働いている人も働いていない人もこんにちは! 今日も元気な無職の奥山村人です。
さてさて、以前「誰か無職に人生相談してくれませんか? 読者のお便りを募集中」という記事で、皆さんからの人生相談を募集していました。
当初は、ご応募頂いた相談の中から一つだけ選んでお答えする予定だったんです。が、いざ選ぼうとすると、どれか一つ選ぶのは不可能だな、と思ってしまいました。
そこで、予定は変更して、頂いたご相談全てに答えていくことにしました。
そのため今回、文字数がわりと、とんでもないことになっているハズですが、僕の方も、無い知恵や浅い人生経験を振り絞って回答しましたので、どうかお付き合い頂ければ幸いです。では、さっそく寄せられた相談に答えていきたいと思います。
<コメント欄10番さん>
物覚えが異常に悪いので苦労しています。
脳科学(認知神経科学とか認知心理学とか)をちょっとかじったら物覚えではなく「思い出し力」のような機能が働いてないぽいですが。エピソード記憶や手続き記憶に問題は余り無く、意味記憶がからきしのようです。学校では担任の名前を一学期中には覚えられなかったはずです。クラスメイトの名前を覚えた頃には学年が変わりリセット状態でした。大人になっても迷子もしょっちゅうなので地図や路線図を必ず持って出ます。知能は正常らしいです。小学校の知能テストで担任がわざわざウチに来て両親に「娘さんは天才レベルです」と言ってきたからです。勉強は暗記が完全にダメでした。小学校では平均位だった成績は中学ではガタガタでした。しかし周囲からは「頭良さそう」だの「成績は悪いが頭は良いタイプ」など言われ悲しくなります。
誰も分かってくれない。どんなに孤独か。普通の人が普通に出来る事が出来なくて、そのため普通に暮らす為にどれだけ努力してるか、苦労してるか、誰も分かってくれない。「あたし物覚え悪くて」と本気で言っているのに、返事は100パーセント「あたしも!」。100パーセント、です。ふざけるなと言いたい。小中学高校と、初登校から数週間は迷子になって遅刻常習でマトモに帰宅も出来ずにいたあたしと同じだとでも? あなたカラオケ出来てるじゃん。好きな俳優の名前、スラスラ出るじゃん。テストの結果だってマトモじゃん。などと、憎しみさえ感じます。
「真剣に聞いていない」と解釈される事もよくあり、学校でも職場でもいじめにあったりしました。親に相談しようとしたら脳神経科ではなく精神科に連れて行かれ「問題ありません」と帰されました。大人になってから脳神経科に行ったら「物覚えが悪い、ってw」と鼻で笑われ、「で? どーしたいんですか?w」みたいに言われ、それでもどうにかCTやMRIを撮ってもらったけど「異常無し」。普通に友達を作り普通に待ち合わせをし、普通にショッピングを楽しんだりするのがどんなに大変か、誰も分かってくれない。記憶力の促進には音読が良いと知り、たまにやりますが、即効性などもちろん無く、馬鹿馬鹿しくなってきます。
良い事といえば、本や漫画や映画やドラマなどを何度も新鮮に見れることですかね。でも、登場人物が三人を超えると、もう話についていけませんが。だから少女漫画が好きです。主人公と彼氏だけ覚えてれば読めるから。
こんなわたしでも小説を書くのが好きになりました。記憶力が無い分、想像力はあったみたいです。幼い頃から妄想ばかりしていましたし。ネットに上げたら「大ファンです!」「更新楽しみにしてます!」と言ってくれる人も出来ました。嬉しくて有難くて信じられなくて、でもパソコンのモニターにはハッキリもらったメッセージデータがあって(ログ、って本当に有難い!)。何度も何度も何度も読み返しました。本当に本当に嬉しかった。しかし家庭の事情で今は書けません。虚しいです。プロになりたいなんて思ってない。「自分の世界」がそこにしか無いだけ。でも。やっと。やっと見つけた「場所」ですら、思うにままならない。小説を書くのもだけど、「ネットに上げる」作業がわたしにとってどれだけ大変だったか。そうやって、がんばって自ら切り開いて手に入れたはずの世界ですら。心の拠り所ですら。
本当に虚しくなります。今は死を意識することもあり心療内科に通っています。ただそこでも根本原因である「意味記憶がからきしダメ」な事はなおざりにされて、毎回お薬を処方されて帰ってくるだけです。
わたしはどうしたらいいですか? 物覚えが(思い出し力が)良くなりたいです。マトモになりたいです。人とビクビク接するのに疲れました。どうしたらいいですか?
