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妻の連れ子を自殺に追い込いんだ男に科された刑は、懲役6年

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育てられなかった親たち

Photo by Tom Reynolds from Flickr

 当時の妻の連れ子、村山由衣翔(ゆいと)くん(14=当時)に暴力をふるい、自殺に追い込んだとして傷害、自殺教唆の罪に問われていた村山彰(41=逮捕時)。2014年7月30日朝、首を吊って亡くなっている由衣翔くんを、村山の元妻であり由衣翔くんの実母であるAさんが発見した。村山の暴力によって顔に痣ができ、学校を休まされるようになったのが同年6月。だが、検察官請求証拠である村山作成のメールや村山撮影の由衣翔くんの写真、またAさんの法廷での供述などから、それ以前から継続的に由衣翔くんは村山から暴力を受けていたことはほぼ明らかとなった。

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 2015年9月18日に行われた論告求刑で検察側は村山に「酌むべき事情がなく、自殺教唆については否認しており反省がない、結果が重大」などとし、懲役6年を求刑。対する弁論で弁護人は「傷害罪は認めるが自殺教唆は無罪。自殺を促すような発言、行為は一切なし。Aさんと離婚したかったので『被害者(由依翔くん)に危害を加えるぞ』と言っただけ。救急隊員に『自分が自殺しろと息子に言った』と説明したのは『自殺の原因を尋ねられれば、Aの立場が悪くなる』と思ったのでAさんをかばおうと思った」などと改めて自殺教唆の無罪を主張した。

 最終意見陳述では、自身のこうした主張を改めて元気いっぱいの大声で長々と語った村山。

村「しかるべき罪(=傷害罪)は受け入れる。この件で、自分はAのせいでPTSDになった。内妻と実子が面会に来てくれている。内妻は情状証人を申し出たが、マスコミのことを考え取り止めた。Aの犯罪(傷害)を暴くべきであり、処罰しなければならない」

 もう何が何でもAさんを主犯にし、罪から逃れたい様子だった。

 連載第1回目の冒頭に記載したとおり、村山に対する判決公判は2015年10月29日に開かれ、阿部浩巳裁判長が求刑通りの懲役6年(未決勾留日数310日参入)を言い渡した。「被告人が不合理な弁解に終始している」と公訴事実を全面的に認め、検察側の主張がほぼ認められた形となった。肝心のAさんの関与については「認められるが、Aさんの証言やメールのやり取りなどから、それは被告人に対する畏怖の念なども伺え、被告人の罪責を軽減するものではない」と、これも実際に関与はあったとしたが村山の影響下によるものであったと切り捨てた。

 村山から「女装なんかさせてねえよ!」「状況証拠だけで判断してんじゃねえか!」など二度の不規則発言の末、ようやく裁判長の言い渡しが終了した。起立するよう促された村山は、証言台の前の椅子から立ち上がり勝手に弁護人の前の長椅子に座ろうとして職員に制止される。裁判長から「戻って下さい」と命じられるも「もう聞いたよ」などと悪態をついて従おうとしない言うことをきかない場面も見られた。

 判決公判での態度が非常に悪かったのは、自身の主張が認められなかった腹立たしさからだろうか。あの態度から見るに、村山にとって納得のいかない判決であったことは確かだろう。しかし意外なことに控訴はなされず、懲役6年が確定している。現在は服役中だ。

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