【しQちゃんチョコレート工場奮闘記 クリとリス編だキュウ】
【今までのあらすじ】
チョコレート工場の労働は単純作業……。
やりがいもクソもない単純作業の連続に吐きそうキュウ!
でもお金を稼ぐからには仕方ないキュウ。
生活(=イケメンに貢ぐ)のためだと割り切って労働に精を出したんだキュウ~
チョコレート工場内の日払いバイトもそろそろ終盤戦。
単純作業に耐え(精神的に)キャリアアップしたあたしはついに、チョコレート工場の最難関「リスのマロングラッセ」ラインに配属されたキュウ。
「リスのマロングラッセ」は工場内で最も複雑で難しい仕事なんだキュウ。
このお菓子はパッケージが凝っていて、今までの作業と比べるとダントツで行程が多いんだキュウ。
1.ダンボールから箱を出す
2.箱を組み立てる
3.マロングラッセの数を測って入れる
4.飾りの棒を差し込む…
「リスのマロングラッセ」はパッケージだけで4つも行程があるんだキュウ。今までの測って入れるだけのチョコレートとは難易度が違うキュウ……。超難関チョコレートの仕事に緊張するキュウ……!
(行程が多いだけの仕事にビビる自分に驚いたキュウ。あたし単純作業のしすぎで頭がバカになってる気がするキュウ~。単純作業は思考力を下げるキュウ……)
「リスのマロングラッセ」は箱の組み立てが大変なんだキュウ。
パッケージ箱が入った段ボールが山積みキュウ……軽く見積もっても1,000個はあるキュウ。絶望キュウ!!
行程も多いし、超大量にあるけど、女工仲間との共同作業で頑張るキュウ☆
あたし1人じゃない……仲間がいるキュウ!
数時間、箱を組み立てまくっていたら、だんだん作業にも慣れて余裕が出てきたキュウ。周囲を見わたすと作業中におしゃべりしてもOKな雰囲気になってきたキュウ。あたしも作業しながらおしゃべりしたいキュウ。楽しそうキュウ~。
そんなわけで仲間との交流を試みてみたんだキュウ! でもね、あたしとペアを組んでいる伊藤ちゃんは重度のコミュ障……。どんな話題を振っても、3語しか言葉を発しないんだキュウ。
「はい」
「いいえ」
「そんなことありません」
あともう一つ。
「毛がはみ出ていますよ」
※大事なことだからもう一度言うキュウ。チョコレート工場では毛のはみ出しは厳禁キュ!!
ロボットみたいな伊藤ちゃん……会話が成り立たないキュウ……。
(つまんねぇ……)
なんて、あたしの退屈を察したのか一度だけ伊藤ちゃんが話しかけてくれたんだキュウ。
ハァ???
労働しすぎて頭湧いたのかキュウ? 意味がわからないから苦笑いでスルーしちゃったキュウ。
その時、おもむろにチヨコ(工場バイトの古参)が乱入してきたキュウ。
「あたしは鎌田でゼリー工場回してたよ」
わぉ業界人トーク! どこの工場にいましたかトークは、お菓子系の工場をバイトする業界人の挨拶的会話だったらしいキュウ。
あたしが世間知らずなだけだったキュウ。恥ずかしキュウ……。
こんな感じで噛み合わないなりに和気あいあい☆とライン作業を頑張ったキュウ。協力しあうと早いキュウ! あっという間に段ボールの山は空っぽになったキュウ☆
この直後、あたしたちの絆を引き裂く「ダンボール畳まない事件」が勃発したんだキュウ!!
突然、作業場に罵声が響いたキュウ。
「何でダンボールを畳まないの!?」
ライン長の登場キュウ。(帽子に赤線が入っているのがライン長の証キュウ。)
ライン長は作業場の最高権力者。女工ヒエラルキーのトップに立つ女だキュウ。この女がすっごいくせ者なんだキュウ。
「どうしてダンボールを畳まないのかなぁ~? あ~あ~あ~ン?」
あ~あ~あ~がサイレンみたいなんだキュウ。
どうやらライン長は、空になったダンボールを誰も畳まないのが気にくわないらしいキュウ。
だってあたしたちバイトは “空になったダンボールを畳め” なんて指示されてないキュウ……。
ライン長は「指示されてなくてもやれよゆとりw」ってブチ切れてるんだろうけど、指示された内容を指示された通りにこなすのがここの仕事だろキュウ?
だったら「空になったダンボールは畳んで下さい」って指示しろキュウ! ついでに言うけど、あたしは昭和生まれの非ゆとりだキュウ!!
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ライン長が登場してからというもの、作業場内の雰囲気は最悪キュウ……。
さっきまであんなに和気あいあいとしていたのに、誰もが無言で空気が凍るキュウ。
ライン長のぶち切れ無双は止まらないキュウ~。
感情のおもむくままにヒステリックに怒鳴りちらすんだキュウ。
最年長のチヨコさんにまで平気で怒鳴るんだキュウ。もはや八つ当たりキュウ。
「ペチャクチャうるさい! 黙って作業しなさい!」
あんたが一番うるさいキュウ!!
