インタビュー

ダサピンクマーケットの根底にあるのは<良い女><悪い女>の分断ではないか/『女の子は本当にピンクが好きなのか』堀越英美×柴田英里【4】

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女の子は本当にピンクが好きなのか

堀越英美『女の子は本当にピンクが好きなのか』 Pヴァイン

 現代女性を取り巻く“ピンク”という色について、欧米の女児カルチャーや女児向け玩具、国内の女児向けアニメなどを通して深く考察した一冊『女の子は本当にピンクが好きなのか』(Pヴァイン)。著者の堀越英美さんは日本で子育てをする二女の母だ。

 今回messyでは、バービーやプリキュアなど同書でも取り上げられたカルチャーに詳しく、しかし堀越さんとはまた異なる見解を持つ柴田英里さんと、堀越さんの対談を企画。女の子として、女として、私たちはピンクとどう付き合い生きていくのか。全5回にわけて掲載します。

(聞き手:下戸山うさこ)

「お母さん」よりも楽しそうな仕事に就きたかった/『女の子は本当にピンクが好きなのか』堀越英美×柴田英里【1】
殴れないプリキュア、女のケア役割。/『女の子は本当にピンクが好きなのか』堀越英美×柴田英里【2】
多様化していくバービーと、ピンクによる武装/『女の子は本当にピンクが好きなのか』堀越英美×柴田英里【3】

<同書の書評はこちら>
ピンク解放運動を追う 「女らしさ」に閉じ込められたピンクの歴史

抑圧ではなく、攻撃としての「ピンク」

柴田 「ダサピンク」の話をもう少ししてもいいですか?

堀越 はい、しましょう。

柴田 私は、ダサピンクのスマートフォンを今も使っているんです。2014年に出たサムスン電子の「Galaxy S5」、日本限定色のスイートピンクです。これ、元々形がダサいんですよ。この、なんか、裏面のぶつぶつが、ダサい(笑)。

堀越 そうなんですね(笑)。ダサいのにどうしてそれを選んだんですか?

柴田 この機種を選んだ理由は単純に、そのとき一番最新のモデルだったから、でした。前の型で不具合があったので最新の機種に変更したくてお店に行って。色を選ぶにあたって、この機種は他に白・黒があったんですね(他にもシャンパンピンクがあるのですが、キャリアがdocomoなのでau限定のシャンパンピンクは選択肢にありませんでした)。それらの色だと、形やブツブツのダサさがめちゃくちゃ目立つように感じたんです。逆に色もダサければ形のダサさが相殺されて気にならなくなるんじゃないかと思って。

堀越 ……(笑)。

下戸山 柴田さんはピンクという色自体は好き?

柴田 ピンク自体、好き。

下戸山 キラキラとかも好きなんですよね?

柴田 キラキラも好き。すごくドラァグで。

堀越 小さい頃からずっとですか?

柴田 あ、いや、今は好きだけど、元々はピンク嫌いだったんです。自分のことを4歳くらいまで男だと思ってましたし。自分のこと、「こうたくん」だと思ってたの。

堀越 え。お名前違いますよね?(笑)。

柴田 そうですね。全然関係ない名前なんですけど。いつかチンチン生えてくると思っていたんです、他の男子よりちょっと成長が遅いだけだと。

堀越 へー。

柴田 だからピンクに触れたのは、大人になってからでした。最初からドラァグクイーン的な魅力をピンクに感じて、好きになりました。

下戸山 大人になってから。え、女子高生の時代は? シャイニーなピンク色のキティちゃんが流行ってた時代。

柴田 女子高生の時は、普通にピンクの小物も使うんだけど、甘いピンクはあんまりで。原色が好きで、緑色のタイツを高校に履いていったりしてました。校則は自由だったので。緑のタイツに紫の靴下を重ねるとか。「毒を持ったカエルみたいなファッションだね」とか言われてました(笑)。

下戸山 ヤドクガエルみたいなね。そういうオシャレを好んでいたんですか。

柴田 世代なのか育った環境なのか分かりませんけど、ピンクへの先入観にあんまり晒されてなかったんだと思いますよ。「ピンクにならねば」という抑圧だとか、それが女性らしくて良いものを象徴している、って観点で見たこともあまりなかった。

堀越 ご家庭でもそんな感じだった? 押しつけられたりとか全然してなかった? 押しつけられた人は嫌いになる、って印象があるので。

柴田 別に、押しつけられなかったですね。

下戸山 毒を持ったカエルみたいなファッションのときって、周りから悪いふうに浮かなかったんですか?

柴田 まぁ浮くは浮くんですけど、それで変な扱いを受けたりはなく。私は普通科だったんですけど、その高校にはファッション文化科という被服コースもあったから、セーラー服に網タイツやブーツを合わせたりとか、奇抜な服装の生徒はわりと多くいたんです。靴下でも、紺ハイソorルーズが主流だけど、緑色のタイツに紫色の靴下を重ねても別に異端扱いされない。

下戸山 なるほど。ファッション文化科があれば、もう、なんでもいけちゃいますね。私の通った高校もファッションコースはないけどわりとそんな感じでした、自由で。鞄も靴も靴下も指定ナシで何でもいい、っていう。

堀越 地方だと、東京や横浜みたいに私立高校のブランディングがないから?

柴田 あー、ないですね。そこが、関東とは違うのかな、って思うんですよね。学校の制服にブランド力がない。制服にルーズソックスだとか、男子校の鞄を持つ、っていうファッションが、そんなに特権化しないんですよ。

下戸山 制服のブランド力ないですね~、大抵どこもそこそこダサいし。柴田さんのご出身は名古屋でしたよね?

柴田 名古屋です。

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