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【連れ子虐待・自殺教唆事件】殴る蹴る、排泄制限、女装強要…再婚夫から息子への虐待を知りながら、離婚を拒否したのはなぜか

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育てられなかった親たち

Photo by Tom Reynolds from Flickr

 当時の妻の連れ子、村山由衣翔(ゆいと)くん(14=当時)に暴力をふるい、自殺に追い込んだとして傷害、自殺教唆の罪に問われていた村山彰(41=逮捕時)。2014年7月30日朝、母親が、首を吊って亡くなっている由衣翔くんを発見した。本稿では2015年に行われた公判の模様を綴っていく。

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■【西東京連れ子虐待・自殺教唆3】「結婚当初から暴力はあった」再婚夫から息子への虐待を実母はどう見ていたか

 母子ふたりの生活を10年近く送ってきた由衣翔くんの母・Aさんは、村山という無軌道な男と出会い、家庭に迎え入れた。同居生活が始まってすぐ、村山はAさんに暴力を振るうようになり、やがてその矛先は由衣翔くんに変わる。そして由衣翔くんは暴行生活の果てに自殺に追いやられた。

虐待父と2人きりで過ごす日中

 村山の公判で、証人尋問を受けるAさんは、衝立の向こうから極めて小さな声を発するのみだった。前回同様、声が聞き取れなかった箇所は「○○」とする。

 由衣翔くんは中学進学後、村山から虐待を受けるようになった。中学2年生の6月からは、殴られて顔が腫れ、学校へも行かせてもらえなくなった。Aさんは毎日9~17時まで次男を実家に預けて外で働いていた。無職の村山は由衣翔くんと二人きりで、自宅にいた。由衣翔くんは7月30日に亡くなっているが、6月末ごろから以下のような生活を送っていたという。

検察官「由衣翔くんの食事は?」
Aさん「……………………部屋で食べさせていたこともありました…○○」
検察官「トイレは?」
Aさん「申告制です………『トイレさせて下さい、お願いします』と言ってから…」
検察官「誰に聞くんですか?」
Aさん「私がいるときは私、いないときは多分元ダンナ(=村山被告)に……」
検察官「ダメということもあったんですか?」
Aさん「トイレの場合、ダメということはなかったですが、準備していたら○○」
検察官「そもそも申告制にした理由は?」
Aさん「元ダンナ(=村山被告)と顔を合わせないようにするため……元ダンナが決めました」
検察官「由衣翔くんに自由はあったんですか?」
Aさん「なかったです」
検察官「由衣翔くんの精神状態、どういうものだったと思いますか?」
Aさん「○○怯えていたと思います」
検察官「女装の写真以外に、何か写真送られてきていますか?」
Aさん「(何か言っているが全く聞こえない)」

 ここで、由衣翔くんが女装させられて撮影された写真がAさんのみに示された。村山が由衣翔くんにAさんのキャミソールやパンツを着用させ、撮影したものだという。こういった写真は6月以降、撮影されるようになった。一枚だけ笑顔のものがあるというが「被告人が笑わせた」とAさんは語る。そう思う根拠は「怯えてる、女装の趣味もないですし……」とのこと。

 女装の写真だけでなく、紐を首にかけ、いまにも首吊り自殺しそうな写真が村山から送られてきたこともあるという。パート帰り、次男を実家に迎えに行き、一緒に買い物をしているときだった。写真だけでなく村山からこんな電話もあったという。

「由衣翔が死ぬって言ってる。帰ってこないと知らないよ」

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