「あなたたち!!! 話してる暇あったら手を動かしなさい!」
えっ……!? 手を動かしてるし、あたしたち会話してないキュウ~。
会話できてる瞬間もあったけど、基本会話が噛み合ってないキュウ~。(だって伊藤ちゃんはコミュ障キュウ!)
ライン長は空のダンボールをもの凄いスピードで畳みながら、あたしたちに怒鳴り散らすんだキュウ。
(ダンボールを畳むスピードがメッチャ早くてビックリしたキュウ。畳むのが早すぎてダンボールが見えないレベル……!! あんな畳み方初めて見たキュウ。。。)
「なんでバイトの尻拭いしなきゃいけないの? ライン長の時間は貴重なの。意味わかる?」
うわー……それ自分で言っちゃうキュウ? ドン引きキュウ~。
もしかして、仕事がデキますアピールのために怒鳴ってんのかキュウ? 自分に言い聞かせるために自己啓発ワードを言霊にしちゃってるのキュウ? 日経ウーマンの読みすぎじゃねーの? キュウ。
たしかにライン長はダンボールを畳むのは変態的に早いし、作業も早くて的確なんだキュウ。仕事が早いのは尊敬するキュウ。
けどね、自分の理想を他人に押しつけて、出来ない人には怒鳴るってどうなのキュウ……?
どんな仕事でもモチベーションが高いのは立派だけど、他人に強要してるんじゃねーよキュウ。全員があんたの頭の中を知ってるわけじゃないキュウ。高速ダンボール畳みだけじゃなくて、伝える努力もしろよキュウ。
それ以前に、あたしたちバイトを感情をぶつけるサンドバックにするのやめろキュウ。ライン長が怒鳴っている間は、ライン長の顔色伺いで仕事が止まってしまうんだキュウ……。
効率悪すぎるキュウ。頭も悪すぎるキュウ。
単純作業こそ和を乱さないでやれよキュウ。
和を乱すな、なんて言葉をあたしに言わせんじゃねーよキュウ~! あたしは孤独を愛するアウトローなしQキュウ!!
さっさと仕事終わらせてみんなで定時に帰るキュウ。
作業場の空気が凍り付く中、さらに恐れていたトラブルが勃発したキュウ。
その名も「マロンとリス事件」キュウ!!
「リスのマロングラッセ」を1,000個以上作ってしまった後に、ミスが発覚してしまったんだキュウ。
飾りの棒は入れる方向が決まっていたらしく、飾りの棒の向きが逆になっていたのキュウ。
ミスが発覚した時点で1,000個のやりなおしが決定キュウ……。
当然ライン長はぶち切れたキュウ。
「何で勝手に棒を挿れたの!? 棒を挿れる時は 確認しなさいよ!」
おい……「棒」「挿入」を連呼するのやめろキュウ!!
そもそも、作業場のバイト達は「飾りの棒を挿れる方向が決まっていた」なんて連絡なかったキュウ。
ミスを防ぐためにも、細かいこともちゃんと指示して欲しいキュウ! 作業情報を正確に共有できなかったのはライン長のミスだろキュウ!!
ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は仕事の基本だキュウ。ホウレンソウもロクに出来ないお前はアンポンタンかキュウ?
……出てしまったミスはしょうがないキュウ。さっさとやりなおし作業をはじめるキュウ。
犯人探しする暇があったら、さっさと終わらせてさっさと定時で帰るキュウ。
あらためてライン長から「リスのマロングラッセ」作業工程の説明があったキュウ。
「クリの箱は丁寧に組み立てて! リスの面が表です。棒は右から入れて下さい」
「クリの数は8個 リスは表ですよ!」
おい……マロングラッセをクリって言うのやめろキュウ! 「クリ」と「リス」を連呼するのもやめろキュウ……!!
あたしライン長が「クリとリス」って叫ぶんじゃないかってヒヤヒヤしちゃったキュウ~! 心配させんなキュウ~!!
あたし必死で笑うのをこらえていたけど、目が爆笑してたみたいでバレちゃったキュウ……☆ 当然、あたしはライン長にぶち切れられたキュウ……。
あたしって単純作業は苦手だけど、人をぶち切れさせることは得意キュウ~。
怒鳴られたけど、あたしは心を無にしてスルーしたキュウ。しQの処世術キュウ☆
バイト初日にしてお局にマークされちゃったキュウ。
しかしこの後、お局よりも強大な敵があたしを待っているなんて、このときは夢にも思わなかったのでしたキュウ……。
(最終章に続く…)
■子宮のゆるキャラ(妖精)しQちゃん /アイドルに貢ぐために週5+日払いバイトで馬車馬のように働いているキュウ。生理前は情緒不安定になるけれど、今日も元気に頑張りまシュッサン☆ Twitterアカウント【@sheQchang】
(しQちゃんバナーイラスト おおざわともこ http://ohzawa.blog.fc2.com/ )