<無職・奥山村人の答え>
それが何の病気なのか、病名がつくとしてそれは治るのか、といったことは残念ながら僕にはわかりません。どうしたら「物覚え」が良くなるのかも、わかりません。ただ、話を聞く限り、それはとても不条理な人生だろうな、と思います。
病名がついていれば人に説明しやすいことも、原因が不明なせいで、言葉を尽くしても周囲からも理解されない。理解されないことで、実務的なトラブルもあるし、孤独も深まっていく。
物覚えが悪い、という言葉がただの謙遜にしか受け取られないわけですよね。僕だったら、面倒くさいので、脳に深刻な障害があって……と、話を作ってしまいます。その方が、カンタンだからです。そして、もう少し仲良くなってから初めて、打ち明けるようにします。
たった一人の理解者を作ることが出来れば、と思います。プライベートで、職場で。そしてあなたのその問題を、周囲にきちんと説明してくれる、そういう人が必要です。
もし僕があなたの友人であれば、周囲に少しずつフォローして回ります。思い出せないことがあれば、そっと耳打ちします。そばにいて、あなたの記憶の手助けをしてくれる人を探して下さい。
きっと、います。
<真面目系グズさん>
はじめまして。私も無職です。思考力・記憶力・決断力等が急に低下した事を相談させて下さい。
20歳になった頃から、確実に知っていたはずの芸能人を顔も名前も忘れたり、鮮明だった昔の思い出がぼやけて昨日の事も靄がかかったようになりました。新番組をチェックするだけでも長時間掛かったり、ゲームも進行について行けなくなってやめたり、字を正確に書き写すのもやたら遅くしばしば挫折します。
それ以前から、歯磨きや入浴に異常に時間が掛かってたまにしか出来なくなったり、難しい事が考えられず、何度やっても覚えられない為、中一の勉強や同じ調べ物を何年もやったり変な所はありました。中学から生活に支障を来し、不登校です。続けていた日記も書けなくなりました。他の人はどんどん新しい知識や技能を習得しているのに、このままでは何も出来ないまま歳取ってホームレスになって干からびると思いうんざりします。
20歳になって1週間で、頭の機能だけでなく、皮膚も乾燥して急速に老けました。関係があるのかは分かりません。昼夜逆転も更に進んで、不規則型に移行しました。子供時代の嫌い過ぎる自分や嫌な事を忘れたいのか、大人になりたくなかったのか、精神的理由ではなく、低血糖症とか甲状腺とか、身体的不調なのか原因が分かりません。精神的理由だったら、掘り下げて考える事をしなければならず、それを今出来ないというジレンマに陥ります。うつ病というほどには、気分が落ち込んでいません。
家族にも、「気が狂ってる、障碍者」と一蹴される上、あちこちで相談しても理解されなかったので、一縷の望みを賭けて打ち明けました。
<無職・奥山村人の答え>
脳神経科と精神科の両方に行ってみたらどうでしょうか。総合診療科というのもあるらしいので、検索してみて下さい。とはいえ、それで原因がわからない可能性もあります。他の人と同じことが出来なくてもいいので、自分に出来ることを探してみて下さい。とはいえ、探してみたところ、何も出来ることがなかった、という場合もあります。
助けになってくれる人を探しても、友人も恋人も一生出来ない、ということだってあります。
それでも、自分を恥じたり、後ろ向きな気持ちになったり、する必要はありません。自分のことを、周囲と比べて、出来ないことが多いからダメだ、と考えないで下さい。精神的な問題だったとして、掘り下げて考える必要もありません。
もし僕があなただったら、この問題が解決しないとやる気出ないなー、と思う気がします。これが自分の問題だったら、やる気も出ないし、とりあえず色んなことは放っといて適当にダラダラ諦めて生きよう、と僕は思います。それもいいのかもしれないですが、でも、楽しんで生きることだって出来ます。
僕の友人に高校時代に脳の大手術をした奴がいるのですが、彼曰く手術以降「それまで賢かったのが突然アホになってしまった」そうです。確かに彼はとぼけた人間で、いつもボケーっとしているし、頓珍漢なことばっかり言っているのですが、人が良いので誰からも好かれて、そこそこ幸せな人生を送っています。よく彼は自分の頭のへっこみをネタにしていたし、当時はいろいろ悩んだらしいけど、今はそこまで引きずっているわけではなさそうです。
