミー監督賞を受賞し、『レ・ミゼラブル』をミュージカル映画としてヒットさせたトム・フーパーが手がける新作『リリーのすべて』。本作は、19世紀末にデンマークで生まれた画家のリリー・エルベという、世界ではじめて性別適合手術を受けた人物を描いている。アリシア・ヴィキャンデルが第88回アカデミー賞助演女優賞を受賞したことでも注目を集めた。

これまで欧米では、『プリシラ』(1994年)、『ぼくのバラ色の人生』( 1997年)、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2001年)、『トランスアメリカ』(2005年)、『わたしはロランス』(2012年)など、生物学的には男性として生まれ、女性化するトランスジェンダーを描いた映画作品が製作されてきた。『リリーのすべて』では、当事者が歩むトランジション(性別移行)のリアルな過程が反映され、丹念に描かれている点がおもしろい。

日本では、『3年B組金八先生』の第6シリーズ(2001~02年)で、女性として生まれ男性化しようとする生徒を上戸彩が演じて話題となり、一気に「性同一性障害」という言葉は広まった。最近は、「LGBTQ」という言葉がトレンドで、同じ性的マイノリティということで一枚岩とされがちだが、トランスジェンダーと、レズビアンやゲイそれぞれが抱えている社会生活上の問題は異なる。トランスジェンダーでも、女性から男性化するFtM(Female to Male)と男性から女性化するMtF(Male to Female)で抱える困難ももちろんちがう。今回は『リリーのすべて』を足がかりに、MtFのトランジション、そしてフィクションにおける「男/女言葉」の使われ方を中心に、考えを記させていただきたい。

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