インタビュー

王子様なんて要らない、ピンクの抑圧を受けない女の子たち。/『女の子は本当にピンクが好きなのか』堀越英美×柴田英里【5】

【この記事のキーワード】
女の子は本当にピンクが好きなのか

堀越英美『女の子は本当にピンクが好きなのか』 Pヴァイン

 現代女性を取り巻く“ピンク”という色について、欧米の女児カルチャーや女児向け玩具、国内の女児向けアニメなどを通して深く考察した一冊『女の子は本当にピンクが好きなのか』(Pヴァイン)。著者の堀越英美さんは日本で子育てをする二女の母だ。

 今回messyでは、バービーやプリキュアなど同書でも取り上げられたカルチャーに詳しく、しかし堀越さんとはまた異なる見解を持つ柴田英里さんと、堀越さんの対談を企画。女の子として、女として、私たちはピンクとどう付き合い生きていくのか。全5回にわけて掲載します。

(聞き手:下戸山うさこ)

「お母さん」よりも楽しそうな仕事に就きたかった/『女の子は本当にピンクが好きなのか』堀越英美×柴田英里【1】
殴れないプリキュア、女のケア役割。/『女の子は本当にピンクが好きなのか』堀越英美×柴田英里【2】
多様化していくバービーと、ピンクによる武装/『女の子は本当にピンクが好きなのか』堀越英美×柴田英里【3】
ダサピンクマーケットの根底にあるのは<良い女><悪い女>の分断ではないか/『女の子は本当にピンクが好きなのか』堀越英美×柴田英里【4】

<同書の書評はこちら>
ピンク解放運動を追う 「女らしさ」に閉じ込められたピンクの歴史

ピンクを好きな女の子の台頭

柴田 ピンクって、鎧化しないと安っぽく見えると思いませんか。たとえば「CanCam」に載ってる<5000枚売れました系ピンクニット>とか、単体で見ると安っぽいじゃないですか。たとえ1万8000円したとしても。

下戸山 あ~、ありますよね。モテ目的の洋服ってことですよね?

柴田 単純な「モテるため」というよりは、「みんな買っているからださくないよ」と提案されるピンク。女同士の評価では「かわいい」にも「かっこいい」にも転ばないような服。セクシュアリティ問わず、女が女を羨望の目で見る視線の方が、男が女を見る目線よりも、全然グレードが高いじゃないですか。

堀越 おっしゃるように、女性が女性を見る視線は、解像度が高いと思います。

柴田 はい。だから強いピンクを好む層にとっては、「モテるため」と提案されるピンクは支持されないし、「モテるため」と提案されるピンクも「男にモテたい」っていう意志を持って着ていれば格好良く見える。

下戸山 ここにいくつか女性向けのファッション誌を持ってきたんですが。たとえば「美人百科」に<彼女服>って特集ページがあります。おやおや? 薄い色味のピンクが頻出するかと思いきや、そんなこともないんですよ。紺色や白が多い。カーキやキャメルも。

堀越 男ウケって考えると、ピンクより白い方が良さそうですね。

下戸山 ピンクは意味を帯びてしまっているから「あざとい」と穿った見方をされてしまう危険性がある。だから推奨しない。続いて「Domani」を見てみましょうか。女・妻・母っていう三つの方向にアピールするよ、と宣言して展開している雑誌です。

堀越 へー、「VERY」みたい。

下戸山 距離は近いと思います。この号の特集は『How to Look Happy…?』で、「幸せそうに見られたい!」です。

堀越 妻として母として威嚇は重要ってことですね、不幸そうな恰好で子供と歩いてると宗教団体の食育パンフレット押し付けられたりしますからね。

下戸山 続きまして、ガッキーこと新垣結衣さんのスペシャルかわいい姿を毎号拝める「NYLON」。この雑誌の写真でのガッキーが、CMや他の雑誌と比べても一番かわいいと私は思います。10代後半~20代前半のコ向けで、欧米というか海外っぽいファッションの雑誌ですね。で、先ほどの「美人百科」も、この「NYLON」も、どっちもかわいくて、どっちの系統の女の子もフツーにモテそうですよね。

柴田 確かに、全然系統が違うのにどっちもモテそう。コンサバもかわいいし、カジュアルもかわいい。

下戸山 だから何でも好きな服を着ればいいんですよ、みんな。素材がかわいければ似合うし。あとはかわいくなくても彼氏いるとか結婚してる女性なんてめちゃくちゃ大勢いるわけじゃないですか。とりたてて「モテ服」とか煽るのも意味あるのかなって思う。

柴田 ですよね。雑誌といえば「LARME」あります?

下戸山 ありますよ。甘~いですよね。砂糖菓子、って感じ。

堀越 男にモテたいというより、女の子が女の子に対してかわいく見せるような雑誌ですね。女の子の中で完結する世界。

柴田 まさにそれです。LARMEの編集長は「小悪魔ageha」の編集部に在籍していた人で、すごい辣腕だと評判です。小悪魔agehaもLARMEも、「ウチらが好きでやってんだから他人の評価とか関係ない。ほっといて!」という世界。あのー、この二誌に限らず、ファッション誌のモデルって、非常に痩せ型じゃないですか。

下戸山 163cmで45kgとか。読者モデルでもそんなんフツーですからね。

柴田 萌えキャラやエロゲーのキャラが、よく「その体型でその体重なんて軽すぎ、有り得ない!」とか、「乳袋なんて異常」とか「男の欲望を詰め込みすぎ」とか批判されますけど、男の欲望をあらわした萌えキャラ以上に、女の子の羨望してる女性モデルの方が“有り得ないスタイル”だと思うんですよね。小悪魔agehaのモデルとか、みんな40kgとか38kg。それを欲望してる。異性がどう思うかなんて関係ないんですよ、それぞれ。

1 2 3

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

女の子は本当にピンクが好きなのか (ele-king books)