そんな風に生きるのは簡単なことじゃないし、もし同じ問題に直面していたとして、僕にはとても真似できないけど、ちょっとうらやましいな、と思ったりします。
そういえば、大学卒業から一年くらいして、ある日の深夜に突然、大学一年生のときの知人が泣きながら電話をかけてきたことがありました。彼とは、いろいろ嫌なことがあって、僕から付き合いを避けて、疎遠になった男でした。
「僕は、病気だったことが、わかったんだ」
ずっと色んな病院に通い続けて、ついに彼は病名がわかったらしいのです。それをどうしても僕に伝えたかったらしい。僕は正直ちょっと引いて、電話を切ってから別の知人と飲みに出かけて、それ以来彼とは音信不通なのですが、でも、そういうこともあるかもしれません。
いい人、になってみて下さい。
僕の言葉は全然薄っぺらくて響かないかもしれないけど、あなたの不幸はあなたのせいじゃないし、いつか原因がわかって解決するかもしれないし、解決しなくても楽しみや生きがいを見つけて生きて欲しい、と思う人は多分僕以外にも、この相談を読んだ人の中にも、たくさんいると思います。
<先山一寸さん>
私は楽になりたいのです。
他人から見て死ぬほどの理由(不治の病とか多額の借金とか)は無いのですが、私のような人間がこの先生きて行く理由も同様に無いのです。私自身がこの世から居なくなればどんなにか私は楽になれるのだろうかと夢想するのですが、世間様に迷惑をかけてまで自殺しようとも思えないのです。電車に飛び込んだり車に飛び込んだりしては相手や交通障害で迷惑をかけるし、自室で死んだりホテルで死んだりすればその部屋の価値を極端に下げてしまうことにもなります。そもそも自分を殺すというハードルが高すぎて無理です。私がこの世を去って楽になる方法はありませんでしょうか。
<無職・奥山村人の答え>
死にたいけど自殺はハードルが高い、自分が死ぬことで人に迷惑をかけたくない、ということですね。お気持ち、良くわかります。
まず、道を歩いてるヤクザの人にドロップキックをします。次に、殺されます。すると、綺麗に死体の後片付けをしてくれるんじゃないでしょうか。飛行機に乗ってアマゾンの奥地に出かけて、ワニかピラニアに食われてしまうという方法もあります。
なるべく早く病気になって死ぬ、という方法もあります。毎日農薬を食事に振りかけて食べていたら、多分普通に生きるよりはずっと早く死ねます。危険な仕事に従事する、という方法があります。登山家はどうでしょうか。僕は憧れます。死と隣り合わせの仕事をすることで、死に近づくことが出来ます。
多額の借金をしたり、不健康な生活を続けて病気になってみたりして、無理矢理に死ぬ理由を作って自分を追い込んでしまう、という方法もあります。
でも、僕は今言ったような方法は別にオススメしていません。こんな風に具体的な行動を起こすのは、それはそれできっと面倒臭いと思います。そもそも、僕は人に自殺をすすめたいと思ったこともありません。
僕は生きるのが一番辛かった時期、自分は既に死んでいる、と思うことにしました。死んでいるので、何をしても関係ない。全ては気の持ちようだ、と思うことにしたのです。……それで別に何も楽にはなりませんでした。
何したって別に楽にはなりません。
生きていていいこともないかもしれません。
それでも、死ぬ前に最後に、やりたくないことは一つもやらずに、自分のやりたいことだけやって、生活してみたらどうでしょうか。少しはラクになるかもしれません。僕は今、そうして生きています。やっぱり全然ラクじゃないし、むしろしんどいことは増えたし、毎日死にたくてたまらないけど、生きてる実感みたいなものは少し取り戻せたような気はします。
<まなさん>
彼氏がいるけどセフレが欲しいです。職場にはセフレになってくれそうな人はいないし出会い系サイトのメールのやり取りが苦手でサイトは長続きしません。どうしたらセフレできますか?
<無職・奥山村人の答え>
僕をLollipop-Rumikoさんと間違えてませんか???
