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きっと映画館に行きたくなる、良質でお得な番組があります

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ニッポンダンディ

(TOKYO MX『ニッポンダンディ』公式HPより)

 『ニッポン・ダンディ(東京MX)』

「映画は、映画を見てるんじゃなくて『映画体験』をしに行ってるんです。」

 これは、2013年8月23日放送の『ニッポン・ダンディ』で、映画館で映画を見ることの大切さについて水道橋博士が言った言葉です。

 白いテーブルを前に、水道橋博士の右隣には同じ番組レギュラーの高山義弘、そして左隣りにはゲストコメンテータの松江哲明監督。ニュース番組のようなセットの中で、水道橋博士はこう続けました。

「映画館で(色んな経験をして)人生を学ぶんです。映画は人生の予告編です。大変なことが起こってる主人公を見て、自分のことのように体験できる。だから、映画は十代のうちに沢山見た方がいい」

 『ニッポン・ダンディ』は現在月曜日から金曜日21:00~21:55、東京MXで放送中の番組です。

 この番組は曜日によって特色が違い、水道橋博士がレギュラーを務める金曜日は、ニュースや特集コーナーなどが映画に特化した内容になっています。水道橋博士、園子音、高山善廣のレギュラー・コメンテータ3人に、映画監督や映画評論家などがゲストコメンテータとして加わり、映画について語ります。

 私は映画が好きなので、金曜日の『ニッポン・ダンディ』は非常にありがたい番組です。これほど簡単に映画の情報が得られ、しかも映画の監督自ら裏話など聞けるとは。

ここ数年、諸般の事情からなかなか映画を見ることができなかったのですが、この金曜日の『ニッポン・ダンディ』は、そろそろまた映画館で映画を見たいな~! という気持ちにさせてくれる番組です。

ピエール瀧がバイオレンスだってよ

 冒頭の「ワールド・ダンディ・ニュース」のコーナーでは、タイの映画館で映画館離れを食い止めるために、入場料を価格破壊し、3本立て390円で上映しているニュースや、イギリスで約15万円でポルノ映画監督になれるプロジェクトが発足したニュースなど、世界の映画にまつわるニュースが紹介されます。

 続いては、映画を解釈する「ダンディTHE MOVIE」のコーナーです。

 8月30日放送の回では白石和彌監督をゲストに迎え、9月21日公開の映画『凶悪』を特集していました。

 『凶悪』は原作の本でさえ、裁判記録よりは暴力描写が丸くなっている程、残虐な事件を描いた映画です。博士が、このように映画を紹介しました。

「人を殺す人は解像度が低い。常に金とセックスにしかピントが合わない。けど、よく見ると、そういう人は自分の周りにも沢山いる。連続殺人は例外に見がちだけど、(この映画を見ると)動機としてはありうる、ということが分かる」

 白石監督は、こう言いました。

「暴力描写に悩んだ。映画にはスタンガンで被害者を虐めるシーンがあるのですが、裁判記録を読むと、実際には80回~100回やっている(映画では4~5回にとどめた)」

 実際にあった凶悪な事件をリアルに描いた映画では、『冷たい熱帯魚』が有名です。

「『冷たい熱帯魚』から短いスパンで『凶悪』を作るのはリスクだと思った」と水道橋博士がコメント。それに対して、『冷たい熱帯魚』や『恋の罪』を参考にしたと言う監督は、残酷な映画では世界に残る名作である『冷たい熱帯魚』と同じことをやっても同じ熱量は出せないので、参考にしつつも違う方向に持って行けないか考えたそうです。

 キャスティングに関しては、登場人物の顔にいつも油が浮いているような、内面のねちっこいバイオレンスを表現しようと試みた、と白石監督が語りました。

 『あまちゃん』で優しい寿司屋の大将を演じているピエール瀧さんが、この映画では強面の連続殺人犯人を演じているので、MCの関谷亜矢子さんは「あまちゃんを見て(ピエール瀧さんは)いい人だと思ったのに~」と、驚いたそうです。

 被害者役のジジ・ぶぅさんは、殺人犯役のリリー・フランキーさんが指名して決定したそうです。水道橋博士とは旧知の間柄で、元・ホームレスの役者さんだそうです。「ジジ・ぶぅさん、昔は石食べてた。だから殴られる役ができるんです」と水道橋博士。

 特集の最後に、博士が映画の解釈を話します。

「こういう映画は怖いから見ないって人もいるし、犯罪は割と他人ごとだと思われている。けど、世界中でこういう殺人がなかったことは一度もない。こういうことは稀じゃない。悪意は人にあるから、俺は殺される側になる可能性はあると思うし、(こういう事件に)巻き込まれない保証もない、と思って映画を見るんです。そうすると、映画館を出た後も、その衝撃をひきずるから、世界の見え方が変わるんですよ。ホントにあるんだってことを実感するんです。世界の認識が変わる映画なんで、これ見ることはホントに『映画体験』だと思います」

 ウィキペディアにも載っていないような映画にまつわる貴重な裏話がきけるのがこの番組の魅力だと思います。映画に関する予備知識を得ようとする場合、これまで私はネット・雑誌・新聞などから情報を集めるのが常でした。けれど、この番組さえ見れば、映画に関する情報がまるまる分かるので、映画好きにとっては、見てお得な番組だと思いす。

 最後に水道橋博士はこうまとめました。

「『凶悪』を見て、『あまちゃん』も見て、振り幅を広くしないと!」

 私もぜひまた映画館で映画を見たいと思います。

■歯グキ露出狂/ テレビを持っていた頃も、観るのは朝の天気予報くらい、ということから推察されるように、あまりテレビとは良好な関係を築けていなかったが、地デジ化以降、それすらも放棄。テレビを所有しないまま、2年が過ぎた。2013年8月、仕事の為ようやくテレビを導入した。

大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』

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