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【連れ子虐待・自殺教唆事件】「結婚当初から暴力はあった」再婚夫から息子への虐待を実母はどう見ていたか

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育てられなかった親たち

Photo by Tom Reynolds from Flickr

 当時の妻の連れ子、村山由衣翔(ゆいと)くん(14=当時)に暴力をふるい、自殺に追い込んだとして傷害、自殺教唆の罪に問われていた村山彰(41=逮捕時)。2014年7月30日朝、母親が、首を吊って亡くなっている由衣翔くんを発見した。本稿では2015年に行われた公判の模様を綴っていく。

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 村山の暴力によって顔に痣ができ、由衣翔くんが学校を休まされ自宅監禁されるようになったのが同年6月。それまでも由衣翔くんは村山から暴力を受けていた。もともと由衣翔くんと2人で暮らし、2011年に村山という無軌道な男を家庭に迎え入れた由衣翔くんの母であり村山の元妻Aさんは、何を思い生活していたのか。2015年7月の公判に行われたAさんの尋問で明らかにされた。

 ……と言いたいところだが、全てが明らかにはならなかった。というのもAさんは驚くほど声が小さく、尋問では語尾がほとんど聞き取れなかったからだ。またそれを裁判官らが注意することもなかった。ちなみに遮蔽措置が取られており、傍聴席からは、Aさんの姿を見ることはできない。

交際、同居してすぐに始まった男の暴力

 衝立ての奥から極小ボイスで行われたAさん尋問は以下のようなものだった。

検察官「初めて由衣翔くんと被告人が会ったのは?」
Aさん「……○○(聞こえず)」
検察官「由衣翔くんが小学5年生の6月から3人で一緒に暮らすようになったんですね。被告人の態度に変化は?」
Aさん「すぐに……○○(聞こえず)……脅すようになった。私のこと……殺す、など、包丁を持ち出したり」
検察官「キッカケは?」
Aさん「○○(聞こえず)」
検察官「由衣翔くんを脅すようなことは?」
Aさん「最初の頃はしていません」

 Aさんが由衣翔くんを身ごもったとき、由衣翔くんの実父は別の女性と結婚していた。つまり不倫関係によって産まれた子であった。実父とAさんが夫婦になることはなかった。Aさんは由衣翔くんが3~4歳になるまで実家で暮らしたが、その後は事件現場となった都営住宅に転居し、母子2人だけで暮らしていた。Aさんは働きながら由衣翔くんを育てた。由衣翔くんが小学5年生の頃、Aさんは村山と知り合い、2011年の6月からAさんの都営住宅に村山が転がり込む形で、3人一緒に暮らすようになった。ほどなくしてAさんは妊娠、2012年3月に出産し、その後入籍。由衣翔くんを村山の養子にした。

 そして2014年7月30日に、由衣翔くんは亡くなった。Aさんと村山は、この尋問が行われた2015年7月に離婚している。

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