もし知り合いに男の子がいたら、部屋に遊びに行ってみて下さい。それが一番早いです。そして、彼氏がいるということを話した上で、泊まってみて下さい。高確率で、セフレが出来ます。実家暮らしの男しか知り合いにいない場合、何かの折りに飲みに誘って、ホテルに行ってみて下さい。
そういう知り合いの男がいないとしたら、ナンパされやすい場所に出かけてみて下さい。バーとかクラブとかで知り合う、みたいな話をよく聞きます。そういうのも照れてしまう場合、習い事とかしてみるといいと思います。僕の友人は陶芸教室でセフレを作っていました。
とりあえず、異性と知り合える場所であれば何でもいいので顔を出して、酒に酔って、適当に部屋かホテルに行けばセフレが出来ます。「セフレって欲しいと思う?」と日常会話で探りを入れて、「YES」と答えた奴だけ飲みに誘うようにすると、はかどるかもしれません。
恋愛の場合、「僕/私と付き合って下さい!」という告白から交際がスタートする場合が多々ありますが、「セフレになって下さい!」という告白からセフレ関係がスタートしたという話を、僕は未だかつて聞いたことがありません。多分セフレというのは、なし崩しになってしまうものだと思います。なし崩し、がキーワードです。だらしなく、なし崩せそうな関係を見つけて下さい。
ところで、最近オススメの方法があって、それは飲みに行った席で気になる相手に、どんな風にセックスするのか聞いてみる、という方法です。ドン引きする人も多々いると思いますが、セックスのやり方のエピソードを聞くことで、その人がセックスがうまいかどうか、なんとなく事前に品定め出来るわけです。
僕ですか?
基本的に騎乗位でしかセックスしません(←下手そう)。
<湯野さん>
20代前半の女です。
父親が今年自殺し、母と私で妹を養っていかなければならなくなりました。母は前から働いているパート。私は学校卒業後同じくパートで接客業を始めました。学校卒業後は家を出て就職する予定でしたので急いで決めた仕事ですが、比較的恵まれた職場だと思います。
もうすぐ初めてのお給料日ですがここ最近仕事をサボっています。数カ月気を張って行動していた反動でしょうか。もともと不安障害を患っているのもあります。しかし私が働かなければ母と妹が困ります。自殺願望を増幅させたまま、私はこの先、きちんと働いて生活できるのでしょうか? 父親に対しては自殺するなら一家心中で良かったのに、と思います。
<無職・奥山村人の答え>
自殺願望を抱えながら、きちんと働いて生活していくことは可能です。僕の友人知人にも、何人もいます。この連載の担当編集者も多分、そうです。
すごくマトモなんだと思います。世の中には僕みたいな人間の屑がたくさんいます。あなたと同じ状況に立たされても、同じように振る舞えない人間がいるはずです。僕だったら毎日酒飲んで外で遊んで荒れた生活を送るかもしれません。
もしかしたら、「こうするしかない、こういう生き方以外に何も選べない、だから仕方なくこうしている」という意識があなたを息苦しくさせているのかもしれません。自分の意志と無関係に、誰かのために義務感だけで動いていて、生きている実感がどんどんなくなってきているのかもしれません。
でも本当は、人生いくらでも滅茶苦茶に生きることが出来ます。滅茶苦茶に生きるべきだ、とは思いません。ただ、あり得たかもしれない他のたくさんの可能性の中から、あなたはとてもマトモな生き方を選んでいるんだと思います。家族を困らせないために働く、ということは、すごくマトモなことです。そのマトモさを、心の中でそっと誇って下さい。
入社してから退職するまで、ずっと気を張って真剣に仕事をしている人なんていません。慣れてきてサボるのは当たり前のことなので、そんなに後ろめたさを感じる必要なんてありません。みんな、適当にサボったり、たまに会社辞めたり、騙し騙し生きています。
それに、世の中には色んなことを言う人がいますが、死ぬくらいなら働かなくていいと僕は思います。自分が義務に感じているようなことを全部放棄しても、世の中は案外回ります。試しに、体調が悪いとかなんとか言って、仕事で丸一日サボってみて下さい。それでもなんとかなります。
あなたの価値は、働いているかどうかでは決まりません。
何もしてなくても、生きている価値はあります。
それでも、あえてマトモに生きているあなたは、すごく立派です。人生はこれからどんどん良くなります。いつか100%、自分のために生きることが出来る日が来ます。
