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米軍内でも隠される性的暴行事件 隠蔽体質が変わらないならば、日米地位協定を見直すべきでは?

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Photo by The U.S. Army from Flickr

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前回に引き続き、米軍基地をめぐる問題について書いていきたいと思います。

「沖縄と共に悲しんでいます」米軍人ら、日本語のプラカードで訴える』という記事がネット上で話題になりました。また、ツイッターやフェイスブックでも、米兵の日本人妻が「米兵にはいい人もいっぱいいるのに、どうして報道してくれないの」というつぶやきやシェアが話題となっていました。沖縄であれアメリカ国内であれ、米軍で働くほとんどがまじめな人であることには疑いの余地はありません。しかし、今回のような事件が起こるたびに「米軍基地が問題だ」とされることと、そこで働いている米兵の多くがまじめな良い人であろうということは無関係です。

現在の米軍基地の問題は、そこで働く人々の質の良し悪しではありません。一番の問題は不平等条約と言われている、日米地位協定です。これがあるために、日本で罪を犯しても、米軍兵士や米国市民権のある軍属は、米国の同意や協力がなければ日本で捜査を行い裁判にかけることができません。

そして、このような「不平等」があるのは日本と米国の関係だけではありません。米国内においても、軍人による民間人に対する犯罪における捜査や裁判の「不平等」は問題視されています。さらに、軍隊内の犯罪に対する隠蔽体質も非常に大きな問題です。こうした隠蔽体質が、日米地位協定を見直すべき大きな理由のひとつだと私は考えています。

米国防総省の公式資料によれば、米軍内では毎年女性兵士の4.9%、男性兵士の1.0%、数にして年間34,000人以上の兵士が深刻な性的暴行被害を訴え出ています。米国における民間の性的暴行発生率は1年間で2%ですから、公式発表の数値だけを見ても、米軍内における性的暴行発生率の高さが伺えます。ただし、例えば寮住まいの女子大生の4人に1人は性的暴行被害を訴えており、米軍だけがとりわけ性的暴行が多い集団ともいえません。

米国の軍人による犯行の特徴は、他のありとあらゆる犯行の発生率は低いのに、性的暴行だけが民間よりも高い水準で起こっているという点です。入隊のプロセスでは、過去の犯罪歴がスクリーニングされ、適正テストなどもあるため、民間に比べて、真面目な人が多いはずなのに、性的暴行だけが突出して高いのです。

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古谷有希子

ジョージメイソン大学社会学研究科 博士課程。東京大学社会科学研究所 客員研究員。大学院修了後、ビジネスコーチとして日本でマネジメントコンサルティングに従事したのち、渡米。公共政策大学院、シンクタンクでのインターンなどを経て、現在は日本・アメリカで高校生・若者の就職問題の研究に従事する傍ら、NPOへのアドバイザリーも行う。社会政策、教育政策、教育のグローバリゼーションを専門とする。

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