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『サザエさん』はもはや国民的アニメではない。昭和のパラレルワールドを楽しめない理由

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じゃーんけーん!(『サザエさん』公式HPより)

 7月3日放送のアニメ番組『サザエさん』(フジテレビ系)の視聴率が9.9%と二桁を割った。翌日にはスポーツ報知をはじめ、いくつかのメディアがこのことを報じている。常に10%以上の視聴率を獲得する『サザエさん』は、低空飛行のフジにとって一番の優良コンテンツ。今年上半期で同番組の視聴率が二桁を割ったのは、5月22日だけだった。しかしこの日は『笑点』(日本テレビ系)が「歌丸ラスト大喜利スペシャル」として特別番組を放送しており、そちらの視聴率が27.1%と非常に高い数字だったことが影響していると見られている。つまり“理由の分からない” 二桁割れは7月3日放送が初、ということのようだ。ちなみに翌週、7月10日放送の視聴率は11.1%に持ち直し、アニメ部門では1位となっている。だがこの数字はもはや、「優良コンテンツ」とも言い難いものであろう。月9ドラマですら一桁連発のフジなだけに、コンスタントに二桁を獲得してくれるだけでも御の字なのだろうが。

 さて、3日放送分の視聴率一桁報道を受け、産業カウンセラーの後藤和也氏がその理由を分析する記事を執筆している。その後視聴率は持ち直しており、依然として人気アニメであることに変わりはなさそうなのだが、改めてテレビアニメの『サザエさん』をmessyでも考察してみたい。

パラレルワールド

 『サザエさん』は同名の漫画連載が1946年から1974年まで。アニメ放送は1969年からスタートし、一時期は日曜だけでなく火曜にも放送していた。筆者はアラフォー世代だがもう何年も『サザエさん』を見ていない。最近ではCATVやCS放送も充実しているので日曜の夜にあえて『サザエさん』を見ようとも思わなくなったし、また、その時間帯は出かけていることも多いからだ。なにより、もともとアニメの『サザエさん』はあまり好きではなく、熱心に見ていなかった。

 話題となった3日放送を、チェックしてみた。「跳んでるおばさん」は、路地で小学生女児がゴム跳びをしているところにサザエさんが乱入し軽々ゴムを超えるのだが、それを女児が絵にしたことで学校でサザエのことが話題になってしまう……というストーリーだ。しょっぱなからゴム跳びをする女児たちに驚愕である。ゴム跳びという遊びは滅びたと思っていた。都内在住の筆者は、成人してから一度も、小学生がゴム跳びに興じる姿を見たことがない。これはいつの時代の話だろうか? 登場人物らは年を取らないのでアニメの時代設定は1969年から変わっていないのだろうか。だが翌週放送の「ぼくは休日評論家」では、今年から始まる祝日『山の日』(8月11日)について話題にしている。どうも2016年設定のようだ。それなのにゴム跳び……いや、長寿作品には作品開始当初の時代設定と現代との違いを時折埋めようと無理なストーリー展開があることは百も承知である。1976年から連載が続いている漫画『ガラスの仮面』でも最初はダイヤル式の黒電話だったが最近ではスマホも登場して大いに話題になった。当時の時代設定と現代の混在が生じるのは長寿コンテンツの宿命であり仕方ない。『サザエさん』が生きているのはもはや日本ではなく、どこか別のパラレルワールドなのだ。そのパラレルワールドでは、男女の社会的な立ち位置が未だに“古き良き昭和”のままである。

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