<コメント欄28番さん>
私には中学生の息子がいるのですが、奥山君に相談したいことがあるとすれば、「我が子を将来、奥山君のようにしないためには、親として何に気をつけたらいいですか?」という、この一点のみですね。これは是非伺いたい。
<無職・奥山村人の答え>
僕はあんまり、親のせいとか環境のせいで自分がダメになった、とか思ったことがないんですよね。もちろん全く無関係ではないのかもしれないけど、なんだかんだでそこそこ恵まれた環境で育って、自分の意志でドブに捨てたな、と思ってます。
でも万が一、自分が親になったとしたら、こんないい年して無職のままでいる息子なんか絶対に嫌だな、と思います。
確率の問題として、もの凄く乱暴なこと言うと、パソコン部よりテニス部の方が、早稲田より慶応の方が、なんとなく落伍者になりにくそう、とか、幾つかお子さんが人生の岐路に立ったときに、親として干渉出来ることがあるのかもしれません。
でもそんなことは本質的な問題ではないと思います。
僕は小さい頃から、「お金より大切なことがある」「一生懸命になれる仕事につきなさい」と言われて育ちました。それで、お金にはわりと無頓着で、理想の仕事に対するハードルが高い人間に育ったと思います。
そういえば、僕はなんだかんだ言いつつ前職の仕事を辞めるハードルが異様に低かったのかもしれません。無職になったところで、特別親子関係が変わったようなこともなかったです。仕事辞めたら殺す、みたいな親だったら話は違ったかもしれません……。
うーん……結構考えてみたんですけど、どうやったら子供が作家志望の無職引きこもりニートにならないか、よくわかりません。普段はよく説教されているのですが、多分実際には、僕の両親は結構僕に甘いんですよね。それがいけないのかもしれません。
人生で一番大切なのはお金だと言われて育っていたら、違う人間になっていたかもしれません。
あと、僕は3歳くらいの頃から、本当に色んな人に怒られて生きてきたせいか、人に非難されたりするのが別に怖くなかったので、そのせいで簡単に無職になってしまったのかもしれません。無職になったら、現実でもそれなりに嫌味を言われたり怒られたりすることもあるし、この連載でも結構叩かれたりするのですが、別にそれで落ち込んだりはしないんですよね。それがダメなのかもしれません。もっと、人目を敏感に気にする子供だったら良かったのかも……。
そういえば、僕の両親、とくに父親は、比較的しっかりした人間だと思うんですよね。これが、もっと頼りない親だったら、僕がしっかりしなくちゃ、という考えになっていたかもしれません。僕は一人っ子でもあったので、元々わりと甘えたところのある人間で、両親を支えてあげよう、なんて今まで思ったこともありませんでした。
思うに、しっかりした教育ママであれこれ子供に厳しくしつけてくるタイプより、ちょっと頼りないところもあって子供によく頼ってる親、の方が、子供が無職のアラサー引きこもりになる可能性はなんとなく低いような気がします。
ということで、結論としては、頼りない親になってみたらどうでしょうか。ということです。よろしくお願いします。
おわりに
「意外と真面目に答えるからビックリしちゃいましたよ、そんなんでいいんですか?」
この原稿を一読して、担当編集者が最初に漏らした感想です。
いやいや。
今回、生まれて初めて人生相談に答える側に回ってみて、僕にはわかったことがあるんです。
それは、普通、人は人生相談されると、ついつい、いい人になってしまう、ということです。自然に、自動的に、意志と無関係に誰でもそうなってしまうんです。不思議なことに。
本当は僕も、エキセントリックな受け答えをして、もっと人生相談としてのエンターテイメント性を高めてくつもりでした。
でも、無理でした。
人生相談されて、「ソープ行け」とか言えるのは、凄いんですよ。よく考えてみて下さい。普通言えないですよ。それがよくわかりました。
図らずも、今回僕は、自分が凡人であるということを、いやというほど自覚する羽目になりました。
それでもやっぱり、死にたければ死ねばいいとか、一生他人に期待せずに一人で生きる覚悟を決めろとか、そういうことは書けなかった。だって思ってないし、嘘は、書けない。
本当に嘘偽りなく、心から思います。
みなさんが、いつか幸せになれますように。
生きることが楽しくなりますように。
僕の人生とかは、どうでもいいので。そう、思います。