3泊4日、ジュンコにとっては初めての海外ひとり旅。彼女は最終日までチョさんのタクシーをチャーターし、ソウル市内を離れイチョンやテジョンを観光した。チョさんは、
「ジュンコは焼酎とタバコをおみやげにくれた。彼女は韓国語がびっくりするほどうまくなっていて、いろんな話をしてくれた。旦那さんとは会話がほとんどないこと、息子はひとり暮らししていてなかなか会えないこと、日本の男は家族を大事にしないこと。私も自分が離婚していることを話したが、ジュンコが韓国語を理解できたかどうかはわからない」
と笑う。これ以後、ジュンコは月1ペースで韓国に来るようになり、最近はチョさんの家に泊まることが多い。彼女に勧められチョさんはスマホを持ち始め、日本と韓国で離れているときはLINEで連絡を取り合う。
「LINEでは詩を送ることが多い。翻訳アプリを使うからおかしな日本語に変換されているかもしれないが、ジュンコはすごく感動してくれる」
「月1で韓国に来たら旦那さんにバレない? チョさんは結婚したいの? ジュンコさんは離婚するとか言ってるの?」目的地が近づいて来たので慌てて質問したが、残念ながら答えは聞けないままにタイムアウト。あ〜ん、もっとジュンコの話が聞きたかったのにー! これほどまでタクシーから降りたくないだなんて思ったことはない。
それから3カ月後、またしても「私の彼女、日本人です」と話す運転手に遭遇。チョさんとはまったくの別人だが聞けば、彼女との出会いのきっかけや年齢も似ていて、コミュニケーションには翻訳アプリが欠かせないことも同じ。「純愛」という言葉を繰り返し使うところもふたりの運転手に共通するところ。たしか相手の名前は「チエコ」って言ってたっけ。彼女もジュンコと同じくかなり積極的なアプローチで驚いた。
ジュンコとチエコだけじゃない。どうやらこの「韓国人タクシー運転手と日本人主婦の純愛ロマンス(?)」、近ごろ意外とソウルで多いらしい……。
■韓美姫(カン・ミキ) /韓国生活も5年を超え、さすがにサムギョプサルには飽きたけど、こってり甘いソースを絡めたチキン『タッカンジョン』は週1→2とペースがあがってるこの頃。最近のビッグニュースは、アパートの下にチキン屋開店!
1 2